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【読書ノート】『秘密』

『秘密』
東野圭吾著


主な登場人物
杉田平介
杉田直子
杉田藻奈美
梶川幸広
梶川征子
根岸文也
橋本多恵子
相馬春樹
藤崎和郎


バス事故で妻直子を亡くし娘藻奈美が植物状態になった杉田平介。藻奈美の体に妻直子の霊魂が宿る。

物語の冒頭からバス事故で妻直子が亡くなり、娘藻奈美が、意識不明の重体状況。さらに、娘藻奈美の体に妻直子の霊魂が宿る。という強烈な出来事から物語は始まる。

かなり、盛り沢山な物語。

バス会社からの損害賠償金で倒産を免れた男藤崎和郎のエピソードと、主人公平介の複雑な感情が描かれる。平介は加害者の妻征子に惹かれる一方、娘の姿をした妻直子が、他の男子に恋する姿に嫉妬する。娘の姿の直子を抱きたいができない。そのくせ、娘の担任橋本多恵子に惹かれる。娘藻奈美が徐々に自我を取り戻すと、直子はフェードアウトする。最終的に、藻奈美の結婚をして、物語は終わるのだけど、娘の中には、妻直子も同居していることを感じとった平介は、嫉妬に悩まされながら、物語は終わる。



物語の主題は何か?

1. アイデンティティ:平介の妻直子の霊魂が娘藻奈美の体に宿るという設定は、アイデンティティとは何か、人間の自己同一性は肉体に基づくものなのか、それとも意識や精神に基づくものなのかという問いを投げかける。

2. 愛と家族関係:平介が直子(藻奈美の体に宿った妻)に対する愛情と、父親としての藻奈美への愛情との間で葛藤する様子から、愛の形は何が決定するのか、そして家族とは何かという問いが浮かび上がる。

3. 男女間の感情:平介が他の女性に心を動かされる一方で、直子(藻奈美)が他の男性に心を動かされるとき、それは嫉妬や所有欲といった複雑な感情を生み出します。これは、恋愛感情や性的欲望が人間の行動や思考にどのように影響を及ぼすのか、またそれが倫理的な問題にどうつながるのかを考える機会を提供する。

以上のように、この物語は人間の心の内面とその複雑さを深く掘り下げ、様々な哲学的な問いを投げかけられる。

娘の姿になった妻を愛せるか?
娘の姿になった妻を娘として嫁にだすことは幸せなのか?

そして、おそらく、全てを受け入れることが、愛だということなのだと思った。


ドラマも見たのだけど、多少話は変わってます。

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