見出し画像

『誘拐の女王』(「不時着する流星たち』より)

『誘拐の女王』(「不時着する流星たち』より)
小川洋子著


親の再婚で17歳の年の差の姉が、やってきた。そして、姉は、幼い時に誘拐されたのだという。
なんだか、よくわからない話なので、いくつか、キーワードを挙げてみた。

①誘拐

1. 倫理と道徳:誘拐は他人の苦痛と悲しみを引き起こす行為であり、被害者やその家族の権利や幸福を侵害する。このような出来事は、倫理または道徳の観点から、善と悪、正義と不正義についての議論を呼び起こす。

2. 自己意識とアイデンティティ:被害者は自身のアイデンティティを維持することや、自己の安全や自己価値を確立することに困難を抱える。

3. 権力と支配: 誘拐はしばしば権力と支配の問題と結びついて考えられる。誘拐犯は、自己の意志を押し付けることで被害者を支配しようとする。

②洋裁箱とは?

1. 創造性: 洋裁箱は裁縫や手芸に必要な道具を格納し、新しいものを創り出すためのアイデアを形にするツール。この意味で、創造性やイノベーションの象徴となる。

2. 秩序: 洋裁箱はさまざまな道具を整理し、秩序を保つ役割を果たす。これは秩序や組織性、計画性の象徴となりえる。

3. 手仕事: 洋裁箱は手作業による芸術や技術の象徴であり、個人の技術や労働を尊重し、価値を認識する。

4. 変容: 洋裁箱を用いて既存の布地を新しい形や用途に変えることは、物質の変容や再生の哲学的な思考を象徴する。

③『非現実の王国で』
アメリカのアウトサイダー・アーティスト、ヘンリー・ダーガーが生涯をかけて創作した一大エポスです。15,000ページ以上に及ぶこの物語は、非現実的で幻想的な世界を描き出されている。

物語は、7人の少女兄弟「ヴィヴィアン少女」が主人公で、彼女たちは邪悪な児童奴隷勧誘帝国と戦う反逆者。彼女たちは虐待と不公平に反旗を翻し、自分たちの世界を守るために戦う。

キーワードから見えてくるもの。

まず、本書は、ヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で』をモチーフにしているということ。
このヘンリー・ダーガーの物語が、訳のわからない世界観なのだけど、子供時代に受けた苦い体験が、ベースにあるのだと思う。

突然、「私」の前に現れた17歳年上の姉は、誘拐されていて、解放されたという話を楽しげに語るのだけど、一方で、深い闇を抱えている。

本書の主題は何か?
わたしたちが、生きている社会というのは、善と悪が、正義と不正義が、共存しているということ。唯一、神は、わたしたちを支配から解放してくれると理解した。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?