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【読書ノート】「バビロンの塔」(短編集『あなたの人生の物語』より)

「バビロンの塔」(短編集『あなたの人生の物語』より)
テッド・チャン著


バビロンの塔の建設に係る物語。主人公ヒラルムは塔の頂上で左官工事を担当する。古代メソポタミア文明、宇宙論、科学、そして人間と神の関係性を加味した壮大なテーマを扱う。

旧約聖書に「バビロンの塔」について、少しおさらいしておく。

バビロンの塔は人々が一つの言語で団結し、神への到達を目指したが、神は言葉を混乱させて人々を分散させた。これにより、言語や文化の多様性が生まれた。という話。

そして、バビロンの塔の物語は次のようなメッセージがある:
1. 人間の傲慢性と技術の限界:神に挑む試みは罰せられる。
2. 言語とコミュニケーションの重要性:言語の違いが混乱と失敗をもたらす。
3. 野望とその限界:人間の力には限界があることを示す。
4. 文化的な相違と分裂:言語の違いが混乱と分裂をもたらす。
5. 統一と共同作業の重要性:目標達成には協力と統一が必要。
6. 神秘と神聖なるものへの探求:人間の魂の成長と神秘的な次元への探求を象徴する。

物語に戻ると、
人類は、神に近づこう、神をより深く理解しようとして、巨大な塔の建設を始めた。塔は地球を超えて、月を超えて、太陽に迫る。太陽を超えると、植物は、太陽の光を求めて、下向きに成長する。そして、さらにその先にあるのが、天の丸天井と呼ばれるすべてのものの最上部。その天の丸天井を突き抜けた先にあるものは何か?!天の丸天井の上には、大量の水があって、下手に穴を開けると、地球にノアの方舟の時のような大洪水をもたらすかもしれないといわれていた、そんな中、人類は、天の丸天井に挑む。

物語のキーワード

「円筒印章」
1. 無限性と連続性の象徴:円筒の形状は無限の連続性を表す。その転がる動きは時間の流れや連続性を思わせ、個々の瞬間や出来事だけでなく、全体的なつながりや一体感を強調する。

2. ユニバーサルな存在:円筒は全体を包み込む形状であり、全方向に均等に存在する。これは普遍性や包括性を象徴し、あらゆるものが相互につながっているという思想を表す。

3. 内なる探求と外界への表現:円筒印章は内部と外部をつなぐ役割を果たす。内部には個人の思想や感情が宿り、外部にはそれを表現する手段となる。この関係性は、内なる探求や外界への創造的なアウトプットを象徴する。

4. 統一と調和:円筒印章は一つの形状でありながら、その表面には多様なデザインや文言が存在する。これは異なる要素が統一され、調和を成すことを象徴している。個体の多様性や相違点を受け入れながらも、全体としての一体性や調和を重視することを示唆する。
5.永遠性と持続性:円筒は丸い形状であり、始まりと終わりのない連続性をイメージさせる。この特徴は、永遠性や持続性を象徴する。人間の存在や宇宙の摂理において、一時的な出来事や変化にとらわれずに、永遠の原理や持続的な真理を追求することを表す。

ここから、みえてくることは、神は、人間の理解を超越しているということなのだなあという理解に落ち着く。

超高層建物が建つと、地震が起こるという都市伝説があるのだけど、

超高層建物とバビロンの塔は、建築と人間の野心に関連していると言える。両者は時間的・文化的な距離があるものの、建築の領域で人間が高い目標や抱負を持ち、技術的な挑戦を追求するという共通点もある。

何か、よからぬことが起こるのではないか?とか、思ったりはする。

そうは、言っても、私自身は、超高層建物の展望台に登るのは好きで、都内だと、六本木ヒルズや都庁、関西だとあべのハルカスに行って、景色を見るのがちょっとした趣味になっていて、六本木ヒルズの展望台は、年間パスポートも持っている。

先日、あべのハルカスに、登った時、床がガラス張りになっている箇所があるのだけど、そこに建つと、足が竦む。不自然な状況にあるのだろうと思わされることを思い出す。

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