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【読書ノート】『線は僕を描く』

「線は、僕を描く」
砥上裕將著


主人公の霜介は、事故で両親を亡くした。ある日、水墨画の美しさに魅了され、水墨画を通して、成長・再生していくという物語。

水墨画の世界で、蘭・竹・梅・菊は四君子と呼ばれ、初心者はこれで基本を学ぶ。

キーワードを挙げてみる。

水墨画
一般的に、水墨画は簡素さ、抽象性、自然の力への尊重を強調し、物事の本質を捉えようとする。また、筆致や墨の流れを通じて、創造的なプロセスと現象の変化を重視する。

椿
一般的には、椿は優雅さや美、永遠の愛、精神的な美徳を象徴する。日本の文学や芸術では、椿はしばしば季節や風物詩の一部として登場し、繊細さと強さの調和を表現する。


日本文化において特に重要な花。菊は「孤高の花」とされ、その強靭な花弁は逆境にも耐える強さや高潔さを象徴する。一般的には、菊は困難に立ち向かい、品格を保ちながらも美しく咲き誇ることを通じて、人生の試練に対する精神的な強さや誠実さを表現する。


柔軟性と同時に強靭さから、しばしば謙虚さや忍耐、適応力を象徴する。成長が速く、どんな環境でも生きる力強さは、人生の中での変化や逆境に対する柔軟性を表現する。また、空虚であることから学びや自己啓発を受け入れる柔軟性を意味する。その節々が段階的に成長する様子は、人生の過程や学びの旅を象徴的に表現する。

蘭(ラン)
一般的には、蘭は優雅さ、気高さ、清らかさを象徴し、また、深い内面や内省、高貴な美を表現する。その美しい花姿と香りは、高貴な気品や気品を象徴する。花が季節を問わず咲き続けることから、永続性や持続力を強調し、変わらない美徳や精神的な美を追求する姿勢を示す。

梅 
冬の希望と堅忍不抜の象徴であり、寒冷な季節に咲くことから人生の困難にも立ち向かい、希望を持ち続ける力を表現する。「孤高の花」とも呼ばれ、その孤独な美は高潔さや独立性を称賛し、白い梅の花は純潔と清らかさを象徴する。梅の花は美しさだけでなく、精神的な浄化や成熟をも意味する。


物語の主題は何か?
水墨画を通して、ひとは、自己発見し、成長していくということ。

霜介は、水墨画という芸術を通じて不幸な過去と向き合い、新たな視点を見つける。他人の線を真似ることで一時的に絵が描くるのだけど、自分だけの線を見つける必要性に気づく。そして、その線が、表すものこそ、描き手である霜介自身だということ。

爽やかな物語で、良かった。

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