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日本人の英語力(公教育の誤り)

割引あり

一、国際比較

私は昭和の生まれです。若い頃、明治時代の知識人の教養はすごいなと思った記憶があります。私たちの時代とは違い、その頃の若い知識人たちは、江戸時代からの伝統である漢文の知識と、新しく必要が生じた英語などの西洋の言語に関する知識をしっかりと身に付けているように思えたからです。私たちの時代には、教育が大衆化したために学力も低下しているのではないだろうかと考えた記憶があります。

私たちの頃は英語学習といえば、リーディング、文法が主で、ライティングや会話はわずかな時間しか習いませんでした。そのためか、コミュニケーション重視が言われたり、より早い年齢から英語学習を始めることが必要だと言われたりしていました。平成23年(2011)度に小学校高学年に外国語活動が導入されて以降、多くの学校で学級担任と外国語指導助手(ALT)を始め、英語が堪能な外部人材とのティーム・ティーチングによる指導体制が整備・充実が図られてきました。2020年度から小学3~6年生を対象に外国語教育(英語教育)が必修化されています。 小学3・4年生は「聞く」 「話す」というコミュニケーション活動を重視した英語教育からスタートしています。

こうして英語学習に力を入れてきたわけですが、どうやら、日本人の英語力はさらに低下しているようです。

最初に統計の基礎データが掲載されています。

はじめに、2023年のEF EPI英語能力指数の受験者の詳細データは以下のとおりです。

合計受験者数:220万人
国・地域数:113(ヨーロッパ34、アフリカ23、アジア23、ラテンアメリカ20、中東13)
男女比率:女性55%、男性45%
60歳未満の割合:99%
年齢の中央値:26歳

https://sekai-hub.com/posts/english-proficiency-index-ranking-2023

若い世代を中心とし、220万人が受験しているわけですから、主に近年の外国語教育の成果をほぼ正確に反映していると考えてよさそうです。

これによると、日本は113カ国中87位(前年は80位)で、「低い英語能力」に該当する64位から90位にランクしています。由々しき事態です。日本政府による対策は効果を上げていないようなので、見直す必要がありそうです。

二、ChatGPTに聞いてみた

今回もChatGPTに聞いてみました。

実用的な語学力を身に着けるには

How to acquire practical language skills

ChatGPTの回答

Acquiring practical language skills involves a combination of focused effort, effective strategies, and consistent practice. Here are steps you can take to develop practical language skills:

  1. Set Clear Goals: Define your language learning goals based on your needs and interests. Determine what practical skills you want to acquire, such as conversational fluency, reading comprehension, writing proficiency, or specific vocabulary related to your field of study or work.

  2. Choose the Right Resources: Utilize a variety of resources that cater to different aspects of language learning. This could include textbooks, online courses, language learning apps (such as Duolingo, Babbel, or Rosetta Stone), podcasts, videos, language exchange platforms (like Tandem or HelloTalk), and language immersion experiences.

  3. Focus on Practical Vocabulary: Learn and prioritize vocabulary and phrases that are relevant to everyday conversations and real-life situations. Start with basic vocabulary related to greetings, introductions, common activities, and essential verbs, nouns, and adjectives.

  4. Practice Speaking Regularly: Practice speaking the language as often as possible. Engage in conversations with native speakers, language exchange partners, classmates, or language tutors. Use language learning apps with speech recognition features to practice pronunciation and speaking skills.

  5. Listen Actively: Improve your listening skills by listening to podcasts, audiobooks, songs, news broadcasts, or watching movies, TV shows, and videos in the target language. Focus on understanding the context, main ideas, key vocabulary, and nuances of spoken language.

  6. Read Widely: Read a variety of materials in the target language, such as books, articles, newspapers, blogs, and websites. Start with texts that match your proficiency level and gradually challenge yourself with more complex and diverse content. Pay attention to sentence structures, grammar patterns, and new vocabulary.

  7. Write Regularly: Practice writing in the target language to improve your grammar, spelling, vocabulary, and sentence construction. Write journal entries, emails, essays, or participate in online forums, language communities, or social media groups where you can receive feedback from native speakers or fellow learners.

  8. Use Language in Context: Apply your language skills in real-life contexts and situations. Practice ordering food in a restaurant, asking for directions, making phone calls, shopping, or participating in social gatherings. This helps reinforce practical skills and builds confidence in using the language spontaneously.

  9. Seek Feedback and Corrections: Be open to receiving feedback and corrections from native speakers, language teachers, tutors, or language exchange partners. Learn from your mistakes, identify areas for improvement, and incorporate feedback into your language practice.

  10. Stay Consistent and Persistent: Language learning requires consistent effort and practice over time. Set aside dedicated study sessions, establish a routine, stay motivated, and persistently work towards improving your practical language skills.

By following these steps and incorporating effective language learning strategies into your routine, you can acquire practical language skills that enable you to communicate effectively and confidently in real-world situations.

Google翻訳による自動翻訳

実践的な言語スキルを習得するには、集中的な努力、効果的な戦略、一貫した練習の組み合わせが必要です。 実践的な言語スキルを開発するために実行できる手順は次のとおりです。

明確な目標を設定する: 自分のニーズと興味に基づいて言語学習の目標を定義します。 会話の流暢さ、読解力、文章力、研究分野や仕事に関連した特定の語彙など、どのような実践的なスキルを獲得したいかを決定します。

適切なリソースを選択する: 言語学習のさまざまな側面に対応するさまざまなリソースを利用します。 これには、教科書、オンライン コース、言語学習アプリ (Duolingo、Babbel、Rosetta Stone など)、ポッドキャスト、ビデオ、言語交換プラットフォーム (Tandem や HelloTalk など)、言語イマージョン体験などが含まれます。

実用的な語彙に焦点を当てる: 日常会話や現実の状況に関連する語彙やフレーズを学習し、優先順位を付けます。 挨拶、自己紹介、一般的なアクティビティ、および必須の動詞、名詞、形容詞に関連する基本的な語彙から始めます。

定期的に話す練習をする: できるだけ頻繁にその言語を話す練習をしましょう。 ネイティブ スピーカー、言語交換パートナー、クラスメート、語学講師との会話に参加しましょう。 音声認識機能を備えた言語学習アプリを使用して、発音とスピーキングスキルを練習します。

積極的に聞く: ポッドキャスト、オーディオブック、歌、ニュース放送を聞いたり、ターゲット言語で映画、テレビ番組、ビデオを視聴したりして、リスニング スキルを向上させます。 文脈、主要なアイデア、重要な語彙、話し言葉のニュアンスを理解することに重点を置きます。

幅広く読む: 書籍、記事、新聞、ブログ、Web サイトなど、ターゲット言語で書かれたさまざまな資料を読みます。 自分の習熟度に合ったテキストから始めて、徐々により複雑で多様な内容に挑戦してください。 文の構造、文法パターン、新しい語彙に注意してください。

定期的に書く: 文法、スペル、語彙、文章の構成を改善するために、ターゲット言語で書く練習をします。 日記、電子メール、エッセイを書いたり、オンライン フォーラム、言語コミュニティ、ソーシャル メディア グループに参加したりして、ネイティブ スピーカーや他の学習者からフィードバックを受け取ることができます。

状況に合わせて言語を使用する: 言語スキルを現実の状況や状況に適用します。 レストランで食べ物を注文したり、道を尋ねたり、電話をかけたり、買い物をしたり、社交的な集まりに参加したりする練習をしましょう。 これは実践的なスキルを強化し、自発的に言語を使用する自信を高めるのに役立ちます。

フィードバックと修正を求める: ネイティブ スピーカー、語学教師、家庭教師、または言語交換パートナーからのフィードバックや修正を積極的に受け取ります。 間違いから学び、改善の余地がある領域を特定し、言語の練習にフィードバックを組み込みます。

一貫性と継続性を保つ: 言語学習には、時間をかけて一貫した努力と練習が必要です。 専用の勉強時間を確保し、ルーチンを確立し、モチベーションを維持し、実践的な言語スキルの向上に向けて粘り強く取り組みます。

これらの手順に従い、効果的な言語学習戦略を日常生活に組み込むことで、現実の状況で効果的かつ自信を持ってコミュニケーションできる実践的な言語スキルを身につけることができます。

私の感想

実践的な語学力が身についている人は、頭の中で母国語を介さずに対象の
言語で考え、出力できる人ということになるのでしょう。そこまでのレベルに達するには、近道というものはなく、ChatGPTの回答にあるように地道に記憶し、フィードバックと出力を重ねる作業を、効率的に行う必要があるのでしょう。おそらく今の日本の教育現場で行われていることは、そうしたレベル上げに十分貢献する方法になっていないのではないでしょうか。

三、私が考える問題点

私自身は、外国語としてしっかり学んだのは英語のみですし、流ちょうに使えるというレベルからは程遠く、いったん日本語を介してしか考えることができません。しかも、簡単な日本語の表現を英語にするにあたり、どう言えばよいのかさっぱり想像できないことがよくあります。

固い表現ばかり学ぶ

その原因の一つは、固い表現ばかりを学校で教わることにあると思います。

chiecl_inetさんの意見も一理ありますが、ネーティブの人と会話した経験が乏しいようですね。Shouhase27さんの仰るように、学校では文語体の英語を教えているからです。ですから、話し言葉では あまり使わない表現も多いです。例えば、「ばったり会う」と言いたい時も、 日本人は encounterみたいな難しい単語を使う人が多いんですが、ネーティブは bump intoとか言います。それと、「大騒ぎ」は口語では fussをよく使いますが、文語では tumultが好まれます。日本の英語は文語体を基調としていますので、tumultの方が出会う頻度も高い傾向にあり、受験英語でも tumultの方がどちらかというと重要ということになります。多分 口語での使用頻度は fussはtumultの100倍近くになるんではないかと思います。 でも、一番は Mr.とかMrs.の多用でしょうか。アメリカ人なんかは堅苦しいのを嫌うので、初対面でもファーストネームで呼び合うのを好むので、自己紹介なんかでもファーストネームしか名乗らない人が多いんです。日本人が苗字しか名乗らない人が多いのと対照的ですね。ですから、日本人は「~さん」という感覚で ファーストネームにも Mr.とかMrs.を付ける人が多いんですよ。 ちなみに、↓のサイトの主も Let's speak Englishと謳っておきながら、 教科書通りすぎる固い表現ばかり集めています。勉強が足りませんね。 http://makki-english.moo.jp/

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12233423852

私自身の体験でいえば「しなければならない」というときに「must」を使っていて、ネイティブの同僚から「must」という表現はきつすぎるから「should」を使うほうがよいと言われたことがありました。そのようなことを学校で教わって記憶はないのですが、同じように日本人が学校で教わっていないが本当は大切なことがたくさんあるのでしょう。

単語だけ覚えても意味がない

もう一つ学校で教わらなかったことは、単語を覚えるだけではだめだということです。

たとえば、「野菜の水を切る」という文を翻訳したいとします。

「切る」にはどのような動詞を使えばよいのでしょうか。

今は、Google翻訳などの自動翻訳を使えますから簡単に答えが出ます。

drain water from vegetables

使うのは「drain」です。しかし、辞書しかない場合、drainに行き着くのは難しそうです。日英辞典の「切る」の項目に「drain」は登場せず、英日辞典の「drain」の項目に「切る」は登場しません。

どの言語にも、同じような意味を持つ動詞がたくさんあり、しかし、ある名詞との組み合わせには、特定の動詞を使うのが一般的だというような、慣用的な習慣が存在しています。

たとえば、「ご飯」「メシ」x「食べる」「食う」の組み合わせを考えた場合、「ご飯を食べる」「メシを食べる」「メシを食う」は普通に使いますが「ご飯を食う」は使わないでしょう。「ご飯」は丁寧な表現、「食う」は粗雑な表現なので不自然になります。

繰り返しになりますが、ただ単語をばらばらに覚え、文法を覚えるだけでは、こうした自然な組み合わせを知ることは難しく、似たような意味を持つ動詞と名詞をどう組み合わせればよいのかまったくわからないという結果になってしまいます。

意味の広がりを理解する

「話を逸らす」を自動翻訳してみましょう。
Googleでは「degress」と翻訳されます。「本題からそれる」という意味です。
DeepLでは「change the subject (e.g. away from something awkward or inconvenient)」(話題を変える(例:気まずいことや不便なことから離れる)と翻訳されます。
「話を逸らす」というのは、何か聞かれて別の話題にすり替えることですからDeepL翻訳のほうが正しい翻訳でしょう。

この場合「話」は「subject」、「逸らす」は「change」と翻訳されています。こうした変換ができるようになるためには、日英両方で各単語の持つ意味の広がりを把握できている必要もあります。

丸暗記は意味がない

私の経験をもう1つあげると、単語や熟語を暗記するときに、意味を知りもしないで暗記だけしていたことがかなりありました。ある程度専門的な内容になると、いちいち調べないと意味がわからないのですが、そこまで時間をとることを厭って手を抜いてしまうのです。試験で得点をとることだけを目指していると、そうなってしまいがちでしょう。社会人になって実務を初めてからようやく理解できるような単語もあると思います。

子ども時代をアメリカで過ごして英語を話しており、その後帰国して日本語で生活していた人が、大人になったときには、子供時代に覚えた英語は子どもの英語だったので使えなくなったと聞いたことがあります。

結局、語学力だけが伸びるということはなく、いろいろな知識を身に着けていく中で語学力も伸びるということなのだと思います。

四、【過去最低に】日本人の英語力はなぜ低いのか?その理由を探る

DMM英会話ブログの記事です。要点を抜き出します。

日本の教育システム

暗記と文法の学習に重点が置かれている。
実際のコミュニケーションスキルや発音指導への重点が不足している

テスト対策本位の学習

実際の会話やリスニングスキルは後回しになりがち

文化的影響と英会話に対する態度

間違いを恐れる傾向が強く試行錯誤を伴うプロセスを難しくしている

実践的な英語の使用

日常生活で英語を実践的に使用する機会が不足している

結論と今後の道筋

英語習得を向上させるためには、教育システムの改革が必要です。具体的には、実用的なコミュニケーションスキルへの重点を置いたカリキュラムの導入や、教師の資格基準の見直し、実際の会話訓練の強化などです。

また、日常生活での英語使用を促進する文化的な変革も重要です。メディアやテクノロジーを活用し、英語に触れる機会を増やすことが効果的です。

五、英会話を独学で習得した勉強法。東北の田舎で18年過ごした私の体験談

別の記事も紹介します。

結論の部分を引用します。

英会話力は英語の総合力です。

英会話力だけを伸ばしたいからと言って、ひたすら英会話教室にいくだけでは本当の会話力はいつまでたっても身に付きません。

本当の会話力を身に着けたいのであれば、

一、基礎力(圧倒的な語彙力と文法基礎)
二、応用力(ネイティブが話す内容を理解できる聴力と、語彙力の瞬発性)三、ネイティブ力(発音、アクセント、海外のユーモア)

などを順番に身に着けていく必要があると思います。

私が担当させていただいている学習者さんの多くは①を疎かにして、②や③に進まれようとする方がいらっしゃいますが、まずは自分の現状がどこなのかを把握することが大切だと思います。

英語ができるようになるために必要なのは高価なレッスンや教材などではなく、近所の書店で手に入る書籍とインターネット。

そして、何より勉強法の勉強の勉強を止め、正しい方向にひたすら努力を重ねることだと思います。

過去の私は、時間的制約、場所の不遇を言い訳に自分が学習をしなくてもいい理由を作っていました。

なので、もしこれから学習をされる方や現在されている方は、永遠に続く方法論の形式主義から抜け出して、本当の勉強を始めてみてください。

https://eikaiwa.weblio.jp/ninja-eikaiwa/entry/eikaiwa-dokugaku

六、結語

以上を通じて見えてきたのは、英語を習得するには、基礎力(圧倒的な語彙力と文法基礎)を付けるしかないということでしょう。英会話はぜひとも必要というわけではなく、シャドウイングによってテンプレート的な表現を覚えることのほうが大切なようです。DMM英会話で示されている内容は、あまり的を得ていないようです。

単語を覚える際も、単語の羅列されただけの単語帳ではなく例文の付いているものを使うべきなのでしょう。「英会話を独学で習得した勉強法。東北の田舎で18年過ごした私の体験談」で紹介されていた「TARGET1900」を確認したところ、各単語に例文が示してありました。

日本人の英語力が低下している原因は、公教育での英語教育が、基礎力を付けるためのものになっていないためと思われます。英語で遊んだり、意味もわからずに会話させたりすることは時間の無駄であり、とにかく基礎の文法を身に着けることと、語彙力を増やすことが重要そうです。それも一生使うことのないような特殊な単語や熟語ではなく、実践的な語彙であるほうが望ましいでしょう。

蛇足

私は、本当に民主的な社会、多様性を認める社会というのは、英語話者だけが有利になるような社会ではなく、あらゆる人が自らの言語で生きることのできる社会であると考えます。とはいえ現実には、英語を使えることが有利に働く社会ですから、日本人もできれば実用的な英語を習得できる学校教育であって欲しいと思います。そのためには、英語だけでなく日本語も含めて、できるだけ多くの語彙を習得できる学校教育である必要があるでしょう。

さまざまな面で日本人を冷遇する今の日本であればこそ、以前よりも早い段階から、意味のない英語教育が実施されているように思えてなりません。


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