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思うこと352

 キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968年)を再び観た。最初に観た時は、家族もいたし、なんとなく内容も薄ぼんやりと覚えている…とは言っても5年以上は前な気がする。今回は、『2001年〜』はSF映画の傑作であると言われる一方、「なにあれ…」という評判もちらほら目にするので、さてどうだったかなぁ…と思い出したくなってもう一度レンタルした。

 結果的に言うと今まで内容の5%くらいしか覚えていなかった。その記憶のなさにびっくりしたのと、前回観た時より面白いぞ!と大興奮したため、
せっかくなので書き記しておくことにする。(ネタバレには配慮しないのはいつものことですが、もちろん難しい解釈とか考察もしません!)

 そもそも私が覚えていたのは、モノリスがドーン!猿!!みたいな部分と、HALが初期化(?)されていくシーンのみ。ほんとにこれくらいしか記憶になかった。それ故に映画として面白いかどうかもよく分かっていなかったが、漠然と「あれ凄いな」という感覚はあった。なので以下はほとんど初見と同じテンションで書くことに。何故だ、何故なんだ…。

 まず冒頭の暗闇。DVDプレーヤー故障した?!と焦らすやつ。なんとなくモノリスが移動してるのでは?と勘ぐってみたが、本当にただただ闇。マジか。そして始まる「人類の夜明け」。縄張りを奪われた猿がモノリスの啓示(?)によって骨を手に持って戦うようになる…というやつ。
 最初観た時は「ふーーーん」くらいにしか思ってなかったのだが、今見ると、ある種の知恵を授かって最初にやることがもう「戦い」っていうことに愕然としてしまう。生きていくためには「敵」を倒すのは必須なのだし、「本当は戦いたくないんだァ!」って言いたくなるのも平和な現代に生きる故の甘えなのかな…とも思ったりなどする。しかしこれが「人類の夜明け」なんだもんね…とすでにしみじみしながら、猿が空に投げた骨が、宇宙船(?)にすり替わるカットで笑ってしまう。まあ全ては骨から始まった的なこともあるよね。

 宇宙船やステーションみたいなものが出てくると、その「物」を舐め回すようなシーンの長さに驚く。この後の木星調査隊もそうだけど、当然宇宙空間だからゆっくりなのか、もしくはどうだこの繊細な作りを見ろ!ってことなのか、まあ両方なのかもしれない。思惑通り、あの丸いステーション的なやつは、一体どうやって撮影したのかしらん、と純粋に見入ってしまう。やっぱりCGのない時代は凄いぜ。
 ところで月面基地でモノリスを発見したよ〜みたいな話が行われるのだが、室内の様子が面白い。作中では未来感出してるのだろうけど、時代のせいかちょっとレトロな感じが漂っているところも良い。あんなとこに住みたい。
 そして博士たちがわらわらモノリスを見に行くのだが、みんなでモノリスを背景に写真を撮ろうとしたら何か妨害電波みたいなのが発生して、それどころじゃなくなる。「モノリスは撮影禁止かあ」と思い、何か微笑ましくなる。ていうか、この黒い四角いやつ、「モノリス」って名前すら作中に出てこないんですね!!!私は家族がすでに知っていたので、最初に観た時から横で「これがモノリス」「でたよモノリス」などと呟いていたので、自動的に知っていた。そもそも小説版には色々詳しく書いてあるようで、映画では細かい説明はカットしまくってるらしい。どうりで何も分かんねーわけだ!納得!!

 そして話は飛んで18ヶ月後の木星探査隊(調査隊だっけ?)。ここでついに六人目のクルーと称される、人工知能のHAL登場!(実は結構好きなキャラ)。木星に向かおうとしているがHALの様子がおかしいし、もう切断するか…と企んだためクルーの一人が殺され、冬眠していた他の三人も殺され、船長のデヴィッドは一人で頑張る羽目に。宇宙空間にふっ飛ばされた仲間を助けに行ったら、HALが船の扉を開けてくれないので、無理矢理侵入して中枢機能をシャットアウトするぞ!的な。
 この辺は後半は覚えていたので、なんとなく懐かしいなあと思いつつ、HALの反乱の怖さに震える。あと初期化みたいにされていく時、「感じる」とか「怖いよ」とかの台詞がまた怖い。そんで自己紹介のあとに歌を歌って…。歌も怖い。でもきっとHALが幸せに人間と生きていく未来もあったのだろうなと想像してちょっとホロリ(気持ちが忙しい)。

 おそらくそうしてHALを成敗し、デヴィッドは木星へ向かう。で、向かっている間にモノリスと近づいて、何か「勘弁してくれよ!!!」と言いたくような長さの謎の極彩色イメージ映像が続く。これが私の記憶にないシーンなのは、意図的に頭から閉め出したとしか思えない。だって、しんどいよ!?しかしこれを早送りしたら負け!!と謎のイメージに対する謎の意地っ張りで見届けると、例の部屋、そして怒涛のラストに繋がるわけだけど、いや、「ね、こういうこと」みたいに終わられても、何も分かってないんですが!!!?と困惑。
 でもこの困惑は上記した通り、色々説明を省かれた結果だと思うので、あまり気にしていない。まあよく分かんないけどまたゼロに戻ったというかむしろ進化したというか、まあ、胎児、凄いもんね、みたいなことで良い気がする。(無論、後でスターチャイルドとかワープだとか調べてなんとなく納得はしたけども。)

 そういうわけで結局二度見ても後で詳細を調べなかったら、私の理解力では「えっ何も分かってないよ!?!?」状態であることに変わりはなかったのだが、でもやっぱり凄い面白いんだこの映画!としみじみ感じた。一種の脳内麻薬というかハイというか、映像の凄さなのか一体何なのか分からないが、家具の面白さとか部屋のデザインとか、最後の部屋みたいなあのカメラワークとか、キューブリックならではの「画」が良いんだろうなあ、と思ったりもする。
 あと思ったより話がシンプルだったことにも驚き。てっきりもっと複雑なストーリーかと思っていた。(複雑でない分、難解なのかもしれないが…。)

 そして、宇宙の旅をしてるのって「モノリス」なのかな…??

 そんなわけで勢いだけで感想を書いただけでした。今後も三年に一回くらいは観たいかもしれない。もう2020年だけど。

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