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映画感想文

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記事一覧

『ドライブ・マイ・カー』を観て ~と、その前に『女のいない男たち』を読んで~

1.『女のいない男たち』は「いない」系の極み いない。 今はいない。 過去には深く関わって…

『フレンチアルプスで起きたこと』を観て ~積み上げた理想が「雪崩」を起こすとき~

◇「立場」を守るためには ◇ たとえ自分自身がそれをしたいと心の底から望んでいなくても、…

『誰のせいでもない』を観て ~幸が不幸を生み、不幸が幸を生み~

◇ みんな悪くて、みんな悪くない ◇   確かに、誰のせいでもないとしか言いようのない不幸…

映画『マルホランド・ドライブ』を観て ~やるかたなきは夢であること~

◇ 夢みたいな夢 ◇ あの日より 飽くこともなく見る夢の やるかたなきは夢であること 上記…

映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て ~ いいかげん「政治家向きな人」の概…

◇ 政治家向きな人 ◇ 政治家に向いていない。 この一言が、彼の両親も含めた周囲の人々の小…

映画『三度目の殺人』を観て ~決して出会えない「自分」という何か~

◇ 知らない自分が無数に存在する世界 ◇ 自分だけが、自分という人間を外側から直に目視する…

映画『ありふれた悪事』を観て ~「愛国」の耐えられない軽さ~

◇ 1987年 ◇ 時は1987年。 舞台は、韓国のソウル。 たかだか34年前、まださほど大昔とも思えないこの時代に韓国は軍事独裁政権だった。 1987年は、チョン・ドファン政権の任期最後の年。 独裁政治に我慢ならない民衆の、大統領直接選挙制実現に向けての憲法改正を求める声が激しくなっていた。 しかし政権は、直接選挙制への改憲は頑として拒否。 同年の4月13日に「4・13護憲措置」を発表し、現行憲法の規定通り、選挙人団選挙により間接選挙で次期大統領を選出することを決めた。

映画『ソウル・ステーション/パンデミック』を観て~緊急事態とショックドクトリン~

◇ ゾンビ映画の三層構造 ◇ ゾンビの生みの親であるジョージ・A・ロメロ監督によって、ゾン…

映画『オアシス』を観て ~孤独な惑星のボーイミーツガール~

◇ 孤独な惑星のボーイミーツガール ◇ 主人公のジョンドゥは、傷害、強姦未遂、ひき逃げなど…

映画『ROMA/ローマ』を観て ~ただそこにある人間愛~

◇ 匂い立つような臨場感 ◇ 匂い立つような映画。 まずはそれだ。 水。土。泥。埃。風。雨。…

映画『雪の轍』を観て~コロナ禍にありて思うこと~

◇ 人生の冬、これから ◇ 30年近くにもおよぶデフレにより、この国に住まう人々の懐は冷え込…