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帰去来 

  歸去來兮       
  田園將蕪胡不歸  
  既自以心爲形役  
  奚惆悵而獨悲    
  悟已往之不諫    
  知來者之可追  
  

陶淵明 「帰去来辞」

帰りなんいざ
田園に 田園まさにあえれなんとす
すでに自らこころをもって形の役となす
なんぞ惆悵(ちゅうちょう)してひとり悲しむ
己往の諫めざるを悟り
来者の追うべしを知る

故郷に帰ろう。故郷は荒れとるに。
心をつぶして仕事してたけど、
そもそもなんでこんなことしてるん。
なんや今までやってきたことがおかしい気がしてきた。
これからのことを追いかけよ。

近鉄に乗りながら平城京を撮ってみる。
近鉄が平城京内を走ることは、全国的にも鉄には有名らしい。

私は東京らへんから、近鉄の見える風景に帰るとき、陶淵明の「帰去来辞」の冒頭が浮かぶのです。(近畿地方の風景は何ら荒れてませんが。)陶淵明は六朝・東晋時代の田園詩人です。本当に官吏やめて故郷に帰ることを選んだ人です。陶淵明は技巧的というよりも軽やかで透明感のある感じで好き。恨み言なしの自由で正直な感じが好き。

薬師寺休ヶ丘八幡宮
の前のとこで近鉄を撮る。

歸去來兮       
請息交以絶遊   
世與我以相遺   
復駕言兮焉求   

陶淵明「帰去来辞」

帰りなんいざ
交わりをやめ以て遊びを絶たんことを請う
世と我以て相忘れ
また駕して言にいづくにか求めん

故郷に帰ろう。
社交的な交際はもう切ろ。
社会と自分は合わなんだ。
なんでまた勤め人やらなあかんよ。

ある日の明け方の奈良市大宮通。

いま、なぜか二拠点で生きている私ですが、どこまでいっても東京は仮宿。近鉄沿線はどこでもだいたい故郷です。人にはそれぞれ、自分に合った生活の速度や規模があるのだとと思います。私には、近鉄沿線の街の空気の流れが、あってるのだと思います。人口10~50万規模の街がいい。いっぱいにつまったスケジュールをこなす日々こそ充実した生活、だとは私は思えないということです。そういえば一昔前に流行った脳内メーカーでは、私の頭の中空洞みたいやったな・・・

これは近鉄ではなくてJRの奈良駅。
早朝時間が好き。




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