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救えたかもしれない命 体験記⑰


高校時代は、そんなに一緒に遊んだ事がなかった女友達。

会社を退職してから、なんとなく連絡を取るようになり、たまに一緒に遊んでいた。

高校三年間同じクラスだった彼女、かなり無口だが、とっても個性的で私には気になる存在だった。

たまに仲の良い友達にからかわれて、
笑いながら突っ込まれる所が愛されキャラで面白かった。

彼女とは、よく渋谷や原宿で待ち合わせをして、
雑貨屋さん巡りをしたり、お洒落なカフェでお茶したり、ぶらぶらと表参道を散歩した。



何の話をするわけでもなく、
一緒に見慣れないお店を巡るのが、好きだった。

摂食障害だった事は一切言えなかったが、
苦しい時、気分が乗らない時でも、
彼女にだけは素の自分を見せれた。

交わす言葉は少なかったが、
私は彼女と一緒に居てとても楽だった。

ある日、突然彼女から電話がかかってきた。

「今日これから会わない?」

私は、急だったのを理由に、彼女の誘いを断ってしまった。

まさか、もう二度と彼女と会えなくなるなんて思ってもなかった。

数日後、共通の友達から連絡がきた。

彼女が亡くなった

電話の声は、確かにそう言っていた。

ハッキリとした死因は、わからない。

「え?何で死んだの?」

「わからないんだって」

というか、

ご両親は明らかにしたくなかったようで。

ハッキリとはわからなかった。

数日後、お別れの会があり、そこに出席した。

久しぶりに会う仲間も居て、まるで高校時代の同窓会になった。

会場に入ると、壁一面に文字が記されてる手紙のようなモノが貼ってあった。

私はそれに少し近づいたが、
彼女の書いた字だとわかると、

どうしても読むことが出来なかった。

ごめんね。

あの時、少しでも話を聞いてたら

あの時、会いに行ってたら

私達の未来は違っていたかもしれない。

悔やんでも悔やみ切れない

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