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不調な時のレシピ本

ひとり暮らし歴20年にして不調が続き、料理熱に火がついた。食事制限があり、外食もなかなかできないからこそ、今年は私にとって小説を読んだり映画を観るより、レシピ本を読むことの多かった一年でした。
そんなわけで、絶不調な中でも食べること・作ることのたのしみを教えてくれた、私の中のレシピ本大賞を発表したい。
(個人的な好みは、小麦粉、砂糖、お肉をできるだけ使わないレシピ本)

1.粥百選

高梨尚之 翠香園 著
2017年出版

『冬瓜と干し貝柱、昆布、緑豆の粥』(98頁)を作ってみました

永平寺の住職だった方と、横浜中華街の翠香園がタッグを組んだお粥本。和風粥と中華粥の章が半々ずつ載っています。
私は、毎朝お粥を食べています。ただ休日にまとめて二合分を鍋で作るため、レシピ通りに具とお粥から煮ることはないのですが、「よもぎとマッシュルーム、食べてみたい」とか「かぼちゃとじゃがいもと黒豆、合うんだ」とか、まるでファッション雑誌のコーディネートを眺めるように、朝粥の参考にしています。フルーツ粥もたまーに食べたら、新鮮でおいしいんですよね。

2.ひと皿満足スープ

榎本美沙 著
2022年出版

具材がシンプルで、真似しやすくてうれしい。YouTubeももちろん、観ています。

焼きおにぎりスープ

『なめこの焼きおにぎりスープ』(69頁)を作ろうと思いましたが、なめこがなかった。そこで私は思いついた、引き出しの奥で眠っている「昆布とろろをかけちゃえばいいじゃん!」
魚グリルでおにぎりを焼いて、とろろとだし汁をかける。楽でおいしい、革命的。焼きおにぎりをスープにするという発想さえなかったので、これを知れたのは大収穫。
あと、何で見たかは忘れたけれど、右下に映っているかぼちゃサラダも革命的な味だった。かぼちゃ煮にあずき、カレー粉、マヨネーズ、クミンで和える。小豆を、榎本さんの発酵あずきにして混ぜてもおいしかった。
(余談ですが、榎本さんのレシピ作る時あるあるとして、YouTubeの軽快なJazzソングを口ずさみながら料理をつくる、というのがあるね)

3.なんとなく不調をととのえるスープ

鈴木愛 著
2019年出版
Kindle Unlimited

『すりおろしにんじんと生姜の炊き込みご飯』をおむすびに
『長芋のポタージュ』もおいしかった

このレシピ本、秋・冬のスープから掲載して、後半に春・夏のスープを載せているところに工夫を感じます。そうそう、最も知りたいのは身体をあたためるスープなんです。あと題字のスープの「ー」が長いのがいい。『ブロッコリーのとろろ汁』も衝撃的でした。

4.ご自愛レシピ

野本弥生 著
2022年
Kindle Unlimited

『カシューナッツのリゾット』ならぬお粥と『白菜しゃきしゃきショウガスープ』を作ってみました

一汁一菜の2品が1ページに収まっていると、見ながら調理の時に作りやすい。組み合わせ通りに作るとは限らないけどね。一品一品がさりげないごちそう感で洒落ています。大根もちは白玉粉で作るともちもちのお餅みたいになることを知った。

スープにあじのつみれを足してもおいしかった

5.実身美の養生ごはん

大塚 三紀子 著
2021年

ほたてとすりおろし蓮根の玄米粥(129頁)と鮭と野菜の石狩鍋(126頁)を作ってみました

外食したくても行けない時にこの本を開く。
ほとんど砂糖ぬきのレシピで、具材さえ揃えば、分量通りじゃなくてもほんとうにおいしくできあがる。私は失敗することも多いですが、まさにカフェで食べるような味に。『玄米甘酒のデミグラスソース煮込み』も食べてめちゃくちゃ感動した。

6.薬膳ひとり鍋

坂口珠未 著
2023年出版

『あずき入りミネストローネ』(83頁)

この本、不調別に小鍋レシピが掲載されていますが、私は「おいしそう!」と思ったものが、「身体が求めているもの」と都合よく解釈しています。そこで作ってみたのが『あずき入りのミネストローネ』、これイイネ! 鶏ひき肉はなしで、小豆は冷凍していた発酵あずきを入れました。
薬膳料理は、変わった食材(陳皮や竜眼ってどこでお手頃に買えるの?)や、香辛料を使うことも多いため、まだ全然実践できていませんが、この冬に色々挑戦してみたい。

7.新・豆腐百珍

大原千鶴 著
2021年出版
Kindle Unlimited

上品な豆腐レシピが満載でうれしい。タンパク質万歳!
特に『はさみ豆腐』(65頁)の、「やさしい小籠包のような味わい」の一文に惹かれ、私は鶏ももひき肉を買いにイオンに走った。そして私は、ここから新しいレシピをここから開発してしまった。

はさむのがめんどうだったので上にのせて蒸した ver.
はさみ蒸しデラックス ver.

大原さんは、ぜったいにこんなことしないんですけど。本では、豆腐を半分に切り切り込みを入れ、そこに少量のタネを入れ、だし汁と醤油で煮ますが、そこをミルフィーユにして、せいろで蒸して醤油がけに。
不思議なのは、この形なると「やさしい小籠包のような味わい」にはならないんですね。「やさしい小籠包のような味わい」になるには、少量でおしとやかにいただかないとだめなんですね。でもこれはこれでおいしい。お弁当にも無理矢理詰めて持ってった。ああ、はしたない。いや、豪快でよろし。

8.あたらしい家中華/酒徒

酒徒 著
2023年出版

牡蠣の卵焼き(53頁)を作ってみました。

「鶏ガラ、豆板醤、オイスターソースなくてもいいんだ!」とか「セロリとゆにねって合うんだ!」とか発見があり、中華料理への思い込みがガンガン崩れていった一冊。
今年とても売れたレシピ本だそうで、noteでも連載されている酒徒さんですが、私は平野紗季子さんのポッドキャストで知り、即購入。即、しらすの茶碗蒸しを作り感動。夏休みの自由研究を突き詰めたような一冊に、さらに感動を覚えました。

中華料理ブッダボウル。トマトの卵炒め、里芋の葱油炒め、きくらげ香草、胡麻だれ白菜、レタスの湯引き、ほとんど酒徒さんのレシピ。

9.クロワッサン特別編集 白崎茶会の「豆乳ヨーグルト」のおかずとおやつ。

2023年出版
Kindle Unlimited

白崎裕子さんの豆乳ヨーグルト大特集。
白崎さんのレシピ本はどれもすばらしいですが、(私は『秘密のストックレシピ』は常に台所に置いてある)この雑誌の特集、充実っぷりがすごい。この夏『かぼちゃプリン』『葛ゼリー』をよく作りました。砂糖もオーブンも使わなくていいなんて、うれしすぎる。

『かぼちゃプリン』
白崎さんの『豆乳マヨネーズ』は鉄板

まぁ、不調な時はマヨネーズ自体避けた方がいいのですが、それでもたまには、質のいいオリーブオイルを使って、自分で作るぶんには、いいかなと思っています。
このマヨネーズがあるおかげで、もうずっと食べられないような気がしていた、お好み焼きを作りました。ソースは醤油とみりんと玄米粉で。お好み焼きの生地は『ばくばクック』で見た、オートミールお好み焼きを参考にしました(お肉なし、キャベツだけでも充分満足)

オートミールお好み焼き


10.藤井恵のおうちごはん

藤井恵 著
2015年出版

『あおさとベビーリーフのサラダ』

表紙にもなっている、『あおさとベビーリーフのサラダ』を作ってみました。あおさのトロッとしたのがオリーブオイルとごま油に絡みついておいしかった。次は大根で和えてみます。他にも、基本的なおかずが満載でうれしい。


▽この本も読みやすくてよかった


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まじでどんだけあるんだ料理本。
みんな疲れているから流行るのだろう、手抜き系、ずぼら飯、時短、回復めし、健康志向に、発酵、薬膳、美食系。ガツガツ飯、流行りのYouTuber料理家たち。ダイエットや節約系の本は最近減ってきているような流れを感じる。
こんなにたくさん読めるのも、目眩く料理本ブームとKindle Unlimitedのおかげ。noteのクリエイターで「料理家」を検索したら200名の方がいらっしゃる。
私もパラパラスライド読みしてはスクショして「次!次!次!」という読み方。そんな時ちょっと「こんな読み方でいいんか?」と自分に引いてしまう時もある。
そんな中でも「言われてみれば、何度も開いているなァ」と思う、きらっと光るレシピ本がある。そんな10冊をまとめてみました。
体調がすぐれない時の参考になりましたら。

皆さまのおすすめレシピ本もよかったら教えてくださいね。

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追記

野菜1品で作れる! ゆるっと整うやさしさごはん

作ってみた「蒸しりんご」


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