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問診の書


問診の重要性

治療開始前に必ずする情報収集は、みなさん十分でしょうか?
問診で得られる情報は、後の治療に大変重要な役割を持ちます。
学生の頃、問診内容が不十分で検査立案や治療に際して、迷子になった経験がある方がほとんどではないでしょうか?
また、これから臨床実習を迎える学生さんも問診の重要性を理解することで、円滑な検査実習や治療実習に臨めるのではないかと思います。

問診で失敗する3つのこと

普段の問診ではどんなことを聞いているでしょうか?
問診は単に疼痛や生活状況を聞くだけの検査ではありません。
自分の収集したい情報をいかに簡潔に多く聴取できるかで、迷子にならずにことを運べるようになります。

みなさんはこんな経験や失敗はないでしょうか?
①問診時間が長くなってしまう。
⇨ 疼痛部位を聞いたら、疼痛部位以外の話に脱線してしまい、必要以上の情報に派生してしまった。結果、時間だけがかかってしまい、検査・治療時間が短縮してしまった。

②問診内容がざっくりしすぎている。
⇨ 「痛いところはどこですか?」、「困っている動きはなんですか?」、「どうすると痛いですか?」など
上記に挙げているような、聞き方が悪いわけではありません。ですが、問いかけに対して得られる情報は僅かになってしまいますし、①の問診時間が長くなってしまう原因にもなります。

③事前準備が不足している。
⇨ カルテでの病名確認だけで、医師やコメディカルの情報を見落としている。
事前に問診で聞く内容を考えずに行き当たりばったりになってしまっている。
このような状態では十分な情報を得られず、また聞きながらまとめることは難しくなるため、事前準備は必要不可欠になります。

どんなことを聞けばいいのか?

では、実践で十分に情報収集するために必要なこと、具体的にはどのようなことをどのような形で聞けばいいのか?

1)動作制限となる疼痛
時間軸:朝方(起きてすぐ痛いのか)または夕方(段々痛くなってくるのか)が痛い、夜寝る時(就寝時に疼痛が強く寝れないのか)が痛い
⇨ 血流要素や疲労、睡眠障害の有無を考慮するのに役立つ

発痛部位:ピンポイントで痛いのか、広範囲で痛いのか?
⇨ ワンフィンガーサインで確認!
ピンポイントで痛い場合は指し示す部位に変性や炎症が生じている可能性がある
広範囲で痛い場合は、神経性、広範囲の受傷・炎症の可能性がある

動 作:立ち上がる時が痛い(初動が痛いか動作中が痛いのか)、歩く時が痛い(立脚フェーズで痛いのか遊脚フェーズで痛いのか)、長時間立っていると痛い(どのくらいの時間で痛くなるのか)
⇨ ここでは、OKCまたはCKCで症状が出ているのかを把握する。疼痛のきっかけがわかることで治療前後の比較や要因分析に役立つ。
※各動作の発痛タイミングがわかることで、主動作筋または拮抗筋、神経絞扼等の影響を把握できる

程 度:疼痛強度(VAS)や疼痛の種類(鈍痛or鋭痛)を確認する。安静時も痛いのか、疼痛の安楽肢位はあるのか
⇨ 疼痛強度は治療前後比較、種類は神経性or軟部組織性などの発痛要因の特定に役立ち、安楽肢位を自身で把握できていることは疼痛コントロールや予後予測に役立つ。

発痛要因:発痛要因がはっきりしているのか、要因不明で痛いのか確認する。
⇨ 発痛要因がはっきりしている(スポーツ外傷や捻挫、骨折・事故など)の場合、疼痛要因は受傷部位にあることがあるため、発痛部位にまずは重点を置く。
 発痛要因がはっきりしていない(朝起きたら急に痛かった、気づいたら徐々に痛くなってきた、特に何もしてないけど痛くなったなど)の場合、神経性絞扼や姿勢性の負担、過去の既往歴からくるものなど、考慮するものが多い

2)既往歴
既往歴を聴取することは、現状の症状を改善するきっかけにもなる。
既往歴については、現状の症状から遠位でも聴取しておくべきである。
⇨ 代償動作による負担が主症状の要因になっているケースも少なくない。
また、既往歴の重症度も考慮する必要がある。一定期間安静が必要であった場合や骨折等の固定、手術歴など重症度の高いものについては、考慮が必要!
内部疾患や先天性疾患、運動歴についても確認しておくのも要因分析には大切!

3)服薬・投薬情報
リスク管理や副作用の影響も考慮する。
リハビリテーションを安全に実施する上では重要です。
特に鎮痛薬の長期服用をしている場合は、疼痛の管理に注意が必要。
コルセット等の使用についても聴取しておくと良い。

4)医師からの留意事項
医師からの留意事項も確認しておくとさらにリスクヘッジしながら検査できるようになります。これはカルテ情報や事前情報で確認しましょう。

まとめ

上記以外にも必要項目はありますが、基本的には動作制限となる疼痛や疾患の把握が必要になります。事前に上記内容を聴取することで初期評価や治療前後比較は円滑にできるかと思います。
生活状況、家族構成等の病院勤務で必要情報もある場合もあります。また上記以外にも先天性疾患や進行性難病など身体状態を著しく制限する状況は多いため、一般病態を把握しておくことが大切です!!



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