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「ゆりあ先生の赤い糸(第9話)」家族とは何かというよりも、男女の友情的な物語だったのか?

田中哲司が歩けるようになり、菅野美穂を過去にこだわることなく会話しているのを見て、三田佳子が「二人はいい友達なのね」と言う。この後に放送している「いちばんすきな花」より先に、男女に友情は成立すると言う答えが出されたようだ。そう、ただ家の中を彷徨っているだけの三田佳子であるわけだが、存在感はすごい。彼女がこの役を引き受けたことでドラマが締まっていたとも言える。

で、ラストは菅野が呼んだ便利屋が木戸大聖だったという奇跡。そして、二人が抱きしめあって終わるという、まあ、ハッピーエンドなのだろう。この二人もSEXで結ばれているのではなく、友情に近いものがあるわけで、この原作自体が、そういう壁を破っていったらどういう未来が来るの?と言う話なのかもしれないなと思ったりもした。

そんな幸せな未来に行く前に、菅野が乳がんになる。そして、乳房の全摘を医師に頼む。この辺りも男前の菅野の姿なのでしょうね。そして、木戸にはしばらく会えないというと、木戸は「俺は二刀流だから、おっぱいがなくてもお尻があれば大丈夫だという」なかなかいい言葉であるが、自分も性欲に対して答えられない身であることが、こういうことを言わせるのである気もする。

そして、金髪の鈴鹿央士が夜中に忍び込んで、田中や菅野を襲おうとする。鈴鹿の気持ちはいまいちわからないが、前回、恋仲になったようだった黒羽真璃央は今回は出てこなかったし、鈴鹿のこの辺りの描き方は原作を随分と端折ってる感じはしますよね。そう、黒羽といえば、バレエの話も中途半端に終わっている。白山乃愛が舞台に出るようなところは見たかったな。

その白山の母親である、松岡茉優は菅野と仲良しになり、ある意味、この家の中和剤として最後は存在しているようである。彼女自身も調理師免許をとるという夢を見ているわけで、それもあってのこの家のカフェ化と言う話は、まあ、ドラマの最後のまとめ方としては綺麗だったし、それがあって、木戸が菅野に再会できるというのもわかりやすいと言うところだろう。

で、鈴鹿は故郷の旅館を継ぐことになり、心配な田中は一人で会いに行き、最後に二人が抱き合うシーンが出てくるのは、どう見たらいいのか、私的にはよくわからなかった。だいたい、みんなに迷惑かけたのは田中なのに、最後には何ひとつ悪い人に見えてこないのは何なの?浮気したり、男を愛したりしていた男がこう幸せそうに描かれるのも不思議である。

確かに、話自体が異次元すぎて最初からモラル的なものが壊れたところから、そこをどのように菅野が立て直すかというところがテーマだったわけで、混沌の世界がいつの間にか秩序を持ってまとまるみたいな流れは面白かったし、現代はこんなこともあるのかねと思わせる部分は多かった。そう言う意味で、なかなか興味深いドラマであったとは思う。

で、ドラマの中で宮澤エマが一番嫌な奴的に描かれていたが、彼女の考え方が一番まともではあった気もするのですよね。でも、鈴鹿と偽装結婚しようとしたのは無理があったね。

久しぶりに菅野の力強い演技が見られたのはよかったが、菅野が吉瀬美智子の妹だって言うのは、配役に無理があるなと最後に思いました。

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