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「下剋上球児(第5話)」そして、信頼している人たちは戻ってきてくれる

鈴木亮平演じる南雲先生が偽教師だった問題は町に一気に広がるが、鈴木がもはや退校していることもあり、学校的には大きな問題にはならなかったが、父兄は騒ぐ。当たり前だ。だが、山下美月は、「お世話になったから何かできないか」と逆の意見。これが、イコール野球部の生徒たちの意見であることは、最後に皆が鈴木のもとを訪ねてくることでわかる。ここまでで勝ち取った信頼は揺るぎないということだろう。

その一方で、弁護士との会話の中で、鈴木が教師を続けてしまった要因となる、援助交際をしていた女子生徒を救った話がなかなか泣ける。ここにきて、鈴木の人間性が語れるのは後半戦にそれがわかってることで野球の中で奇跡がおこるからだろう。粘り強く真摯に向かえば、生徒は絶対にわかってくれるということ。それが、鈴木の生き方なのだろう。だが、この辺りが野球ドラマとしてはまだるっこしい気はする。

で、鈴木の弁護にあたるのが伊勢志摩。この間まで再放送していた「あまちゃん」の中での個性的な芝居が印象的な人だが、こういう真面目な弁護士の姿もさらりとこなす。役者である。彼女が弁護に就くことでこの話が印象的に残ってく感じである。次週は鈴木が起訴になるかどうかというところ。そこでの彼女の芝居も楽しみである。

そして、新しい監督として町田啓太が来る。話の中には合理的な野球部運営しか感じさせないのが面白みに欠ける。小日向文世がまた口を出して連れてきた形だが、町田がこの役やらなかったら、もっと影の薄いものになったのだろう。脚本的はあくまでも鈴木が甲子園に彼を連れていく話であるわけで、まだ、ここは通過点でしかない。

とはいえ、この監督が山下の弟を投手から外すという話の中で、彼を鈴木の家に寝泊まりできるようにさせ、それに乗じて、野球部の皆が鈴木の元に集まってくるきっかけになっているわけで、今回のラストで鈴木が見せた涙はいろんな気持ちが混じっていて、ドラマ的にはすごい効果があるものになっていた。

で、黒木華が自分で監督をするという流れになる。ここで、黒木がそれを相談した松平健が、鈴木に「破門」を言い渡しているわけだが、彼と鈴木の和解の場所もここから大事になるところだろう。

そして、また甲子園の予選を迎える。今回は、鈴木が辞めてからの約一年の通過点を描いているわけだが、ここまでで、鈴木への人としての信頼感を描いてきたわけだ。そのために偽教師問題が必要だったかどうかはよくわからないが、視聴者とともに「下剋上」というタイトルに沿って感動させるための仕掛けであることは確かであり、ここから後半、楽しませていただけるのでしょうね・・。

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