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「地下室のヘンな穴」フランス映画NO1ヒットというキャッチだが、かなりの低予算の風刺映画

第72回ベルリン映画祭正式出品作品というから、そこそこの作品と思いきや、上映時間74分の低予算映画。予告編でその安っぽさみたいなものはわかったが、地下室にぽっかり空いた“穴”に入ると「12時間進んで、3日若返る」という設定のくだらなさに、観ずにはいられなかった。

そして、観た結果は、予想通りのくだらなさであったと言える。女性の若返りへのあくなき探求と、男性の性力を保つことへの執着と、そんなものをテーマにした風刺激だった。ある意味、面白いといえば、面白いのだが、日本で作れば、それもピンク映画で作れば、もっと面白いものができるのではないかと思った。ある意味、上品に作りすぎだし、フランス語がまたそういう感じにしてしまう。是非、誰か設定だけ真似して面白い作品を撮ってほしい。「穴」の話より、人工ペニスの話だけで、すごいもの作れそう!映画の中では、日本製になってるしね。

ということで、ネタバレ満載で書きますので、観る予定の方はこの後を読まないでくださいね!

短い映画なのに、結構、導入部に勢いがない。問題になる家を物色するところから始まるのだが、不動産屋がなかなか問題の地下の穴の秘密を言わない。なんか、ここ、引き伸ばしてるだけで眠くなってきてしまった。時間の前後を壊してるのは、この穴が時間を壊す道具だからなのだろうか。その説明を映像としてあまりうまく見せていないのも気になった。

で、問題の穴は、通ると12時間先に行けるということで、いわゆる単使用のタイムマシンなわけだ。元に戻れないから、未来を見てきてそれを過去に生かすことはできない。つまり、よくあるギャンブルで儲けるようなことは無理。まあ、地下から入ると、屋上から降りてくるような作りは、ドラえもん的な空間作りである。多分、影響されてる気がする。そして、この穴に関して男は何も関心を持たない。先に書いた単使用のせいか?いや、そういう「何が得か?」ということを考えないのもおかしいわけで。まあ、この12時間先に行く設定は、あまり映画の中でも生かされてはいない。

脚本家は、それだけではつまらないから、「穴を抜けると3日若返る」という設定を足したのか?これは、なかなか面白い設定。3日という時間がなぜ考えられたのかはよくわからないが、女性がそれを若返り機械と思うのは正しい感覚。そして、一度試しただけで、夫に「胸を触ってみて?」というのは、なかなか可愛い感じだなと思った。

そんな話の中で、夫の上司が「人工ペニス」にしたという話をし出す。穴に関係する話ではあるが、よくわからぬ展開。いわゆる玉は切らずに、人工のをつけたという。大きくなったり、小さくなったり、バイブレーションも調整できるという。もう、ここで私はコメディポルノを見ている感じになってきてしまった。そして、それが日本製だという流れ。後で、故障して日本に治しに行くのだが、設計図が出てきて、ほぼ形はバイブレーター。ということは、日本のアダルトグッズの印象がフランスで強いということなのか?そして、故障したり、最後に発火したりするのは、フランスの日本製品への感覚がそういうものなのか?日本人としては見ていて穏やかではない。この辺りが予告や宣伝で出てこないのは、そういうのは隠したい日本なのだろうか?

まあ、女の若返りと、男の性の問題を絡めながら、最後まで行くのだが、その顛末は最後の10分くらいで早送りで見せられる。まるでファスト映画である。フランスでも、映画の早送り問題があるのだろうか?というか、ここを早送りにしなけりゃ、この映画2時間にはなる気がする。初めはそうしたが、面白くないので、こうした可能性もある。

そして、オチは、何度も穴を通って若返って、希望通りモデルになれた奥様の体の中から、あるものが出てくるというもの。確かに、穴に入ることを考えれば、その発想はわかるのだが、なんか、ここに少し無理矢理な理由が欲しいと思った私である。

多分、ドラえもんや、日本のアダルトグッズがヒントになって、こういうものが出来上がったのだと思うが、それを面白がるフランス人の感性がもう一つ見えてこないのが、もどかしかったですね。


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