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【鑑賞記録】映画『キンキーブーツ』ライブ音響上映 2024/1/9

私がグランドミュージカルにハマったのはここ数年のことで、『キンキーブーツ』に興味を持った頃、日本では上演しておらずなかなか観る機会がなかった。
年末ぼんやりとX(いまだにTwitterと言いたい!)を眺めていると「"音"で楽しむ!新宿ピカデリー映画祭 ライブ音響上映」なるイベントのお知らせが流れてきた。

上演作品の中に、なんと『キンキーブーツ』の文字が。ミュージカルなのに?映画館で上映?と思い調べると、映画館で上映される『キンキーブーツ』には、映画版とミュージカル版の2本あるそうだ。
『キンキーブーツ』は実話が元になった話なのだが、その実話のドキュメンタリー番組に着想を得て制作された映画版と、その映画を元に作られたミュージカルのロンドン・ウエストエンド公演を撮影したミュージカル版があり、今回新宿ピカデリーで上映されるのはミュージカル版とのこと。
『キンキーブーツ』自体を観てみたいのはもちろん、海外のミュージカルを日本語字幕付きで鑑賞できる機会はそう無い!と思い、仕事終わりに見に行くことにした。

新宿ピカデリーさん、上映ありがとうございます!

鑑賞詳細


映画『キンキーブーツ』
【鑑賞劇場】
東京|新宿ピカデリー(ライブ音響上映)
【鑑賞日】
2024年1月9日(火) 19:00〜21:05

あらすじ

舞台はイギリスの倒産しそうな靴工場。自分の意思に反して、跡継ぎのチャーリーは経営困難に苦しむ。そんな中、チャーリーはドラァグクィーンのローラと仲間たちに出会う。外見も振舞いも違うチャーリーとローラ。しかし思いがけない2人の共通点から、物語は意外な新展開を見せるー。

映画『キンキーブーツ』公式サイトより

感想(ネタバレあり)

先に結論から言うと、ただ一言、良かった。
本当に良い映画で、本当に良いミュージカルだった。

何が良かったのか、私の稚拙な文章では伝わらないと思う。ミュージカルだからこそ伝わるパワーがあった。

ただ、私自身ひとつ感じたことは、私を含め、この映画で救われる人はたくさんいるのでは、ということだ。
私も実家でとある家業をしており、他に継ぐ人がおらず、継ぐ継がないで散々悩んだ経験がある。紆余曲折あり、最終的に継がないことを決めた。継がないと決めるまでも辛かったが、決めた瞬間も辛かったし、決めた後も辛かった。何年も何年も、毎日毎日、親の期待を裏切ってしまったという思いが消えず、「本当にこれで良かったのか?」という声が頭に響いて離れなかった。

だからローラが感じた、期待に応えることを諦めた瞬間の一気に息が吸えるような開放感、そしてそれと引き換えに襲いかかる後悔の念。私にも、それが少しだけわかる。
ローラがドンに提示した「ありのままを受け入れて」という願いは、ドンという他者へのメッセージでもあり、自分自身へのメッセージでもあったのだと思う。

ラストの「♪Raise You Up」で、赤いヒールを履いた幼いローラが父親とハグするシーンでは涙が止まらなかった。
あの瞬間、ローラは本当の意味で開放されたのだと思う。「こうあるべき」という、自分や他人の決めつけから開放されて、本当に息が吸えるようになったのではないか。

もし、他人の期待に応えられず悩んで苦しんでいる人、あるいはかつてそうだった人がいたら、ぜひこの映画を見てほしい。きっとローラと同じように、ローラを通してあなた自身も救われるはずだ。
ストーリーはもちろん、ミュージカルだからこそ伝わる歌とダンスと演出が、あなたを「Raise up」してくれるだろう。


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