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colony vol.7 -exhibition- 出展作品



まえがき

『colony vol.7 』-exhibition-
出展作家のひとり、花浜紫檀です。
はなはましたんと読みます。

2020年から短歌を詠んでおり、インターネットで発表したり、雑誌や新聞の投稿欄に掲載していただいたりしています。

今回は、短歌を手書きの手紙形式で、それぞれ10首ずつ、計20首展示しました。

📷OX氏(X id:@OX_xoxoxoxo)


短歌の定義は簡単にいうと「季語がなくてもよい、57577の調べに合わせた言葉」なのですが、近年は自由詩のようなもっと自由な韻律の口語短歌も増えています。そもそも、短歌を短歌たらしめるものは何だろう?と私もよく考えています。

そこでだいたい私が行き着く、私なりのアンサーは「私信」です。平安時代の貴族も相手に短歌を送り(贈り?)合っていたので、私もそういう感覚で短歌を詠んでいる節があります。もちろんこれが正解・不正解なのかはわからないですし、もっと深く考察しているプロの歌人や批評家の方々もいらっしゃいます。

展示に触れた方、つまり読み手が「私信の受け取り手」として自分事のように作品を楽しんでいただけたら嬉しいと思い、作品作成に至りました。
また、普段歌集を読まない方にも、手紙形式だと読みやすいんじゃないかなと思ったことも作品動機のひとつです。



出展作品『私信』
「親愛なるきみへ」

空想世界に連れて行ってよ空想じゃないって教えてよ 審美眼

きみのステージに白夜が視える藍色のあい色のあ・い・色の白夜

ひっそり渡す手のひらサイズの手紙みたいきみがさらっと弾くギターリフ

今回も水に喩えてしまうけどきみのギターはやっぱり赤い

水道の蛇口を閉めてサインペンの擦れる音は歌詞カードから

パーソナルスペース in the ライブハウス 理由になってくれてありがとう

アンコールの拍手をもっと伝えたいもっと終わってほしくなかった

愛がまだ何色なのかわからずにダブルアンコールで拭う汗

白昼夢戻っておいで耳で知る光のようなシンセサイザー

浅海と深海ぼくは歌声のある方角へついてゆきます



「大好きなあなたへ」

ハード・ハード・コンタクトレンズ ぼくから騎乗位で始めたい

ハグをしておやすみなさい朝の来ることが最近は嬉しいよ

口喧嘩ばかりしたっけそのたびにあなたの困り眉毛が笑う

キスという言い方が好きくちづけはちょっと恥ずくて飲む粉薬

洗剤の詰め替え方やお風呂場の鏡や匂い 幸せだった?

一番好きなハリボーゴールドベアの味 生まれ変わったら熊になろうよ

思い出の背後でいつもかっこいいタイピング音 でも忘れなきゃ

ストリートピアノにあなたが呼ばれてもぼくは弾けない愛の挨拶

パソコンにはちゃめちゃに貼るステッカー「わかったよ」って優しく言って

追伸 LINEのカスタムスタンプは今頃だれの名前なんだろう


あとがき

展示には、こちらのプチ作品解説ノートも一緒に置いていました。

colony vol.7 -exhibition-
花浜紫檀『私信』に寄せて


ご感想や好きな短歌、自作の短歌など書いてくださり本当に本当にありがとうございます。
嬉しくて何度も眺めています。

便箋とノートの中身は、載せないでおこうと決めていたので載せられませんが、実際お手に取って読んでくださり、また、展示には来られなくても気にかけていただきこうして作品や文章を読んでくださった方も、ありがとうございます。

関わってくださったみなさま、お読みくださったみなさまに感謝申し上げます。

これからもたくさん短歌を詠みたいです💌

2024.4.10
花浜紫檀

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