おばあちゃんのほうが好き!?
幼少の頃の息子は、親バカでお恥ずかしいが本当に可愛い子どもだった。つぶらな瞳に女の子のような可愛い顔と声で、甘え上手で愛嬌があり、関わる全ての人を虜にしてきたと言っても過言ではない。
それに反して娘は、ニコリとしたら損をするとでも思っているのか、ムーミンに出てくる小さな女の子のリトルミイを彷彿させる仏頂面。私はリトルミイが大好きだったので、娘のことも「何て顔するのよ」と面白がっていたが、周囲は可愛い息子ばかりチヤホヤし、娘は余計いじけて不機嫌で、目が合うと睨み返してくるような個性的な子だった。
(今は全然違います(;^∀^))
そんな娘に、「可愛いなぁ」だの、「なんて賢い子だ!」だの「べっぴんさんだなぁ」などと大絶賛し続けてくれた私の父は、本当にありがたい存在だった。
娘は常に自分を褒めてくれるじいちゃんに次第に心を開くようになり、笑顔を見せるようになっていった。
「じいちゃんが一番すき!」とよく懐き、どこに行くにもくっついていった。
じいちゃんが買ってくれたGジャン(デニムの生地のジャケット)がお気に入りで、他のヒラヒラした上着を嫌がりそればかり着ていたせいか、よく男の子と間違えられた。
2歳を過ぎた頃だったろうか。
実家でじいちゃんに遊んでもらい、外に出るのでGジャンを着せようとしたら見当たらない。
娘も一緒に探すが見つからず
「アタシの、アレはどこ?」
「アタシのフク、
じいちゃんの、あの、アレは?」
「あの、アレ、あの、
バアジャン! は、どこ?」
Gジャンの名称が出ず、確かじいちゃん・ばあちゃんみたいな名前だったと思い出したのだろう。
それまでも、言い間違えの多い子ではあったが、バアジャンとは傑作だ!
これには皆大笑いだったが、何故か父(じいちゃん)だけが寂しそうにうなだれている。
「結局は、ばあちゃんの方が好きってことなんだな」
いや、それはない、断じてない!
いくら説明しても父は納得せず、沈んだままで可愛そうだった。
当の娘には何のことやらで、その後も何度かバアジャンと言い間違えては、じいちゃんをガッカリさせていた。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
もうすぐ父の命日です。最後まで私の娘のファン代表で、家族皆の応援団長でいてくれた父に心から感謝しています✨
最後までお読みいただきありがとうございます<(_ _)>
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