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BL短編集「男でもいいから最期におっぱいを」試し読み





働く工場に友人が押しかけ「借金の保証人になってくれ!」と仕事仲間が注視する中、渾身の土下座をされては、断れなかったとはいえ、まさか、逃げられようとは。

さらに一週間後、紫のスーツに金のネックレスをした、いかにもな、その筋の人が「こちらに、尾竹さん、いますかねえ?」と乗りこんでくるとは思わず。

「これが、尾竹です」と生け贄を差しだすように、工場の仕事仲間に引き渡され、雑居ピルの一室に連れていかれた。
虎の頭がついた絨毯を見ながら、紫スーツから、友人が期限を守らず逃げたことを知らされ、「で、あんたに代わりに、返せる見込みあんの?」と聞かれた。

「ないですね。親戚にあたっても無駄ですよ。
小学生のころ、両親がいなくなってから、俺の身内は、同居する婆ちゃんだけですから」

「ふうん?けど、工場長に聞いたぜ。
お前は中卒から働いて、無遅刻無欠席の十年皆勤賞だってな。

おまけに、酒も女もギャンブルもやらないとか。
だったら、ちまちまと結構、金、貯めてんじゃねえの」

「婆ちゃんに、何かと金がかかるんで」

そう応じたら、しばし静かになって「そんだけ?」と首を傾げられる。
「そんだけ?」と聞き返したら「ふつー、ここは、婆を一人にはできないとか、どうとか、同情を誘って泣きつくところだろ」と眉をしかめながらも、苦笑した。

うだうだ説明するのが、終わるのを待っていられずに、人差し指でなぞった。

男だからこそ、なのか。
写真や映像で見るのより、胸周りの輪郭がくっきりと浮きでている。

話の途中で触れだしたのに、怒られるかと思いきや、存外、口を利かない。
先のやり取りからして、義理堅そうな人だから、男に二言はないとばかり、おっぱいを差しだしているのだろうか。

と、考えながらも、思いのほか、輪郭をなぞるのが快くて、じっくり味わうように指を滑らせる。
とくに、張ったおっぱいの谷間の溝が深いのに、舌なめずりして、指を捻じ込んだら「っう」と胸が跳ねた。

ぎくりとして、谷間から指を抜こうとすれば、「だ、大丈夫、だ」とか細い声が降ってくる。
つい見上げようとしたところ、「あ、か、顔だけは見るな」と制されたので、おっぱいに視線を戻す。

と、ちょうど、目の前に乳首が。




高校のころから彼女と交際し、遠距離含め八年を経て、フラッシュモブをかましてプロポーズ。
ひざまずき、差しだしたエンゲージリングを受けとってもらい、プロポーズ大作戦は大成功。

が、とんとん拍子に入籍したがったのに対しては「遠距離が長かったから、その分の埋め合わせをしたい」と半年の同棲期間を踏まえることを、彼女が望み「だよねー」と水島も了承。

二人で暮らす物件を探しだし契約。
それぞれ、今住んでいるところを引き払い、さあ、いざ同棲生活スタートというときに、引っ越し先のマンションで、欠陥工事が発覚。

マンションの修復が終わるまで三か月。
さて、どうしたものかと、じっくりと話し合いたいところ、二人ともアパートを解約してしまったので、とりあえず、彼女は実家に。
水島は実家に戻りたがらず、俺の事務所兼住居のマンションにころがりこんできた。

「親戚の不動産から安く借りてんだから、別にいいだろお」と家賃も生活費も払わず、すでに二週間経ち、彼女と話し合いはすすんでいるのやら、いつまで居座っているか知れない。

「在宅勤務だったら、暇あんだろお」と家事を押しつけ「飯作って待ってられると、なんか重い」とけちをつければ「飯を一人で食えってのか!」と怒鳴りつけ「先に寝てろよ。恩着せがましい」と鬱陶しがれば「人が忙しいときに、すやすや寝やがって!」と蹴りつけるという。

同棲生活の先行きが不安になるような、理不尽極まりない亭主関白ぶりを、見せつけていた。
まあ、昔から、こういう奴なのだ。

ベッドを見やれば、「やっぱり」と爛々と目を光らせていたからに、待ち伏せしたのだろう。
「いや、この、これは」と慌てるも、「かわいい奴」と引っ張られた。

倒れるまま、衝突しそうになったのを、踏ん張って、ベッドの上に四つん這いになる。

図らずも、水島に覆いかぶさる形になったのに、つい喉を鳴らしてしまって、すぐに、どくことができず。
こちらが惑っているうちに、手を伸ばしてきた水島は「前から知ってた」と頬を撫で、顎、首へと、語りかけながら、やおら掌を滑らせていった。

「高校のころから、彼女がわがままだとか、ヒステリックだとか、神経質で扱いにくいとか、愚痴るのを聞いてきて、お前は、そんな彼女とは真逆に接してきたんだろ。

そしたら、俺が、お前を求めつづけて、いつかは、面倒な彼女から、健気なお前に乗り換えるかもしれない、とか思って」

返事をせずに、目を逸らせば、さすっていた胸の乳首を、Tシャツ越しにつまんだ。

「っん!」と頭を跳ねたのが、肯いたようになって「そうそう、この期に及んだら、素直になんなきゃ」とくつくつと笑われる。




太平の世にあって、往来で武士は帯刀しながらも、抜刀することがなくなった。

むしろ、迂闊に刀を抜けば、罰せられるという、本末転倒な世情。

理不尽な窮屈さにより、行き場を失くした武士たちは、道場で木刀をかち合わせることに心血を注いだ。
との時代の流れにより、我が名家「斑木家」の道場は、弟子入り志願が絶えず、多くの門下生を抱えることになった。

当主であり師範でもある父上。
その息子にして、立場に笠を着せず、腕前でもって名家の子息たる威光を放っていたのが私だ。

跡取りとして、親戚は元より、藩主にも見込まれ、門下生からも、慕われていたのだが、あるとき、波風立たせる人物が道場に舞い込んできた。

父上が連れてきた、私と同年の忠志だ。
父上曰く「恩義のある友の忘れ形見」という。

どれだけの恩義があるというのか。

私に対してより、礼儀作法から学術、華道や茶道、歌の嗜みまで、叩きこんだ。
当然、剣道もだ。

元より、器量よしの忠志は、打てば響くように、父上の教えを身につけ、とくに剣道で頭角をあらわしていった。

物心ついたときから、一心に剣の道を歩んでいた私には、勝らなかったが、人徳では拮抗していたやもしれぬ。

「どうか、こんなこと・・・・なにか、気の障ることをしたのでしょうか」

道場で、稽古着に袴を身につけた忠志は、後ろに手を縛られ、開脚している。
倒した木刀に、両足首を紐でくくられて。

「父上の名誉を汚すような噂が流れておるのだ。貴様にその真偽を問いたい」

「その体に」と木刀の先を、頬から顎、首へと滑らせていく。
頬を染め、目を伏せつつ、身を震わせる忠志。

「本来、木刀とはいえ、その切っ先を向けられれば、身構え、奮い立つものを、そなたはここを充血させ、腫らしておるではないか」

稽古着の襟をめくり、胸の突起に木刀を擦りつける。
肩を跳ね、「は、あっ・・・!」と甲高くあげた声を、咄嗟に飲んだが、聞き逃さない。

「女のように、喘ぐな。
日ごろ、清廉潔白にふるまっているよう、見せかけて、中々、そなた、卑しく淫乱なのだな」



ノストラダムスが人類滅亡の大予言をしてから、百年経って、むしろ人は死ななくなった。

医療の発達が極限まで達したとあって、ほぼ心身の病気や障害は治るし、皮膚や内臓、細胞、神経など、あらゆる人体を構成する機関が、人口で製造され、不具合が生じれば、取り換えられ、老いることもない。

死なず、老いない人が溢れる社会を「人の最高到達点のエデン」と信仰する人も「生きた死者の地獄」と皮肉る人もいる。
これといって俺は、この世を賛美も、けなしもしないが、生まれて物心ついてから、閉塞感を覚えていた。

気が塞がったのを、政府機関から送られる薬を飲んでも取り除けない。
そう、今の社会は、死ななくなったというより、死なせてくれなかった。

生まれた時点で体内にチップを埋め込まれ、自殺か他殺か、しそうになったときは、政府機関に探知され、実行前に意識を奪われる。
そこまで、死を厭い遠ざけると、諸々、問題が起りそうなものを、出産のコントロールをはじめ、人口爆発を避ける対策がとられていて、抜かりはない。

見た目は、ニ三十代ばかりで、誰も彼も健康的で肌艶がいい人間が、この世を埋め尽くしている。

「は、あ・・・」と熱くて息苦しいのに、目を覚ましたら、いつの間にか、うつ伏せになって、腰を揺らしていた。

現状を把握する間もなく、今まで覚えたことがない、胸とアナルにもたらされる刺激に「あ、や、ああ、あ」とむせび泣く。

シャツとズボンをすらされ、粘着質な液体にまみれた蠢くものに、乳首を揉まれ、アナルに突っ込まれているらしい。
家に不法侵入されたのでなければ、俺の背中に跨っているのは、白人少年のセックスロイドだ。
まあ、誰にしろ、狂っているか、回路がいかれている。

胸は女が愛撫され、アナルは排泄するところ。
この時代の平均的な、俺の知識からして、男が性的興奮や快感を得られる手段ではないはずが。

薬が効いて萎えているものの、アナルに突っ込まれるたび、背筋を這い上がってくる、甘い痺れを含んだ悪寒に、あんあん腰を振るのをやめられない。

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