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紅茶詩篇『嘯いていたい』

 私は詩人だから
 いつだって何かを嘯いていたい
 少なくとも百円均一のセリアのお店で
 コーヒーフィルターとノートを買っている場合ではない
 私から漂うものがそんな日常の香りと言葉ではいけない
 コーヒーもノートも詩作には必要だけれどね
 私は詩人だから
 もっと嘘のような本当のことを呟いていたいんだ

 私は詩人だから
 さも意味ありげな無意味なことを嘯いていたい
 少なくとも無印良品で買ったノートとブルーブラックのボールペンに
 わくわくしている場合ではないんだ
 私から滲むものはいつだって神秘の香りでなければいけない
 ノートもボールペンも詩作には必要だけれどね
 私は詩人だから
 もっと夢みたいなことをぼやいていたいんだ

 私は詩人だから
 私が初めて見つけた私の真理を言葉にしたい
 少なくとも日常の匂いがすることからは離れていたいと思っていたんだ
 その方がうつくしいような気がしていたから
 買ってきたばかりの素敵なノートには設定集になってもらうんだ
 コーヒーは妹が買ってきたのに私の方が気に入ってしまったブラジルショコラを淹れるんだ
 飲みたかったのにフィルターを切らしていた
 心ときめくノートを見つけて
 詩を書くためにコーヒーを淹れたの
 こんな私の毎日をブログに書いていたら
 私が書いている小説よりもページビューの数字が大きくて嘆いていたな
 私の日常よりも私が書いたうつくしい詩と小説を
 もっと必要としてほしい
 詩人は嘯いている
 泣きながら笑いながら

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