剣城かえで

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耽美主義の小説書き。物語詩人。 薔薇と麗人と紅茶が好き。 耽美ダークファンタジー小説と、物語ある詩を書きます。たまに花魁になるのが趣味です。 第18回現代思潮現代詩賞で佳作をいただきました(受賞作『花を悼む』) お仕事依頼はxxtiffin@gmail.comまでお願いします。

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  • 紅茶詩篇

    公開した詩のまとめ。

  • 掌編小説【薔薇喪失】

    美貌の公爵こと麗人薔薇柩による美と幻想への耽溺。 最も美しいものを失い、自らの美貌に処刑された貴公子の、優美な日常と殺伐の物語。 掌編小説。耽美小説。幻想文学。幻想小説。

  • 薔薇庭園カレスティア

    鍵付きの日記帳です。 創作のこと日々のことを書いています。 お読みの際は鍵をご購入いただきます。

  • 薔薇がこぼれた原稿用紙

    以前公開していたエッセイの再掲。

  • エッセイ集

    エッセイまとめ。

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紅茶詩篇『花を悼む』

花を悼む 死んだ私を優しく葬る。 柩の中で眠る私を、綺麗になった私が見つめる。 旅立つ私が外套を着るように、眠る私が夜着を纏うように、 白い着物の襟を整え、綺麗な髪を永遠に巻いて、私は羽織る、紅茶の香りを。 語るべき言葉も、零すべき苦悩はもうない唇に、甘い香りの紅を引く。 何の未練もない死化粧をする。 死ぬべきだったと信じていたの、誰に言われたわけでもないのに。 彼女は信じ続けていた。自分の顔が、醜いと。 横たわる彼女を見つめて私は想う。 この子の何処が、

    • 紅茶詩篇『嘯いていたい』

       私は詩人だから  いつだって何かを嘯いていたい  少なくとも百円均一のセリアのお店で  コーヒーフィルターとノートを買っている場合ではない  私から漂うものがそんな日常の香りと言葉ではいけない  コーヒーもノートも詩作には必要だけれどね  私は詩人だから  もっと嘘のような本当のことを呟いていたいんだ  私は詩人だから  さも意味ありげな無意味なことを嘯いていたい  少なくとも無印良品で買ったノートとブルーブラックのボールペンに  わくわくしている場合ではないんだ  私か

      • 掌編小説【薔薇喪失】42.行方知れずの手紙に溺れて

         しどけない倦怠を、はためかせた黒絹のガウンに含みながら纏っていた。はだけた肩を直すには、物憂さがすぎた夜が落ちてきている。湯浴みの残り香は、麗人を魔物めいて匂い立たせる妖艶に気怠い空気を添えていた。麗人は真っ直ぐ机に向かっていくが、机に向かう作業をするには、遅すぎる時間だった。  開けっぱなしの窓から吹き込む風に、カーテンが揺らめく闇のように翻るのを見つめてから、麗人は椅子に座った。何を考えていても優美にならざるを得ない眉目、何を思っていても傲慢にならざるを得ない睫毛、誰の

        • 日記『毎日タロットが出来ている』

          一週間が早いです。今週は朝に調子の悪い日が多く、早起きできずに残念な毎日でしたが、来週は早起きせねばと思っています。仕事が在宅なので、つい朝遅くまで眠ってしまう……在宅だからこそ早起きして朝を捜索活動に充てたいと思っているのにままなりません。寒かったころは朝早くに起きて散歩していたりしたんだけれどなと思うと、何が悪いのやらと思うばかりです。 今週のトピックはこちらになります。 ・毎日タロットが出来ている。 ・好きな野菜ジュースの話。 ・長編制作の次の話。 ・やりたいことと書

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        紅茶詩篇『花を悼む』

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          日記『詩を送るときの心構え』

          早いものでもう一週間が過ぎていました。 先程、散歩に氷川神社へ行ってきて、それから即売会の備品を購入し、遅いお昼兼おやつをいただいてこの文章を書いています。 仕事のことで憂鬱になってしまっていたり、いろいろと思い悩んだり、不思議な感覚が多かった一週間でした。 また振り返っていきたいと思います。 即売会の準備は残すところ見本誌の準備と荷物をキャリーケースに詰める事くらいになりました。当日持っていく文房具や備品なども揃えて、新しいテーブルクロスも購入したので、あとは当日に忘れ物を

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          日記『詩を送るときの心構え』

          エッセイ【読めなかった本の話】

          住んでいる場所の区役所に用事があった時に、区役所併設の図書館を覗きます。 何か面白そうな本はないだろうかと、特に目的はなくふらふらと本棚の間を彷徨う。区役所に行った時の、私の暇つぶし。 私は国内の作家さんの本を読まないので(何故か読むのが苦手、海外の翻訳文学や古典ばかり読みます)いつも海外の翻訳された小説のあたりをうろうろします。 その日、いつもは見ないくせに、海外のエッセイの棚を見ていました。エッセイ、書きたいな。書くの、難しいんだよな。そんなふうに思いながら、面白そうなエ

          エッセイ【読めなかった本の話】

          日記『なんだか悲しいのは春だからかな』

          今週はあんまり元気のない一週間でした。 作業の進捗とやることリストの終了具合を照らし合わせると、今週はできていなかった日とタスクが目立ちました。体調や仕事のことで気分も落ちていたので、元に戻していきたいところです。 春だからなのか、寂しかったりしています。私の春は誰とも出会わず別れる事もまたなかったのにね。何故だろう。 今週のトピックは此方です。 ・文章が水っぽいことに気づく。 ・やっぱり本を買うと元気が出る。 ・仕事を楽しめる努力をしたいと思った。 ・読書時間を増やしたい

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          日記『なんだか悲しいのは春だからかな』

          掌編小説【薔薇喪失】41.水に委ねた悲劇と英雄

           水に揺られて咲く薔薇は、どれも暗い赤の花びらをしていた。巻かれた柔い花弁に雪をのせて、漣に咲いている。神聖な水の下でしか生きられない薔薇が、暮らしから隔絶されたその湖が特別であることを語っている。山の上にある湖は拒むのである。その場所に、立ち入ることが相応しくないものを。静謐は漣の無音。水は何処かへ打ち寄せる時だって、何かを言うことはなかった。  空気の彩度は限りなく落ち込んでいる。澄んだ水面は透き通った薄墨色をしている。水は、水底に根を張る薔薇の血管が透けて見えるほど清浄

          掌編小説【薔薇喪失】41.水に委ねた悲劇と英雄

          【文学フリマ東京38 お知らせ】 5/19日、東京流通センターにて開催の文学フリマ東京にサークル参加いたします。 サークル名は紅茶会事変です。 新刊に耽美ダークファンタジー長編小説と物語詩集を持っていきます。既刊は耽美小説、掌編寓話集などです。皆様のお越しをお待ちしております。

          【文学フリマ東京38 お知らせ】 5/19日、東京流通センターにて開催の文学フリマ東京にサークル参加いたします。 サークル名は紅茶会事変です。 新刊に耽美ダークファンタジー長編小説と物語詩集を持っていきます。既刊は耽美小説、掌編寓話集などです。皆様のお越しをお待ちしております。

          日記『本を買うと元気が出る』

          一週間が早いと思ったり、24時間があっという間に終わっていくと思ったりしています。今週は何をしていたかなと思い返しながら、書くことが中心で回っている私の日常には面白いこともそんなにないのですが、書くことと制作創作のコンテンツの中に日々の話題を見出せたらいいなと思っています。 何て言いますか、何処で話題を作るかでその人が仕事人として優れているかいないかが、方向性が分かるなと思ったことがあったので、私は制作の仕事と日々の中に自分の話題を見つけていきたいと思っています。 今週のト

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          日記『本を買うと元気が出る』

          紅茶詩篇『悪魔は神が嫌いじゃない』

           悪魔は神様を嫌いなわけではなさそう。  宗教的な意味に於いて。  悪魔は神様を狂信しているひとが、  きっと嫌いなんだ。  悪魔は神様を嫌いなわけではなさそう。  文化的な意味に於いて。  悪魔は神様を知らないひとに嘘を言って、  からかって遊んでいるだけなんだ。  悪魔は神様を嫌いなわけではなさそう。  悪魔学的な意味に於いて。  悪魔は自分がやったことの取り返しがつかなくなると、  神様に助けてくれと縋りに行くんだ。  悪魔は神様が好きなんだろう。  自分が近づい

          紅茶詩篇『悪魔は神が嫌いじゃない』

          日記『長編原稿が折り返し地点』

          おはようございます。珍しく朝早くに一週間の振り返り日記を書いています。 今週は日記のトピックをメモに書いて出しておくのを忘れていたので、今週は何をしていたかしらとちょっと慌てて思い出していました。 あんまり代わり映えのない日々ですが、そんな日常の中にも面白いことや楽しいことを見出していけたらいいなと思っています。 本日のトピックは、 ・神社のイベントに行って本を買ってきた。 ・長編原稿が折り返し地点。 ・古い原稿を探そうかなと思っている話。 ・エステに行ってきます。 以上

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          日記『長編原稿が折り返し地点』

          いつも応援ありがとうございます^^ 記事や小説、詩やエッセイに♡をいただいたとき、X/旧Twitterの方にお礼として♡をいただいた記事の紹介をしています。 読んでみて楽しかったり美しいと思えたら是非♡を押してみてください^^ よかったXの方もフォローしていただけたら嬉しいです。

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          掌編小説【薔薇喪失】40.人生の断頭台を飾るために

           眼下に見下ろせる薔薇庭園の遥か遠くの何処かから、金木犀の匂いが風に乗って漂っていた。薔薇庭園の向こう、広い敷地の先にある門を、麗人は見つめた。黒地に白く大きな薔薇模様をあしらった大判のストールを肩にかけて、黒いシャツの襟をかき寄せる。  麗人がいたのは、城のバルコニーだった。ラム酒を垂らしたコーヒーが冷え切って、重ね置かれた分厚い本の山を築いた隙間で肩身が狭そうにしている。雑然としたテーブルの中央には、赤い薔薇の飾られた細い花瓶が置かれていた。  麗人は本を読んでいた。冷め

          掌編小説【薔薇喪失】40.人生の断頭台を飾るために

          日記『もう頑張りたくないと思った話』

          もっと早くに日記を書こうと思っていたのに、睡魔にやられて眠ってしまっていました。さっそく創作でいっぱいだった予定がめちゃくちゃになってしまっている。巻き返しながら書いていきたいと思います。 今週のトピックスはこちらです。 ・もう頑張りたくないと思った話。 ・耳鼻科に行ってきたこと。 ・国民の祝日に神社に行ってきた話。 ・短編企画が進行中。 ・筋トレを始めました。 といった感じです。 それでは一つずつ見ていきましょう。

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          日記『もう頑張りたくないと思った話』

          紅茶詩篇『凍てつく冬薔薇』

           うつくしいものが分からないことは、  怖いものが分からないことと同じくらいには、  恐ろしく危険なこと。  世界が終わる冬薔薇の時刻、  巨悪の心が零してしまったんだ。  もしも奇跡が消えた夜に。  喪われた青い星の軌跡の果てに消えてしまった。  そして忽ち崩れ去った。  悪は人間を嘲る場所に在るのに、  うつくしいものへの畏怖に慄える心は持っているらしい。  うつくしいものへの畏れがない者は、  怖いものの怖さを理解しようとしないことと同じくらいには、  恐ろしくおぞま

          紅茶詩篇『凍てつく冬薔薇』