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紅茶詩篇『酔うべきはうつくしい女』

 自分の恋から、恋が分からない女。
 恋ではなくて、異性が好きな女。
 まともに狂ったことがない女。
 何も盗られたことがない女。
 本当に卑しい男から、声を掛けられたことがない女。
 他の誰かを助けるために、手を差し伸べたことがない女。
 いやらしい男から声を掛けられることに悦び、自分は常に手を取ってもらうべき女だと信じてる。
 月の所為にして。月の所為にして。
 一番にはならない女。
 だけれど二番目にされることを、恨みがましく拒んでいる。
 うつくしい女に、狂ってみてはいかがかしら。
 うつくしい女の性(さが)に、狂ってみたらどうかしら。
 月の所為にして。月の所為にして。
 女は女にもてなくてはいけなくてよ。
 女は自分の内なる女に、敵わなくてはいけないのよ。
 恋と男が学びのようでは、女は女になれないわ。
 女はうつくしい女に狂うべきだわ。
 女はうつくしい女の狂気に、惚れてみるのが一番いいわ。

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