犬の前肢と後肢

脊椎から、前肢と後肢が生える。中枢から末梢に向けて、骨の数に着目すると:
肩甲骨・骨盤の骨(各1個)
上腕・大腿(各1個)
前腕・下腿(各2個)
手関節・足関節
手小骨・足小骨(複数個)
中手骨・中足骨(4,5個)
指骨・趾骨(4、5個ずつ)
という対応になる。

向きや動きに着目すると、ちょっと変わってくる。
肩甲骨は犬の場合、脊椎とは関節結合しておらず、かなり自由に動く(とは言っても犬の場合、前後振り子運動になるが)。猫や人は鎖骨があって胸骨に間接的・関節的につながることから動きのコントロールがつけやすくなり、上肢・前肢の『器用さ』が増すが、犬の場合は単純な動きに留まるとされる。
他方、骨盤は仙骨と仙腸関節でつながり、かつ、この仙腸関節はほとんど動かないから骨盤骨の動きは極めて限定的。しかも、恥骨結合しており、左右の寛骨は相互に骨癒合している。
したがって、前肢・後肢の運動の観点から言うと、肩甲骨は動く、骨盤骨は動かない。

次に上腕と大腿。これらは、肩関節・股関節という動きの自由度の高い関節で中枢側と連結している。
前腕と下腿も膝関節という自由度は低いが屈伸角度の大きい関節で中枢側と連結している。
肘関節の方は肘頭が大きく後方に突出するのに対して、膝にはそのような突出はない。そもそも肘関節は、後ろ向き→前向きの折れ曲がりなのに対して、膝関節は、前向き→後ろ向きの折れ曲がり。
そして手関節・足関節だが、手関節の方には「後方突出部」は目立たないが、足関節には踵骨の後方突出が目立つ。
この踵骨の後方突出は肘頭の後方突出と同様に、肢伸筋の付着部を提供している。

こうしてみると、前肢・後肢を屈伸しながら歩く・走るときの役割を考えると
肩甲骨・大腿
上腕・下腿
肘頭・踵骨後方突出
前腕・後肢中足骨
というような対応があると考えるのもあり?


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