どうすれば読まれるのか?〜noteについてのnote

「そもそも、読まれようと思ってね〜よ」

という方にはまったく参考にならないnoteですが、少しでも読んでくれる人が広がってほしいと考えながらnoteを書いている人のヒントになればうれしいです。

これまでに何度かnoteを運営しているピースオブケイク代表の加藤貞顕さんに取材をさせていただいたこと、そして自分でも使い始めてから気づいたことを、一度整理して簡単にまとめようと思います。

最初に加藤さんにインタビューしたのは『SENSORS』でした。
「noteを始めたい人」の活用方法は?ピースオブケイク・加藤貞顕に聞く、現在の盛り上がりと今後の展開

いきなり何者かになろうとしない

noteを書いている理由は人それぞれでしょう。

純粋に自分の文章を読んでもらいたい。ログをとっている。チャンスがあれば稼ぎたい。有名になりたい--。

目的や理由は様々でも、読者が増えることは基本的に皆さんが考えられていることかもしれません。

そこで、僕なりに「どうすれば読まれるnoteになるのか?」というテーマで考えてみたいと思います。

前提として確認したいのは、ここでは「読まれる文章」ではなく、あくまでも「読まれるnoteとは」という原理論を考えてみたい。

だとすれば、まず考察の対象になるのはすでに読まれているコンテンツの傾向と特徴を把握することです。

何事においてもまずはマーケティングから入り、戦略を立ててから、事に取りかかる。

それでは、早速noteでよく見かけるあのお三方のnoteを例に考えていきましょう。

はあちゅうさん、イケハヤさん、梅木さんにみる「属人価値/情報価値」

代表的なnoteとして筆頭に挙げられる、はあちゅうさんのnoteイケハヤさんのnote梅木雄平さんのnote
(当然、noteにはイラストや写真、ラジオなど幅広いコンテンツや創作物をアップできるので、広いクリエイターに支持されています。しかし、今回はテキストをベースとしたnoteに関して論考します)

他にもいくつかあるのですが、話を分かりやすくシンプルにするために、ここではあえてお三方に絞って考えてみます。

上記の図はとても簡略化したもので、当然はあちゅうさんのnoteにも情報価値はあるでしょうし、梅木さんのnoteも属人価値を帯びていると思います。(グラデーションのなかで、あくまでも分かりやすくマッピングしました)

属人価値が高いnoteの例として挙げさせていただいた、はあちゅうさんのnoteにははあちゅうさんの日常が溢れ、日々思うこと、行ったお店、おすすめのモノやコトが紹介されています。エッセイ文も人気が高いと思います。またコミュニティの運営をされているので、はあちゅうさんの文章自体が一つのコミュニケーションになっているともいえるかもしれません。

対して情報価値が高い梅木さんのnoteは、スタートアップの資本政策、上場、M&Aなどの業界情報が手際よくまとめられています。情報そのものに価値があるため、たとえ1万円でも対価を払う価値がある。(先日「鮨さいとうに、誘う女」というnoteが話題になっていたのは、情報価値の積み重ねが属人価値に転化しつつあることの証左でもあると思います)

では、イケハヤさんのnoteはどうでしょうか。プロブロガーとして身を立てるためのインプットやアウトプットの実践論といった情報価値が高いnoteに加え、高知での暮らしや家族の話題といった日記に近いコンテンツも混在しています。その意味で、ここでは中間に位置付けてみました。

属人価値のnoteが読まれる条件は、ほとんど一つと言っていいかと思います。それは「ファンの存在」です。ファンが多ければ多いほど、たとえばそれが瑣末な情報であったとしても(往往にして瑣末であればあるほど親近感を覚えられるという意味で)読まれる可能性が高い。

一般の方のnoteをちらっと覗いてみると、ゆるふわで曖昧なタイトリングでかつ、きわめてエッセイ調に近いnoteを数多く目にします。そして、フォロワー数は数十から数百。ファンがついていなければ、たとえ優れた文章だとしても、属人価値が発揮されることはありません。

「そこに実利や発見はあるのか?」、これほどコンテンツが溢れるなかで、「貴重な可処分時間を犠牲にしてまで読みたいと思えますか?」
といった問いに最初は、徹頭徹尾向き合わなければいけないかと思います。

ここで見えてくるのは、いきなり属人価値を狙ったnoteを書くことは無駄苦労に終わる可能性が高いという事です。

だとすれば、出発点にすべきは「情報価値」に重きを置いたnoteでしょう。
つづいて「"情報価値"とは何か」いくつか構成要素を分けて、戦略の解像度を上げていきましょう。

情報価値をさらにブレークダウンする「専門性/企画性」

さて、ここでも情報価値が高い実例を元に考察を深めていきます。

まず初めに挙げるのはLINE・田端信太郎さんのnote。

代表的な例が、「就活生よ!会社を褒めるな! むしろ正しくディスれ!けなせ!」や「純ドメ留学経験ナシの日本人が、入場料1000$の海外カンファレンスで英語でプレゼン出来るようになるまで。」。

タイトルを読んだだけで、「情報価値」が全面に打ち出されているのが一目瞭然です。「会社を褒めるな、ディスれ」といった反直観的でキャッチーなフレーズや、「純どめ留学経験ナシ」「カンファレンスでプレゼン」といったワードが単なる英語勉強記事ではなくしていますし、ターゲティングが物の見事に洗練化されてます。

しかも田端さんの場合は、すでにインフルエンサーなので「属人価値」が掛け算になっていることが拡散性を押し広げています。
自分の面接官かもしれないLINEの役員が就活論を語っていれば、500円を払ってでも読みたくなりますよね?

他にも情報価値が高く、よく読まれているnoteとして「決算が読めるようになるノート」やスドケンさんの「勝手に未来想像シンクタンク」などがあるかと思います。

こちらも理解を深めるために、簡単にマッピングしてみます。

「企画性」という言葉が正しいのか分かりませんが、専門性の硬柔は属人価値の高さや文章そのものの面白さとのバランスで調整されるのかもしれません。

前項で属人価値の高いnoteを発信している代表例として挙げさせてもらったはあちゅうさんも、もとは情報価値から出発したはずです。大学生時代にクリスマスまでに彼氏を作るというブログを、プロセスを含めてオープンに書かれていた話は、まさしく企画性が高く優れた記事の好例でしょう。

企画性が高い"記事"まで話を広げると、『オモコロ』や『デイリーポータル Z』が真っ先に思い浮かびます。noteにおいては『やれたかも委員会』のような漫画は存在しますが、テキストベースでは現状ほとんど見かけません。これをブルーオーシャンとみるか、プラットフォームの特性上親和性が高くないとみるかは検討してみる必要があるかもしれません。

さいごに

ここまで、「どうすれば読まれるのか?」をテーマに、noteで読まれているコンテンツをマッピングし、傾向を大まかに整理しながら考えてみました。

仮に大上段に「自分のエッセイを読んでもらいたい」や場合によっては、「小説を読んでもらいたい」といった目標を持っていたとします。

それでも、ことnoteにおいては(おそらく他のテキストサービスでも多くの場合で)まずは初めに読者を獲得する必要があります。
そのためにはファンがついていなかったとしても、読んでもらえる可能性が高い"情報価値"が高いnoteにウェイトを置きながら始めるのが得策だということが見えてきました。

そして"情報価値"も、大きく専門性と企画性という二軸で考えてみます。
現状、noteを選ぶのであれば専門性に振った方が効果が高そうです。
専門性と一口に言っても、テーマはなんでもいいはず。「これだけは誰にも負けないほど知識がある」というものであれば、なんでもnoteになるのではないでしょうか。

冒頭で触れたSENSORSでのインタビューでピースオブケイクの加藤さんは、

濃い題材ならなると思いますよ。例えば、三ツ星レストランのポタージュのレシピが1万円で売っていたら、飲食関係者にとってはすごく価値があるものになりますよね。文字数としては2,000字くらいかもしれないけど、ほしい人はすごくほしい。

また、これは自分自身が結語に書いたことですが、

例えば、あなたが野球好きだとする。試合観戦をした感想やエッセイを売ろうとすると、パーソナリティが問われてくる。一方でメジャーリーグのチケットの取り方や、審判のなり方、もしかしたらグローブの作り方など焦点をズラし、絞った情報ならばニッチだがその必要とする読者がいる可能性がある。

つまり、仮に「読んでもらいたい」と思うのであれば、文章を書きたい初期衝動を抑え、文章のマーケティングから始めてみる。

属人価値/情報価値←企画性/専門性、コンテンツ自体の大上段にある方向性をブレークダウン。自分自身の好きなモノ・コトを洗い出し、ニッチに刺せるであろう想定読者と情報の粒度を決める。それから文章を書き始めることが、結果として多くの読者を獲得できる近道なのかもしれません。

今回は「noteについてのnote」のお話をさせていただきましたが、先月発売の『編集会議 特集:記事で問われるメディアの真価』にいおいてもピースオブケイクの加藤さんに取材させていただきました。今回のnoteで考察した内容をさらに深めたい方にとっては、間違いなく為になる"情報価値の高い"号になっていますので一読してみてください。

さいごに…実験!

仲良くさせてもらっている『ジモコロ』の柿次郎さんがあるとき、こんなことを言っていました。

(ここまで読んでみて、100円の価値があると思った方のみ投げ銭していただければなと...)

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どうすれば読まれるのか?〜noteについてのnote

長谷川リョー

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