Ryoko (ショコラ/Chocolat)

・日常や非日常、読書の記録 ・フランス人夫・女の子2人/東京在住 ・Podcast C…

Ryoko (ショコラ/Chocolat)

・日常や非日常、読書の記録 ・フランス人夫・女の子2人/東京在住 ・Podcast Café des Curiosités(好奇心喫茶)配信中 https://cafedescuriositesjp.com

最近の記事

家が片付かなくて、心がキリキリした時に

日本は、「家事をちゃんとやる主婦がまっとうな女性だという社会的評価を感じやすい社会」だといいます。 佐光紀子 著 「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす 「家事をちゃんとやる」というのは主観的でもあって 掃除に対する自己採点をしてみると 妻も夫も自分に対して60点 でも、夫は妻の掃除を75点と採点する。 夫の妻への評価は高いのに、妻は自分の家事を過小評価している。 もっと「きちんと」したい。 でも夫や子供は、「そこまでやる必要はない」と思っている・・ (自分の夫から家事を

    • 梟と、言葉にはりついたイメージを考えること

      いつの頃からでしょう。 旅先で何となく、フクロウの置物に目が行くようになりました。 少しずつ持ち帰った梟たちは今ではそれなりの数になり、我が家のキャビネットで丸い目をキョロキョロさせてます。 ただし、梟が好きと言っても、動物園で梟を見てテンションがすごく上がったり、 肩に乗せてコーヒーを愉しみたい訳ではなく(フクロウカフェのイメージ。)、 オブジェになった梟の、デフォルメされた可愛らしさ。 神話のような世界観が好き、なわけです。 * 梟は幸運を呼ぶ鳥だと言われていて

      • 母親の誕生日前、娘の不審な行動の記録

        先日、私の誕生日を迎えました。 正直、誕生日だからと言って特別テンションが上がるわけでもなく、今年もふんわりと、その日を過ごそうとしていました。のですが。 数日前から、娘(6歳)が何やら企てておる。 どこから見ても明らかに不自然な言動。私はそれに、あくまでも気付いていないフリをする、オカシナ茶番劇が始まりました。 例えば。 朝起きると、娘が日付を聞いてくる。私の誕生日まであと何日か指折り数えると、夫に駆け足で近づき何やら耳元で囁く。 突然、好きな色を聞かれる。(ピ

        • 「翻訳」という言葉との対話:『英語のたくらみ、フランス語のたわむれ』

          2022年7月、 夫の故郷フランスに滞在してきました。 日本帰国時のお土産は、子供たちの洋服と本がほとんど。自分には、本を一冊と、ロダン美術館で買った付箋だけしのばせて帰ってきました。 選んだ本は、”La Femme au Carnet Rouge”(邦題『赤いモレスキンの女』)。以前、日本語訳版を読んで、読書記録を記事にしています。 詳しい内容はここでは割愛しますが、奇跡か、あるいは運命を思わせる偶然が重なるストーリー展開。そして、丁寧に紡がれる言葉の優しさ、暗記した

        家が片付かなくて、心がキリキリした時に

          旅の記録:娘たちと過ごした暑い夏、フランス

          今年、7月。 3年以上ぶりに、夫の故郷フランス(とスイス)に滞在してきました。 旅のメンバーは、夫と娘二人(6歳&1歳)と、私。 このご時世の子連れ旅ゆえに、少なからず制限があったことは確か。さらに、欧州は猛烈な熱波。灼熱のフランスを満喫した滞在にもなりました。 それでもやはり、旅は素敵です。 幸運なことに、何度も訪れたことのあるフランスですが、それでも。自分の住んでいる国を離れて、遠い異国(という表現が好き)の地で、 「あぁ、何故自分は、今ここに居るのだろうか」

          旅の記録:娘たちと過ごした暑い夏、フランス

          子どもとフランスを旅するカウントダウンと、ケイタ君の本

          来月、3年以上ぶりに、夫の故郷フランスに行くことになりました。 行き交うことがこれ程難しくなった、今のご時世。 画面越しでなく、同じ空間でやっと会える人たち 少しデコボコした、石の歩道を歩く感触 乾いた日差しと、町の匂い この3年間、心の中で旅した風景は、リアルよりもやや過剰に美しかったり、逆に少し危なっかしかったり。私の限られた旅の経験や見聞、先入観が創り上げた風景に違いなく。 そして少し慌ただしく旅の準備をする中、一冊の本が目に留まりました。 随分可愛いタイトル

          子どもとフランスを旅するカウントダウンと、ケイタ君の本

          沼落ち要素たっぷりの恋愛ファンタジー小説、で何が悪い? 『縫いながら、紡ぎながら』

          やってしまいました。 寝る前にベッドでちょっとだけ読むつもりが、なかなかやめられず。夫に遠慮して寝室から別の部屋に移動し、読了したのは深夜2時。 韓流ドラマが好きな方、ありませんか。先が気になって気がついたら明け方という経験。まさに、そんな感じでした。 フランス人の女性作家、アニエス・マルタン・リュガン『縫いながら、紡ぎながら』 仏題:Entre mes mains le bonheur se faufile Agnes Martin-Lugand この本を、何気な

          沼落ち要素たっぷりの恋愛ファンタジー小説、で何が悪い? 『縫いながら、紡ぎながら』

          芸術と平穏な人生は均衡しない、悲しみの先。ミステリー小説 『パリのアパルトマン』

          芸術家は激動の人生の中で、もがき、渇望しながら、 人々の心を揺ぶる作品を生み出す。 裏を返せば、平穏な生活からは、 それに触れただけで人々の涙を誘うような作品は、生み出せない。 というのは、何となくステレオタイプな芸術家へのイメージにも思うのですが、 一方で、事実でもあるのでしょうか。 フランス人作家ギヨーム・ミュッソの『パリのアパルトマン』は、天才画家の作品に隠された秘密を解き明かしながら、その身を襲った悲劇を描いたミステリー小説です。 なぜ、このタイトル『パリのア

          芸術と平穏な人生は均衡しない、悲しみの先。ミステリー小説 『パリのアパルトマン』

          映画一本鑑賞したかのような、読了感を得る本 『狂女たちの舞踏会』

          映画一本、観るくらいのつもりで。 2時間程度あれば、一息に読めてしまうかと思います。とは言え、時には全身に鳥肌が立ち、時には理不尽さに打ちのめされながら。 『狂女たちの舞踏会』ヴィクトリア・マス 仏:La Bal des Folles / Victoria Mas 1885年のパリ。 舞台は現在もパリに存在する、サルペトリエール病院です。 この病院は19世紀末まで、「狂乱」したとされる女性たちが入院していた。言葉を変えれば、そこに監禁され社会から排除されていました。

          映画一本鑑賞したかのような、読了感を得る本 『狂女たちの舞踏会』

          冒険は、続くんだ。

          冒険小説が好き。 娘が『エルマーの冒険』を図書館で選んで来た時、内心、嬉しくて嬉しくて。 子供の頃、私は冒険小説がとにかく大好きだった。 それはこんなに大人になっても、大きな声で宣言することは控えているけれど、変わることはない。 小さい頃に学校の図書館で好んで借りたのは、ほとんどが冒険小説。 『はてしない物語』に『ナルニア国物語』、『モモ』の世界観も好きだった。『オズの魔法使い』にも色んなシリーズがあって、胸がドキドキしっぱなしの冒険の世界が広がっていた。 『指輪

          冒険は、続くんだ。

          何もしてない、敗北感とラグジュアリー感の狭間で

          この春から保育園に通い始めた次女は、とにかく活発で、チャレンジ精神も、食欲も旺盛です。 保育園でみんなと遊ぶのも大好きで、常にハッピー。何でもウェルカム!って感じで。 そんなオープンな性格のため(ではないと思いますが)、胃腸炎が流行れば下痢をするし、鼻風邪が流行れば鼻水を垂らします。 本人はそれでも元気なので、少々の発熱も知ったこっちゃなく、でも流石に微熱のところを保育園にお願いもできず、このご時世だから、検査だってしっかりしないといけないし、病院や薬局にしょっちゅうお

          何もしてない、敗北感とラグジュアリー感の狭間で

          フランスの母の日に、子供が朗読してくれた詩のこと

          フランスでは、5月の最後の日曜日が母の日。それにちなみ、 6歳の長女が、2回目の母の日の贈り物をくれました。 それは、詩を朗読するというサプライズ。 フランスっぽい!(あくまでイメージ。) ママのことが大好きだと、誇らしげに詩を朗読する娘。 もちろん、学校で習ってきたわけなのですが、 スラスラと暗唱された詩は、 一つ一つのフレーズから情景が浮かんでくるようで、 そして、流れるような心地よい言葉の響き。 私をウルウルさせるには、申し分ないものでした。 ママと呼んでく

          フランスの母の日に、子供が朗読してくれた詩のこと

          「可能性のノスタルジー」、心に潜む甘美な余韻を呼び起こす本  『赤いモレスキンの女』

          人生が交わることのない相手。そんな人に、特別な感情を抱いたことはありますか?現実には起こらない、起こることを望んでもいない。しかし、起こり得たかもしれない世界をすぐ隣に感じる、感覚。 うんと前のこと。朝の通勤途中、決まった時間、最寄駅近くの同じような場所で、毎朝すれ違う人がいました。 毎日のようにすれ違っていると、その人は「時計」のような存在になりました。今日はこの辺ですれ違ったから、定刻通り。改札付近ですれ違うときは、とても余裕がある時。逆に、家から遠くない場所ですれ違

          「可能性のノスタルジー」、心に潜む甘美な余韻を呼び起こす本  『赤いモレスキンの女』

          モノクロの景色が色味を帯び始める、そんな本に出会う 『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』

          この物語の行き着く先は、ただただ悲劇なのかもしれない。 なんの予備知識もなく、読み始めた本でした。 『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』仏題:Le liseur du 6h27 作者は、フランス人作家のジャン=ポール ディディエローラン氏。本作は、フランスで36万部を売り上げ、38カ国で販売されたそうです。しかし、才能を惜しまれながら、昨年2021年12月にガンのため59歳という若さで亡くなりました。 本書、『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』。 主

          モノクロの景色が色味を帯び始める、そんな本に出会う 『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』

          幾多の偶然が、人の運命を創っていく 『ミッテランの帽子』

          連休明け。 暑かったり肌寒かったり、雨で気温が低くても湿気で何だか蒸し暑い。こんな中、どっと疲れを感じる人も多いのではないでしょうか。 疲れた心や体に、そっと見えない力を与えてくれるような、フランス人作家の本を読みました。 『ミッテランの帽子』アントワーヌ・ローラン著 舞台は、1980年代のフランス。 時の大統領フランソワ・ミッテランが置き忘れた帽子を、偶然手にすることになった4人。帽子を手に取ってから、それまで冴えなかった人生が精彩を放ち出すというストーリーです。

          幾多の偶然が、人の運命を創っていく 『ミッテランの帽子』

          外国語を学ぶ醍醐味とは何だろう。

          ■ 昨日、ゲロしました。 これ。知人のフランス人男性が突然、真面目な顔で言い放った言葉です。 昨日車で酔って吐いてしまったと。ウケを狙うわけでもなく。アクセントのほとんどない、流暢な日本語でした。 私は、胸が一瞬だけザワっとする程度の、軽い違和感を覚えました。 しかし、彼とそこまで親しくもなく、この違和感を彼に教える義理も、うまく説明できる自信も持ち合わせておらず、その違和感をそのまま自宅に持って帰りました。 念のため調べたところ、日本語で「ゲロ」というのは、特段俗語

          外国語を学ぶ醍醐味とは何だろう。