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【介護事業者民間企業連携の可能性と実践】

▼はじめに


僕は介護事業経営者の端くれではありますが≪経営課題や実現したい世界観、志にリーチできているか?≫という問いに数年前からYES!と元気に答えられなくなっている自分がいました。
コロナ禍もあり、日々の運営課題は連続的に発生し、その解決に奔走される中で、この運営課題は実は他の介護事業経営者と共通するものがあるのではないか。
また、他の経営者も運営課題に忙殺され本来職責として行うべき(行いたい)経営課題の解決に向けた打ち手にリーチできていないのではないかと考えるようになりました。
 

▼運営課題は共通していることが多い


介護保険事業経営は、制度事業であるため“値決め”や“サービス設計”がないため運営課題は各社共通化していることが多いです。
例えば求人・採用・育成・定着などの人事マネジメント、介護保険法に則った運営をするためのコンプライアンス体制、サービスの質向上を目的とした研修体制、現場のオペレーション関係など。
特にその中でヒトに関することは大きなウェイトを占めており、ここが運営課題化してしまうと経営陣のリソースを大きく割く傾向があります。
もちろん、経営陣として運営課題解決のために全力で取り組むことが重要なのですが、それが同時多発的に発生する状況になってしまうと、本来その法人が成長すべき方向に成長できなかったり、成長が遅れてしまったりという課題が発生します。
 
これがいわゆる運営課題に奔走されてしまい、経営課題にリーチできていない状況と考えています。
 

▼運営課題解決の打ち手は属人的なものから効果的な打ち手へ昇華する


それぞれの企業が日々の運営課題解決に向けて最初は属人的な打ち手でも、それが実践を積み重ねることで予防的な施策や効果的なオペレーションとして昇華しているものが多くあります。
ただ、これが他社に共有されることは少なく、自社内のみに留まってしまい、共有化・共用化がされない状況です。もちろん、企業秘密であるので簡単に外に出すということはできないものですが、視野を「自社」だけでなく「地域事業者」や「介護業界」「福祉産業」まで目を向けてみると、それぞれの企業が多くの労力と努力、想いを込めた運営課題解決の打ち手が他法人でも一部カスタマイズして活用することができ、中長期的にはより多くの方にポジティブな効果を与えるのではないかと考えました。
特に前述しましたがヒトのこと、その中でも介護人材不足に起因した現場の人手不足はボディーブローのように現場職員さんの元気を奪っていきます。そしてその波は事業所や法人全体まで影響を与えかねません。
これを一社一社がそれぞれ別々に努力し、効果検証している時間はもうあまりないかなと感じ始めました。なぜなら現場の職員さんが元気と笑顔がなければ在宅介護の領域での発展はないのではないかと考えているからです。
そのため、運営課題解決を主語とした各社が築き上げてきた取り組みをシャアできるスキームを作りたい。
そんな想いで2023年頃から地域で活躍されている介護事業経営者さんと連携の土台を創り始めました。
 

▼そして誕生!【東京城南BASE.】


2023年9月より志を共にする地域に根差した4社にて、≪民間企業における企業連携は実現できるのか。≫という問いに対して何度もディスカッションを重ねてきました。
これは単純な企業同士の横の繋がりというものではなく、経営者同士の強固なコミットによってなし得るものであるという前提に立ち、影響の範囲や効果、チャレンジしていく領域等について協議を開始し、【東京城南BASE.】という名称にて2024年4月1日より正式にスタートすることにしました。
この民間企業連携自体をどんどん拡大していくということが主語ではないので、私達がこれから参画される企業があった場合に共有する大切にしたい価値観も定めました。
 

▼重要なことは運営課題解決を連携により実践すること。そして各企業が成長発展すること。それが果ては地域や業界の発展に繋がること。


 
連携をしていく中で、当初大切にしたいビジョンとして下記の3つをシェアしながら議論展開をしていきました。
◎私たちは加盟する企業の企業理念、企業文化を最大限理解・尊重したうえで、働くすべてのスタッフのために、そして加盟企業の成長発展のために、共通する運営課題に関する解決策の検討・協働を行うこと目的とする。
◎本連携自体で何かを成すのではなく、本連携を通じて解決又は未然に防げた運営課題の解決によって得ることができた経営リソースで、企業(経営者)が貢献したい形や実現したい世界観へリソースを投入する。
◎介護事業運営の市場環境が激変する中で、民間事業者の連携による解決の糸口を模索・実践すると共に広く周知していく。
 
つまり、本連携に加盟する企業の成長発展が地域及び業界発展のためになるという前提において、運営課題解決に向けた知見を共有化、又は協働化すること。それぞれの企業の理念と文化は最大限尊重することとその企業の成長を応援し合うことを重要な価値観としておきました。
 

▼じゃあ企業連携で何をやるの?何を成すの?


ここからが2024年4月からの実戦値になってきます。
これは決して4社だけの取り組みではなく、私たちの取り組みが他の地域で何か少しでも参考になったり、貢献出来たりすることも目的としているため(そここそが私達の志も1つでもあるため)実践内容は適宜シェアしていきます。もちろん上手くいくことばかりではないと思いますし、市場や時代の変化と共に衰退してしまう内容化もしれません。
でも、私たちは自社の発展のみを主語とした経営・運営には少なくとも地域で活躍し続ける介護事業者にしていくためには難しいのではないかと感じています。
だとしたら、それぞれの創業の意である地域や業界、そして一緒に働く仲間の幸福ためのコミットをもう一度直視できる環境を、連携による運営課題の解決により創り上げていくという決断です。
連携による実践内容は3か年計画にて各年で計画していて、カテゴリーとしては
 
①人材確保関係
②研修・質の向上関係
③交流関係
④数字関係
⑤オペレーション関係
⑥人事・人財関係
 
としています。詳細はまた別の機会に。
 

▼最後に


令和6年度の報酬改定は単位自体大きな変化がないように感じる方も多いと思いますが、10年以上在宅介護領域にて介護会社の経営・運営に携わらせてもらった視点で感じるのは「この改定って介護事業者の経営陣が元気でなくなる改定かな?」と思いました。
もちろん、現場で活躍する職員さんへの処遇改善等は大歓迎だし、そこはこれからも続けていく必要があります。ただ、中小企業を経営してきた経営者の方々はたぶん自分の全てをかけて自社、地域、業界に貢献していこうと大きなリスクも追っているかと思います。それが数字的にはマイナスではないけど、この先10年ワクワクできる?というなんとなくの問いが心に残ってしまうような改定かなと。ただ、それでも自家発電で未来に仲間に元気を!が経営陣の役割ですので、こういった新しい取り組みを実践し、少しでも業界に明るいトピックが増やせればと考えています!!
 
いやはや長くなりましたが、もし最後まで読んでくださった方がいらっしゃったらとても嬉しいです。
 
兎にも角にも介護業界の未来に向けて頑張って行きましょー!!!わっしょい!!

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