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理想と現実

 平素より慶應義塾体育会ソフトテニス部の部員日記をご覧いただきありがとうございます。今回の部員日記は、商学部2年岡田諒悟が担当させていただきます。
 さて、先日は春リーグの入れ替え戦があり、結果敗れ3部降格が決まってしまいました。先代のOB、応援してくださった方々の期待を裏切る形となってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 今回は、この今の気持ちを忘れないという自戒を込め、この結果に至るまでの自分の歩んできた道とその結果、そして今後のことを書いていこうと思います。長くなりますが、もしよろしければ、お読みいただけたら幸いです。

⒈  去年のオフから入替戦まで

 弊部の今年のシーズンインは2月19日でした。昨シーズンの秋の研修大会では、主力として期待されながら1勝も残すことができず、無力感に苛まれていました。あれは11月21日のことでした。12月12日に慶早戦で矢野・端山組から1ゲームも奪えず、矢野くんが普通に打ったボールさえも返球できずに圧倒的な差を見せつけられて負けました。
 12月18日の納会では努力賞をいただき、あの時に、今シーズンの春秋でのエース級の活躍を誓いました。あの時僕は「櫻井さんに、お前強くなったな、と言ってもらえるように頑張ります」という言葉を残して、オフ期間中の鍛錬を決意しました。今でも納会で全員の前に立ち、その言葉を残したあの景色、時間、空間、全て鮮明に覚えています。
 納会を終えるとオフに突入しました。大学では2ヶ月もの長いオフが与えられていたので、多くの部員はいろんなことに時間を使いました。もちろん自分もテニス以外のことにも時間を割きました。しかし、結局は「無名高校出身者が2部のエースになる」という、無謀に見えるほど高い目標に前にして、相当の時間を練習に割きました。おそらくシーズン中よりも練習しました。他大の友人とも縁があって、外部のコートを借りて練習する機会を何度もいただきました。
 そして迎えた2月19日のシーズンイン。その日に僕が掲げた目標は「春リーグの1つでも早い勝ち(秋の失敗の克服)、秋リーグ全勝」でした。チームとしての目標は、「春リーグ2部3位」でした。練習してきた成果もあり、周囲よりも上々な滑り出しができました。
 3月の頭には強化練習期間と日体対抗戦、そして平和カップがありました。この平和カップでは、自分がどのようにテニスをしているのか全くわからなくなってしまい、負けを重ねることになりました。今でもかなり苦い記憶です。
 しかし、この負けをきっかけにまたもう1度テニスを見直し、再び自信を持って戦績を追い求め始めました。そして迎えた関東オープンでは、ある程度自分の形として勝ちを追い求められるようになっていました。この頃にはもうリーグの北川・岡田のペアとしての起用がほぼ決まっていました。2人でチームのエース級として勝つことを意識し、六大学、練習試合に臨んできました。インカレ枠も、個人戦で勝ち取ることを目標にして、毎日のように練習しました。
 リーグが近づいてくるにつれ、日に日に緊張感が増してきました。なんと言っても3年ぶりの昇降格ありのリーグ戦です。チームに経験があるのは4年生だけで、他のメンバーは日に日に高まる、味わったことのない緊張感に襲われていました。喉から手が出るほど勝利を欲し、気持ちを作ってきました。
 そして5月6日。僕らに突きつけられた現実。


コロナ感染者のためリーグ棄権


 これが現実でした。リーグ前のタイミングで陽性者が出てしまうという運を恨みました。病を前に無力になる自分も恨みました。しかし、結局1番恨んだのは、自分達の対策不足でしかありませんでした。
 こうして入替戦へと進むことが決まりました。与えられた猶予は2週間。練習を再開できたのは10日前。その期間に、来たる日に備え、最高のパフォーマンスを発揮できるよう準備をしました。

⒉ 入替戦当日

入替戦の舞台、國學院大學

 そして迎えた入替戦。対するは帝京大学。僕は4番で出場しました。整列の瞬間は、いよいよ待ちに待った、真剣勝負の試合が始まるんだな、とワクワクしました。いろんなOBさんからの激励を見て、ウォーミングアップに入り、試合に入る準備をしました。高校が強豪ではなかったので、見たこともないような自チームの熱気溢れる応援に勇気をもらい、胸を張ってコートに立つことができました。
 自分には1-2で回ってきました。不思議と緊張より高揚感の方が強く、とても調子がよかったのを覚えています。映像を見返すと雨が降っていましたが、そんな記憶はありません。最後の最後まで、恐怖や緊張と向き合った瞬間も記憶になく、人生で1番と言っていいほどのコンディションだったように思います。

 結果。僕が敗れ、降格を決めてしまいました。

 今思うに、全てが相手の方が上だったように思います。技術力。精神力。身体能力。試合への向き合い方。こんなにもコンディションがいい状況で、ほとんど手も足も出せなかったという結果。相手校は本当に素晴らしいチームでした。対して、自分達ができることを全て出し尽くしていたのか、思い返せば思い返すほど、その行動の結果がつきまとい、やるせなく、申し訳ない気持ちになります。何より、今、自分のテニスへの取り組みに対して納得できない自分が本当に憎らしいです。そして、昨秋から与えられている再三にわたる出場機会を、幾度となくふいにしてしまい、申し訳ないです。

⒊ これからするべきこと

 こうして「3部」という、今まで2部優勝を目指してきた僕らにとっては、あまりにも重く、辛く、苦しく、酷薄非情な現実がのしかかってきました。

 BUMP OF CHICKEN の『ray』という曲に、「理想で作った道を現実が塗り替えていくよ」という歌詞があります。今回は、まさにそれを肌で体感させられることとなりました。

スポーツは結果が全ての世界。大人たちは失敗した時に限って「過程が大事だ」とか「よく頑張った」とか言いますが、今の僕にとってはその優しさが傷に塗られた塩のように滲みます。はっきり言います。

もう2度とこんな経験をしたくない。

 中高でまともにテニスを出来なかった僕にとってはなおさら、今回の失敗は本当に大きな失敗でした。そこで、もう2度と同じ失敗をしないために、この場を借りて宣言させてください。


秋リーグ 
チーム1番手として3部全勝 優勝に貢献する
入替戦勝利 2部昇格


 この目標を達成するために、次回のリーグまでに必ずエースとして、チームを引っ張れるような前衛になるべく、これまでに増して個人レベルでの身体・技術を磨くだけでなく、チームに対していい影響を与えられるよう、より一層邁進します。そして、最後のリーグで、4年生の先輩方と、2部に昇格した喜びを一緒に味わえるよう、全力を尽くします。

⒋ おわりに

 浪人時代に聞いていた、Mrs. GREEN APPLE の『僕のこと』にはこんな歌詞があります。

僕らは知っている 奇跡は死んでいる
努力も孤独も 報われないことがある
だけどね それでもね 今日まで歩いてきた
日々を人は呼ぶ それがね 軌跡だと
Mrs. GREEN APPLE 『僕のこと』

 ここまで散々、入替戦の結果についてネガティブなことを書いてきましたが、今までの数々の練習の成果、そしてこの入替戦の結果さえも単なる軌跡で、その軌跡は次の成功へとつながる、遠回りなようで1番近い軌道を描いているのかもしれません。



 さて、今回の部員日記はこのあたりでおしまいにさせていただきます。ここまで、長文にお付き合いくださりありがとうございました。末筆にはなりますが、これからも応援・ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

 次回の部員日記もよろしくおねがいします!

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