頭の中を巡ることは山ほどあるのに言葉にすると陳腐なものになったり、自分の意思とは違うものが出来上がっていたり、全くわたしの頭というのは理解に苦しむ。
わたし本人がそう思っているんだ、周りの人はもっとわたしという人間がめんどくさいだろう。

今日は母に朝玄関で「今週も謙虚に、生きなさいよ」と言われた。なんのことだ、いつも言われない一言で思わず「…謙虚？」と呟きながら駅に向かった。

この二、三日は、嘘みたいに寒さが戻ってきた。お花見していたのはこの前なのに、大雨が降って桜はだいぶ散ってしまった。

桜の散り際は、いつも潔い。
見物人はまだ散らないでと願っていても、構わず散ってしまう。そんな後ろ髪引かれても気にしない桜がすきだ。意外にも花に学ぶこともあるものだと今年は一段とそう思った。

今年は花見を3回したけれど、全てにドラマがあって、全て記録に残しておきたいと思った。
それはまた、頭の整理がついてから。

母が謙虚にとわたしに言ったのには理由がある。先日、母と喧嘩というか、一方的にわたしが話してムスッとしたことがあった。

わたしには夢があって、今はベンチャー企業で火を吹いているけど、イラストレーターになりたくて。両親はわたしに才能があるなんて微塵も思っていないし、思ってもらえてないことも分かってるけど、止められないだけいいのか。

部屋が絵の具に色鉛筆に画用紙にペンタブが広がっていると、片付けなさいと怒るけど、服が散らかってても同じことを言われる。

片手間に絵を描くだけで満足していたけど、ちょうど先日、フリーランスでイラストレーターになる方法みたいなことを友人に教えてもらった。楽しそうだとワクワクして職場に向かった。

その日は退職予定の現場スタッフに挨拶をしにいったのだけど、その現場スタッフと前職の話とかをなんとなくしていたら、前の職場でイラストレーターの飛び込み営業を見ていたという。

思わず自分もなりたいといったら、作品も見ずに、某出版社の元編集長に会わせてあげると言われた。運命とは急だ。

でもわたしは間がいつも悪くて、この勢いに乗れない。流石に心の準備ができないし、イラストを見てないのにそう言われてめちゃくちゃ不安だった。

わたしはその人からみたら個性的で、活発な若者に見えるかもしれないけど、わたしの描く絵はそんなに個性的じゃない。
急に自分の絵に自信が無くなった。

そんなことで連絡先を交換して、家に持ち帰って、そこはかとなくワクワクして、両親に伝えたら好きなようにやってみなよと言われた。

オイオイ、それでいいのかよ。逆に怖いよ。心配しなくていいの？と言ったら、そんな才能あなたにはないから。と悪気なく言われた。

わたしが少しやさぐれるキャラだったら家を出ていてもおかしくない。ちょっと現金が無いからそんなことはしないけど、そんなことしたい気分になった。いや多分十分やさぐれていた。

わたしはどうしたかったんだろう、止められたかったのか、怒りたかったのか、分からない。

だけど両親にちょっと怒りながら話していたら、そんな紹介されなくてものんびりやりたいなとふと思った。ほんとに頭がどうかしてる。

その次の日、母親に「昨日のことだけど。あなたに才能がないって言ってるわけじゃないのよ。」と訳の分からないことを言われた。
『もう才能ないって言われたけど、自分的には精神的にプラスになる趣味だから適当にやる、でもそんな気持ちだったのかと思われるのも癪なのでやりたいことはやるとつい昨日腹落ちしたばかりです。』と伝えた。すると「そんなこと言ってない」と謎の沈黙とともにそんなことを言われた。めんどくささは親譲りだと思った。

だけど真剣に考えてくれたことに嬉しい気持ちになった。なんだ、考えてくれてんじゃんと20代にもなって安心した。

母はもう一つ、「もっと謙虚に今生活できてることにまず感謝しないと。」と悟った。ちょっと早いんじゃないの新しいことするには、と言いたいのだろうか。

そして最後に、「今の時代、運が良ければきっとあなたの絵を見てくれる人がいるよ。」
なかなかポジティブなこの思想は嫌いじゃない。確かにそれくらいでもいいのかもしれない。

きっとこのチャンスをものにしたら人生変わってた、そんな人生もありだ。
だけどわたしは今働けている環境にも感謝しなくてはいけないし、現場で出会えたスタッフにも感謝しなきゃいけないし、上司もみんないい人だし、もっと今の環境に感謝したいと確かに思った。
ラッキーパンチで人生進めばなんやかんやでハッピーかも。なんて能天気なんだ。会社はそんなに守ってくれなさそうな気もするけど。

めんどくさがってるだけかもしれないし、わたしの真相は未だに理解しがたいのだけど、わたしのことはわたしが責任をもって、時間をかけて理解してあげたい。

今月も謙虚に、やりたいことはやろう。