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井出さんのお絵描き教室 3

家から高崎までなら車で行くのが1番簡単。つくばから高崎までは直線距離で100キロだから高速道路を使うと160キロほどで、正味2時間走れば到着する。高速道路に乗り圏央道から関越道、雪でなければ何も考えずにこの運転ルートを選ぶ。雪なら時間はかかるけど電車で3時間くらいかけて行く。電車で都内へ出て新幹線か快速電車で行く。数日間に雪の予報もあったので結局前日の夜遅くになってから車で行くことに決めた。自宅を出発する前に今夜のホテルを予約し、家を出た。軽自動車で行くには大変だから夫の車を借りて行く。いつもは乗らない車で高速道路を走り、途中のサービスエリアで休憩した。車のドアを閉めようと電子キーを操作するが、動かない。外は冷たい雨。やれやれ、このタイミングで電池が切れるとは。今回のストーリーはドアと鍵の回じゃないんだよな〜と思いながら一旦車の中へ戻る。鍵を分解して、メカニカルなキーの部分を取り出す。外からドアに差し込んで鍵をかけた。電池を変えようとするもののすぐにはやり方がわからない。こんな場所では代えのボタン電池なんて見つからないからとりあえず今日は目的地まで行くことにする。サービスエリアで食事をして、会場まで向かった。ああ、なんだか旅がもう始まってる感じ。

会場でお絵描きを終えて、みんなでご飯を食べに行く。車に乗ってもらいエンジンをかけようとするがかからない。何回か試して最後にやっとかかった。車を便利にするためのキーなのに電池が無くなりそうになると途端に使いにくくなる。なんでこんなバカな設計するんだよとこの鍵のシステムを設計した奴に文句を言いたくなる。ここにはいないけど。

翌朝コンビニで電池を買い、新しい電池に交換した。やり方はYouTube で探した。鍵のメカニカルな隙間にホテルでもらったプラスチックのスプーンを差し込んでねじったら簡単に開いた。出発前に交換しておかないと途中で動かなくなったら困るからこれでよし。

昨日はお絵描きでドアのことしか描かなかったのに、ここへ来て鍵のトラブルが発生した。しかも今回は珍しく鍵そのものの問題だった。普通は鍵ではなく鍵穴の方に問題があることが多い。鍵が開かない、は鍵のせいではなく、鍵穴を従えたドアのせいなのだ。なのにいつもカギのせいにされる。鍵はいつも理不尽な扱いをされ納得がいかなかった。持ち歩いてなくされるのもいつもドアではなくカギの方だ。カギはいつの日かドアと立場が入れ替わりたいと常々思っていた。そして本日、電池という手段に訴えて反乱を起こした。反乱は翌日電池交換によってあっさりと抑えられ、何事もなかったかのように元の日々に戻った。

考えてみたら車のキーは鍵穴に刺さった状態だった。鍵穴とセットで車のコンピュータと通信する。コミュニケーションによって鍵が開くタイプの新しい電子キーだ。やれやれ、我々の生活は本当に便利になっているのだろうか?

続く

写真は富岡製糸場の資料室の2階
蝶番のあるドアだったのか〜
引き戸だと思っていた。


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