見出し画像

【#読書感想文】『ゴーストハント4 死霊遊戯』 小野不由美

 小野不由美さんのホラー小説で面白い点は、不思議なことを放置せず、科学的思考で裏づけしていき、最後に残ったものを恐怖の対象とする手法で書かれているところだ。
 この作品はその部分が特に強く出ていて、まるで推理小説を読んでいるような緻密さを感じる。
 それに加えてホラーの描写が真に迫るので、徹底した理論で囲まれた読者は、「単なる錯覚でしょ」などといった逃げ出す言い訳ができない。

 今回は抑圧された学校が舞台だった。ここまでひどくはないが、市内では厳しいという評判の高校に通った私には、松山という教師の横暴さを身にしみて感じるものがある。

 そのためか、事件の発端は他人事とは思えず、身につまされる悲しい出来事だった。
 私の場合はそれが一年間で終わったので追い詰められることもなかった。だがこれが三年間続いていたら、一瞬の迷いで同じ道を選んだかもしれない。そう思うと切なくなる。

 小説の中では、麻衣の明るさと安原少年という個性的なキャラが、辛さや悲しさを上手い具合に中和してくれた。
 特に安原少年のような人が身近にいたら、不安や抑圧よりも、彼との時間を楽しみたくて道を外すことはなかっただろう。
 彼に関してはサブレギュラーとして今後も出演するので、引き続きその活躍が見られるので楽しみだ。

 リーダビリティも高く、読み始めたら勢いのまま読了できるのも良かった。

 残りはあと三冊。
 少女小説時代に何度も読み返しているので、大体のストーリーは把握している。
 全部読み切るのがもったいないので、月に1冊ずつくらいのペースで読みたい。


この記事が参加している募集

読書感想文

投げ銭がわりにサポートしていただけると嬉しいです。執筆活動に必要な資料や道具をそろえるのに使います。よろしくお願いします!