デザインのひきだし創刊50号記念特別号の印刷物ができるまで

2023年10月12日 14:24

こんにちは！緑陽社です。この度、10月10日発売の『デザインのひきだし』創刊50号記念特別号の企画「あなたの会社の一番得意な印刷加工を教えてください！」に参加させていただきました！「現代日本の印刷加工大全実物サンプルBOOK」の156枚目に弊社の印刷物が掲載されています。

「デザインのひきだし50」（現代日本の印刷加工大全実物サンプルBOOK 156枚目）

この記事では、緑陽社の印刷物ができるまでの裏側を紹介していきます！

1.『デザインのひきだし』とは

『デザインのひきだし』は印刷や紙、特殊加工などデザインを効果的にみせる印刷物を作るための情報を紹介している技術情報誌です。

毎号テーマに沿った技術の紹介をおこなっており、関連した実物サンプルが多く収録されていることから、デザイン・印刷・写真業界など多くの職種のプロに愛読されています。
今回の『デザインのひきだし50』の特集は「現代日本の印刷加工大全」です。

2.印刷で使用する用紙や加工を選定

まずは使用する用紙や加工を決めていきます。
企画のテーマは「あなたの会社の一番得意な印刷加工を教えてください！」でした。

緑陽社といえば「キャラクターの肌色の美しさ」と「特殊加工」。これらを表現しつつ、「鮮やかなカラーで目立つものにしたい！」という意図が初めにありました。実現するためにどんな用紙や加工が良いのかを企画部門で打合せを進めます。

そこで最終的に決まったのがメタリック表紙、5色カラー、グロス/マットニス、蛍光カラーを組み合わせた印刷でした！

【印刷方法】
UVオフセット印刷
【印刷色】
［1］白止め+5色カラー印刷（CMYK+蛍光ピンク）
［2］特色蛍光グリーン
［3］グロスニス
［4］マットニス
【用紙】
スペシャリティーズNo.241（ヘアライン） 180kg

仕様した加工について詳しくはこちらから
▼メタリック表紙
 ▼表紙5色カラー

3.印刷用の原稿を作成する工程

今回の企画用イラストをイラストレーターのechigo様にお願いしました。様々な加工が組み合わさる絵になるため、用紙やカラーの印刷見本をお送りしてイメージをすり合わせながら打合せを進めていきました。イラストに使われているキャラクターは緑陽社のオリジナルキャラクターの「緑利（みどり）」くんです。

echigo様、素敵なイラストをありがとうございました！

完成したイラスト原稿はこちらです。特殊加工をかける箇所は、制作ソフト上で別レイヤーに分けています。特殊加工用の原稿は黒で描画します！この黒で塗った部分に、蛍光色のインキやニスが入ります。

■白止め原稿
今回はシルバーの用紙を使うため、紙地の色の影響を受けたくない部分に白インキを印刷（＝白止め）します。キャラクターの肌が明るくなるよう、主に肌の部分に白止めをいれています。

■５色カラー原稿
キャラクターの肌の影に5色カラーを入れることを想定しました。ピンクの色の部分は蛍光ピンクが入り、印刷時にはさらに色鮮やかになります。

■蛍光グリーン原稿
イラストの背景部分と前髪、洋服に蛍光グリーンを入れます。蛍光グリーンは100％だけでなく中間の色を使い、絵に情報量を増やしました。

■グロスニス+マットニス原稿
ニスは文字や背景、キャラクターのアイテムなどさまざまな箇所に散りばめました。角度を変えて見てみるとうっすらとニスが現れる仕掛けです。

4.緑陽社での印刷から断裁までの工程

原稿が完成したので、いよいよ印刷していきます。今回の印刷物は2日に分けて印刷しております。フルカラーの印刷から徐々に加工が足される様子をご覧ください！

■緑陽社での白止め＋5色フルカラー印刷

金属の質感が特徴のアルミ蒸着紙「スペシャリティーズ No241（ヘアライン）」に白止めとカラーのイラストが乗りました！

五條製紙株式会社様のスペシャリティーズのシリーズは、他に類を見ないキラキラとした輝き、質感、美しさが特徴です。さまざまな色・輝きの紙が作られており、用紙の選択でもどのスペシャリティーズにするかをとても悩みました。

5色カラーの蛍光ピンクをキャラクターの肌やパーツに入れることで、通常のフルカラー印刷よりもグンと鮮やかな印刷になります。肌の影やキャラクターの輪郭部分に蛍光ピンクを入れています。瞳のピンクはスペシャリティーズの用紙の効果もあって存在感バツグンです！

イラストが乗っている部分の下に白止めがあることでキャラクターのイラストがしっかり印刷されます。実はこのサンプルでは白止めの有り無しでも遊びを入れています！

キャラクターの瞳にご注目ください。

光っているように見えるのではないでしょうか？これは瞳にあえて白止めを入れないことで、スペシャリティーズの用紙の輝きを活かしています！

■蛍光グリーンのインキを使用した印刷

背景や髪の先端、洋服の模様に蛍光グリーンを足しました！キャラクターで使用した蛍光ピンクの印刷と合わさり、画面の存在感が更に増しています。

■グロスニスとマットニスを使用した印刷

ニスは、主に背景と画面上部の文字に使用しています。スペシャリティーズの用紙と蛍光グリーンの背景に足されたニスは、見る角度によってチラッと見える透明感のあるデザインが絵に立体感や奥行きを生んでいます。

■印刷物を冊子の製本用に断裁

印刷まで無事に進行したので、あとは断裁と納品です！

印刷物をデザインのひきだしの冊子に挟み込む形になるように断裁していきます。断裁した状態のものを編集部の方にお送りします。

そして

製本されて弊社に届いた本がこちらです！

すべて合わせると厚さ10cm、重さは約3kgの圧倒的存在感です…！
日本全国の印刷加工会社100社の実物見本が綴じ込まれた冊子は、各社様のすばらしい印刷・加工が盛りだくさん。

特別な印刷物を作るワクワクと、失敗しないかドキドキの両方が共存しながら、楽しく参加させていただきました！
この度はデザインのひきだしの記念すべき創刊50号記念特別号の企画に携われてとても光栄でした。

印刷や加工に興味が出た！もうこの記事を読む前から特殊加工が大好きだ！という方には、50号記念特別号を手に取っていただければ幸いです。
ぜひこの記事と、実際の印刷物を比較してみてください！

デザインのひきだし50　特集「現代日本の印刷加工大全」