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お互いが可能性を共創しあう社会を創る、個性筆講座主催、タオリセットコーチの草刈正年さん

京都府綾部市の限界集落で自給自足的な生き方をしながら、新しい仕事をつくる活動をしている“草刈正年さん”にお話を伺いました。

草刈正年さんプロフィール
出身地:千葉県市川市出身
活動地域:京都府綾部市を拠点に全国で活動
経歴:書家アーティスト・メンタルコーチ
個性筆講座主催、タオリセットコーチ、元個性筆文字協会代表
自分の個性を引き出すことで想いを形にし、人生を動かす個性筆教室を1000人以上に教え、個性筆文字協会を立ち上げて全国に約100人近くの講師を養成。しかし、協会活動で講師の稼働率が10%くらいという業界平均値と自分の協会も同じことを知り、本当にこれは世の中のためになっているのか?という迷いと違和感で、協会を閉じる。
 その後、自分の方向性に迷い、様々な経験をする中で、自分の方向性で悩む人のために開発した、タオリセットコーチングをはじめ、人の実現を加速する個性筆という筆文字技術を伝えながら、やる気を発動させる書家としてアート活動をしている。 
 京都の綾部と限界集落で、子供3人を子育てしながら、畑、米、味噌、麹、醤油を自分でつくる暮らしにも挑戦している。
座右の銘:答えは己の中にある

自分が社会に何を伝えたいのを常に模索している

記者:草刈さんは元々、個性筆というブランドを生み出し、個性筆文字協会まで立ち上げたんですよね?それを2年でやめてしまったのは何故ですか?

草刈正年さん(以下、草刈 敬称略):はい。そうですね。実際に協会を立ち上げて、個性筆というツールを自由に使ってもらえるようにインストラクターを100人ほど育てたんですけど、その内の1割くらいしか実践しなかったんですね。でも、協会ビジネスで1割って良い方なんですよ。それもわかっていたんですけど、、でも虚しくなってしまったんですよね。
僕は本当に社会に役立ってるのかなと。
協会の仕組み自体にも疑問が出てきてしまって・・・。
これは何か違うという違和感に僕は嘘をつけなくてですね、若気のいたりでやめてみたんですよ(笑)そしたら嵐がたくさんやってきました(笑)
協会って一度立ち上げたらやめちゃいけないものなんですよね。
でも、当時、自分が迷っていたんです。
自分自身が一体、何のために生きて、何のために仕事をして、何のために筆文字をやっているのか?わからなくなってしまって。。
それまでは、人のお願い事で仕事をつくっていて、個性筆文字協会も人のお願い事でつくったんですよ。でも、自分の中では、こう表現したいし、社会をこう良くしたいはあるんだけど、そうならなかった時というのは、自分で決めてないからなんですよね。下手したら、人のせいにしてしまう。環境のせいにしてしまう。形のせいにしてしまう。それが見事に起こってしまったんですよね。そこから暫く迷走しましたね。
だから自分自身が、せっかくサラリーマンをやらずに起業してるから、自分が社会に何を伝えたいのを常に模索しながら、迷いながら、実験しながらやっています。
そんな中で僕自身がいろんな人に助けられて、最近、「タオリセット」というコンテンツを創ったんです。タオは中国語で「道」の意味です。リセットは再設定という意味で捉えています。道っていつでも再設定すれば良いんです。今の自分自身が求めていることを再設定して生きていけば、いつだって目標をつくれるし、方向性も定めることができます。
明日もクライアントに向けてやるんですが、タオリセットセッションという、筆文字を使ったセッションをやります。英語の「character」は個性とか性格という意味の他に、文字という意味もあります。自分自身の個性や感性はめちゃめちゃ文字に出るんですよね。

「お互いが可能性を共創しあう社会を創ること」

記者:なるほど。そんな背景があったんですね。そしてタオリセットが何なのかがわかりました。
そんな草刈さんの夢やビジョンを教えてください。

草刈:夢って実は苦手で、小学校で書かせるじゃないですか、僕は野球選手になりたいとか、医者になりたいというのがなくて、、未だに無いかな。
でも、VISIONっていうと、お互いが可能性を共創しあう社会を創ることですね。あなたが心の中で感じていることって、それを口にした時に、それを聞いた誰かを「ああ!」って気付かせる言葉なんです。全ての人が心の中にそれを持っている。
僕が今話すじゃないですか。それを聞いた皆さんも何か心の中で何か思うはずなんです。「共感します」もあるだろうし、「いや、私はそう思わない」とかね。その言葉って、誰かの可能性や視野を広げることだと思うんです。今、思っていることをどんどん自然に出し合える社会にしたい。
僕が昔、SE時代に仕事が大変でパニック症になった時に、周りの人から大丈夫か?って聞かれることが本当に辛かったんです。
だって大丈夫じゃないから。
でもその中で3人の友達の言葉に救われたんです。
その3人は「いや、マサは絶対、大丈夫だよ!」ってビックリマーク(!)を付けてくれたんです。この「?」か「!」の違いが僕の人生を変えてくれたんです。
気を使って大丈夫?って聞かれるより、俺はこう思うんだよねって言ってくれた方が、人の命を輝かすんだなっていうのを気付いたんです。
世界の裏側の人とも話せる時代なのに、身近な人にも話せない人も増えてきている。自分が思ったことをシンプルに言えることが、実は本当の人の繋がりだったり、幸せに繋がることになるんじゃないでしょうか。それをいろんな形で応援したいというのがVISIONですね。

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「全人類、路上詩人化計画」

記者:ありがとうございます。
では、そのVISIONに向けての目標・計画、普段やっている活動について教えてください。

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草刈:僕は路上詩人という、路上で即興で筆文字を書くことを10,000人くらいの人にやってきたんですけど、なんで筆文字教室をやってきたのかと言えば、こういうことができる人が世の中にもっと増えたらいいなと思ったからなんです。でも、今の筆文字協会は型にハメたり、ビジネスが優先されてしまって表現の自由を奪いにきてる。でもそもそも表現って自由じゃないですか。僕は不自由が大嫌いなので、もう一度、筆を持ちながら表現の自由を伝えて行きたい。誰もが、自分が世の中に伝えて行きたい思いを自由に言葉と文字を使って表現したら、かつての弱っていた僕のように「ああ!その言葉欲しかった!!」って誰かの可能性を取り戻すということが起こるなって思っています。
自分自身と向き合うことがすごく大事だし、自分自身と繋がっていくということが大事。そしてその自分自身の中心をタオって呼んでいるんですけど、タオはこの瞬間、瞬間で変わる。そして変わった時に、それを楽しめるかどうかなんですよね。自分軸、タオを見つけて行く。タオリセットでその人がその人らしく生きれるようになれば、その姿を周りの人も見て、更に可能性の輪も広がって行くと思います。この筆文字とタオリセットの2つが普段やっている活動です。

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「筆文字は人のきっかけを創れるもの」

記者:草刈さんが筆文字をやることになる、きっかけは何だったのですか?

草刈:当時、パクチーハウス東京というパクチー料理専門店で働いていて、そこでよくウェルカムカードを筆文字で書いていて好評だったんです。そんん中、当時付き合っていた彼女、今のカミさんですけど、彼女がてんつくマンの路上詩人塾を紹介してくれたんです。でも僕は「無理無理!」と断ったんです。そしたらある時、彼女から「正年」と彫ってある判子が、手紙も何も無く送られてきたんです。それでこれはやらない訳には行かないということで、てんつくマンの路上詩人塾に参加しました。
そして午後の路上実践の時間で、たまたま知り合いが通りがかって、その人のために書いたんです。初めてだったんで全然インスピレーションも浮かばず、めちゃくちゃ一生懸命に考えて言葉を書きました。そしてその書いた色紙を見た彼が「あぁ・・・そっかぁ。」って言ってから僕の顔を見て印象的な言葉を言ったんです。「ありがとう!きっかけ貰ったよ!」って。多分、あの人のあの言葉に出会ってなかったら、筆文字を続けてなかったと思います。筆文字の原点は、自分自身の人生を変えるというもので、それには頓着も無かったんですが、筆文字が人のきっかけを創れるものなんだというのが繋がった時に何かが変わったんだろうと思います。

「人の手を使って創り合う社会が美しい」

記者:AI時代にどんな美しい時代を創って行きたいと思っていますか?

草刈:創り合う社会ですかね。人の手を使って創り合う社会が美しいんじゃないかなと思います。AIが出てきて便利にはなると思うけど、それはそれで幸せがなくなっていくと思います。人の手を使って作る楽しさがあることが美しい時代だと思っています。

記者:最後にリライズ・ニュースの読者に向けて一言お願いします。

草刈:令和の時代が始まったけど、時代って僕ら一人ひとりが創っているものですよね。僕には僕の創りたい未来があるけど、皆さんには皆さんの創りたい未来があると思うので、共に創っていきましょう!

記者:今日は素敵なお話ありがとうございました!

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写真左から目黒、草刈正年さん、小田原、山下

【編集後記】インタビューの記者を担当した目黒・小田原・山下です。
相手に対しても周りに対しても、常に可能性を観るという草刈さんの視点が素晴らしいと思いました。これからも多くの人を巻き込んで新しいこと楽しいことにチャレンジしていって欲しいです(目黒)。草刈さんのお話を伺って、「可能性を観ること」と「自由に表現すること」が繋がっている美しさを感じました(小田原)。お話を聞いていると、挫折は一緒に心が痛むような、そして景色が広がるような臨場感を味わいました。(山下)

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


高校美術教師、CM大道具を経て映像ディレクターやカメラマン、記者をしています。人間の認識を変化させる教育技術・nTechのコンテンツ開発に携わり、日本から新しい時代を創るリーダー育成、組織開発をしています。