りょうまい

88年生まれ。理学療法士。ゆるやかに作家を目指す練習帳です。ユニットnoteに短編小説…

りょうまい

88年生まれ。理学療法士。ゆるやかに作家を目指す練習帳です。ユニットnoteに短編小説あり〼(PN.ロク)。 📖ユニットnote[https://note.com/hikari7110] 📖個人ブログ[https://betterlife-tankyu.com

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お守り

いつから聴いてきたのだろうか。 子供の頃、家族と出かけた日曜日の帰り道。夕方の高速道路を走る車内で、流れてくるそれに耳を傾けていた。電波の向こう側では「爆笑問題」が何か面白そうなことを話していたが、何を話していたかは全く覚えていない。ただ一方的に聞こえてくる掛け合いが面白く、笑う両親を感じながらこれは”笑っていいやつ”なんだと思いながら眠りについていたことを思い出す。 ラジオは生活に寄り添う。が、家でわざわざ聴いたことはない。時に職場、時に車内、時に出かけ先のお店で流れて

    • Blues Drive Monster / Radio Monster

      ラジオがやりたい。 ここ数年ずっと思っている。 ”ラジオリスナー”じゃなくて、”ラジオパーソナリティー”の方を。 ほんの少しだけ自由に使えるお金と時間を手に入れたとして、30代男性として新しく始める”大人の趣味”を並べると、「あの時計が欲しい」とか「ギターが習いたい」とか「DIYを始めたい」あたりが妥当だろうか。 昔から身格好は機能性が一番だと思っているので腕時計なんて一つあればいいし、音楽的素養は皆無なので、音楽は奏でるものではなく聴いて楽しめたらそれでいい。DIY

      • 生まれた日

        また1つ歳を重ねる。 「年齢は単なる記号ですよ。」と患者さんと話すものの、誕生日は自分を見つめ直す良い機会だと思う。 年々、自分の誕生日に対して無頓着になる私に、 「誕生日は歳をとって大人になる日ではなく、産まれてきた日だから何歳になってもめでたいものだよ。」 と妻は言った。 こういう、自分一人では辿り着けない物事の考え方に触れた時に、あぁ、妻と結婚して良かったなとひっそりと噛みしめるのだ。 35歳。数字に意味はない。 しかし、大人になり、子供を授かり、親が年相

        • 1年目の答え合わせ

          ライフプランをよく考える。24時間365日くらい考えている。目的地はどこに設定したのか、そこへちゃんと向かっているのか、現在地を見失っていないか。最適なゴールも、最適なルートもないことが明らかになってしまった今こそ、手探りで進む。 我が家のカーナビはあてにならない。父親がよくカーナビを無視して、”何のためのナビゲーションだよ”と思った。ナビのことを不便に思った。方向音痴である私はナビのことを信頼している。だからこそ裏切られた時の憎悪も人一倍だ。すぐさまスマートフォンでマップ

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        • 読書録
          5本
        • 散文、エッセイ
          11本
        • あとがき
          1本

        記事

          【読書録】『冒険の書 AI時代のアンラーニング 第一章』を読んで①

          全ての人に教育が必要であることは言うまでもない。生きていくために。社会を支えるために。 新時代に義務教育を課せられる我が子達が、その渦中に飲み込まれる前に学校の必要性を考える良い機会だ。 これからの時代に学校で何を学ぶべきなのか、そもそも学校とは何か。 ”どうして学校の勉強はつまらないんですか?” イギリスの哲学者ホッブズが、野蛮な人間に対する教育の必要性を説いた。競争や争いを主軸に生きる利己的な側面は否定しないが、与えられてきた教育が争いを必ずしも防ぐわけではない。

          【読書録】『冒険の書 AI時代のアンラーニング 第一章』を読んで①

          出来ることから

          2024年。 今一度、自分に出来ること、やるべきことを確認する。 目を背けたくなる程の悲しい出来事に対して、個人に出来ることは限られている。 限られてるからこそ、大きな出来事をどうにか受け止めて、そして小さくも個人に出来る行動に繋げていくことが大切だ。 私自身は無理のない範囲で募金をし、今の自分の生活範囲で同じようなことが起きた時に、医療従事者として適切な行動が取れるように準備し、そして時期に見合った支援ができたらいいなと思う。 現状を追うことも、今の自分の生活を一

          出来ることから

          薄い年末、ぼやける冬

          破り捨てる日めくりカレンダーのように、1人、また1人と通勤列車の乗客が減っていく。 隙間の空いた生温い車内に、冷たい風がよく通る。 また14日後に会うのに、1人、また1人と肌に合わない年末の挨拶を済ませていく。 箱に詰めて崩れたあのケーキじゃないんだから。 届けて、開けて、丁寧な心が伝われば。 はなから翌日の安くなったケーキを狙って強かに生きる人には他人事だけど。 緑が白に移り変わるこの隙間に日常と本性が顔を見せる。 12月27日ってそんな気分。

          薄い年末、ぼやける冬

          11月の終わりに見た、夢の話

          11月も終わる頃だった。 生々しい夢を見て、後味の悪い汗をかいた。 夢で見た空想物語を書き出したらいよいよだろうと普段なら思うのだが、あまりにも啓示的過ぎて、起きしなにメモに残した。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 夢を見た。 場面は懐かしの幼馴染一家との食事会から始まった。 昔よく遊んだ、あんなに小さかった弟達は立派な大人になっていた。 それぞれに家庭を持ち、立派な仕事に励んでいる。 過ぎゆく時の速さが強く眩しく、比例して自分の影を延ばしていく。 家の前

          11月の終わりに見た、夢の話

          【読書録】『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』2

          『心の中のタイムトラベル』 内なる自分と会話する。 とある研究者が街ゆくニューヨーカーに声をかけて、録音した彼らの内なる声。 ある者は過去の過ちを嘆き、ある者は自分の行動を正当化し、次に何をすべきか彼自身と相談していた。 過去の出来事を整理して受け入れるために、未来に向かって次の行動を決めていくために、内なる自分に語りかけていた。 時空間を超えたそれはまるでタイムトラベルのよう。 誰もが身の回りの出来事や相談事を誰かに話す。それと同じように内なる自分に向けてそれを

          【読書録】『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』2

          【あとがき】『ペーパードライバー』

          いい夫婦の日に向けて書いた物語。ではないところが事実の面白いところ。アップロードが11月22日になったのは確かたまたまだったような。 着想のきっかけは夫婦の些細な「すれ違い」やありふれた「衝突」を、車の運転に当てはめたら面白いかなーと考えたところから。 私自身は運転は嫌いではない(むしろ好き)ですが、身の回りの女性からよく聞く、”運転あるある”を思い出しながら書いてたら、上手いこと物語に当てはめられたなという感じです。 運転手の顔が見えないだけに、運転の思いやりってより

          【あとがき】『ペーパードライバー』

          虚構の向こう側へ行きたい

          超えたい壁を明確にして、これから先の10年間をどう過ごそうかと考えた。 昔から勉強が好きで(でもテストは嫌いで)、単純に何かを学ぶことが好きだった。 小さい頃に母から「知識は荷物にならないからいくらあってもいい」と言われた。それを今でも覚えているくらいには、そういった環境に恵まれていたんだろう。 義務教育から、大学、そして新社会人あたりまでは”これを知っとかないとまずいことになる”ことが分かりやすく目の前に提示されていてそれをやりくりすることで充分だった。 しかし、そ

          虚構の向こう側へ行きたい

          朝の隙間

          朝の保育園への坂道。 水曜日だけど月曜日のように、電動自転車で駆け上がる。 前に座る娘が空を見上げて、今日も月を見つける。 「たまごパンみたい」 笑みとよだれが溢れる朝の隙間。 水曜日だけど金曜日のように、お迎えに行くよ。

          雨の朝

          雨の日はイヤホンをしていると頭の中の圧が高まるから外す時がある。 雨の落ちる音や、濡れた路面を歩く音や、走る車のタイヤの音がやけに大きく聞こえる。 雨の日はイレギュラーな動きが組み込まれるため、予想以上に電車も混んでいる。 たとえ混んでなかったとしても、それはそれで「今日は雨だから」と何かにつけて雨のせいにしがちになる。 雨のせいで、難しい本よりもエッセイが読みたくなる。 雨のせいで、何か書いてみようかと思う。 そう思って家を出たが雨のせいで電車に駆け込む羽目にな

          【読書録】『月と散文』①

          「私よりも孤独な人がいる」 率直に作者に対して抱く気持ちは、澱みなく流れる散文から汲み取れる。 孤独ならば孤高になれば良いと聞いたが、作者にはずっと孤独であってほしい。 あーそうそう。 とか あーそうやって考えたらいいのか。 と身の丈をきっちりと生きていく足取りを追いかける。 案外この世は孤独な日常の足し算な気もする。 奥行きの認識は基準線に対する角度と配置された物の大きさの関係性から認知されると昨夜の研究会で聞いた。 高いところから見渡した景色ではなくて、

          【読書録】『月と散文』①

          滑走路を走るあの飛行機のように

          なんとなく保育園生活は親子にとっての日々をイメージするが、小学校生活はもう完全に子供のものであるという認識がある。 少しずつ手を離していく。 少しずつ手が離れていく。 数ヶ月前に青葉混じる桜を一緒に見た息子が、もうすぐ小学生になる。それが未だに信じがたいのはどの親も通る道だろう。 ヨーイドンの合図で6年前に一緒に”親子”がスタートしたはずなのに、息子の成長に比べたら父親としての成長は随分とのらくらに感じるものだ。 昨年度は保護者会役員を経験した。園のど真ん中から息子や

          滑走路を走るあの飛行機のように

          【読書録】『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』①

          【はじめにを読んで】 チャッター=内なる声とは即ち、内省のことであり、自分自身の思考や感情へ積極的に意識を向けることである。時に創造の源にもなるその能力によって、人間は他の種と異なる進化を遂げたともいえる。 私の内なる声もいつも騒がしい。 何をしてるの? 何のために? それでいいの? 今、何をするためにここにいて、それをどこまで達成して、この先何をするつもりなのか問題点を指摘してくる。そんな自問自答を起きてから寝るまでずっと続けている。 研究者によると、チャッターを

          【読書録】『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』①