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完成を見ることができない酒のドラマチックさよ・仁井田本家百年貴醸酒2017

いいことがあったので、誕生日にもらったお酒を。

仁井田本家酒造の百年貴醸酒です。かっこよくないですかこれ。フフフ。
お酒について概略を説明します。
これは福島の仁井田本家酒造という酒蔵が創業300年を記念して2011年に始めた酒であり、プロジェクトです。

「貴醸酒」というのは日本酒を飲まない方にとって耳慣れないかもしれません。
でもほら、耳慣れないけど美味しそうでしょ?貴醸酒。
ってこれただの印象論ですけど笑

貴醸酒というのは、お酒を仕込む最後の段階で通常水を加えるところを水の代わりにお酒を加えてつくったお酒です。
その結果できあがったお酒がどうなるかというと、濃醇かつ甘みが豊かになります。一般的に、ですが。

このお酒もゴージャスなラム酒づけのバナナのような香りに包まれています。

色もやや黄金色。
時期が時期だけに輝く稲穂を想起させますね。

ちなみにまたまたプチ情報ですが、この仁井田本家さんはお酒の造りもですが田んぼをつくる、お米をつくることに関しても大変な労力を払っていらっしゃいます。
一般の方を巻き込んだイベントなんかも確か開催していたはず。気になる方は調べてみてね。


そんなことを思いを浮かべながら飲む酒はとてもうまい。

そう、うまい。それは当たり前だ。
この酒の何がロマンチックかというとですね。実はこの酒百年後に完成するんです。

さっき「貴醸酒は仕込みの最後にお酒を加えてつくる」と言いましたね?

そう、で、この酒はその要領で去年つくった酒を今年のお酒に使って、今年のお酒を来年にまた使って、来年の酒をまた再来年使って…ということを繰り返すのです。百年。

そうです。
このお酒は毎年完成しますが、真の完成は100年後です。
その時まで誰が生きているでしょうか?
今つくっている人も、今飲んでいる僕も、そして今見てくださってるあなたも多分生きてはいません。


完成をこの世では拝めない酒…というのはとてもロマンチックです。
毎年触れられるけど、自分にはこの酒の最後がきっとわからない。
しかし、味わいは素晴らしい。きっと来年も再来年もより厚みを増した素晴らしい酒になっていくことでしょう。

自分で味わえなかったら、どうしようね。
一見悲しいね。
だって飲みたいから。酒は飲んでなんぼだから。

でも、そんなことで悲しむことはないね。
ちょっとだけ視点を広げればいい。
ただ飲む以上の幸せに耳を澄ませばいい。


次の世代の奴らが、もしくはその次の世代の奴らがきっとそれを飲んでくれる。味わってくれる。笑顔をみせてくれる。語ってくれる。
そこに行き着くまでに一体何人がこのお酒に関わるのだろう。
何人がこの酒の夢を託すのだろう。

このお酒は完成までに多くの人の間を通ってみんなから手をふってもらうのだ。見送られる。その姿のなんと勇ましいことか。ドラマチックでロマンに溢れてる。

このお酒は、自然とお酒を繋ぎ、お酒と人をつなぎ、人と人をつなぐ壮大な酒なのだと思う。

おれはこれの完成を見られないけれど、でもこの酒の未来に少しでも関わりたい。
だから来年以降も飲みたいと思います。
見かける度に、そういうつながりの幸せを肌で感じたい。

そんなふうに思うのです。
ふう。

先週東京に行ってから、昨日の投稿記事を書いてからいいことばっかで怖いね。
怖いけど、おれは浸る時は浸るタイプなので今日この酒を飲み干すまでは浸っておくよ。

んん。
本当にありがとうございます。

まだ知らないことばっかりだな。おれは。

最終到達点は見えないけど、進みますよ。
好きだなあ。

酒。

よし、寝よう。
寝てまた忘れて進まなきゃ。ではでは、また明日。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。