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リーマンショックについて

先日「マネーショート」という映画を見た。この映画は、2008年のリーマンショックを題材にしているノンフィクションである。リーマンショックの発端となったサブプライムローンの問題性に気づいた数人が逆転する様子を描いている。

主人公達は、当時の住宅バブルと実リスクを見えないようにした金融商品が飛び交っている現実にいち早く気づき、逆転の金融商品を買い漁る。 みんなからハグれ者とみなされる中でも、この状況は必ず破綻すると信じて、最後には史実の通りリーマンショックが起きる。主人公達は、大金を手にすることになる訳だが、世の中は恐慌に向かっていく中で、心から喜ぶことができないといった様子で映画は終わる。

途中で印象的な描写があった。若い2人組の投資家が破綻の先読みをして、逆転の金融商品を続々と購入。そして、今後手に入るだろう大金を想像して喜びで踊り出す。それを見ていたアドバイザー的な立場のブラッドピットが、本当にその事態が起きたら、100万人が家を失うんだぞと一喝する。

金融で勝者になるということは、裏には敗者がいる。勝者だった人が翌日には敗者になっているかもしれない。投資家対投資家であれば、リスクも織り込み済みで、ある意味自己責任と言えるかもしれない。ただ、サブプライムローンの問題は、金融の自己肥大の為に、一般の人(特に貧困層)が被害を受ける。本質的に許されざる事態だったのだと気付かされた。

リーマンショック当時、僕は中学生だった。ニュースでとんでもないことになっているという報道がされていたが、公務員家系なので特に身の回りに変化は無かったし、そもそも一投資銀行の破綻だけでしょと思っていた。サブプライムローンも金利も何も分からないので、対岸の火事としか思っていなかった。

多くの人が世の中の不況とかを、初めて自分ごとに感じるのは就活のタイミングだと思うが、僕の就活時には、リーマンショックは終焉を見せており、売り手市場のまま普通に就職できた。

なので、リーマンショックの恐ろしさは本作を見て初めて知った。(恥ずかしながら問題の本質も知らなかった)今現在、住宅業界におり、融資の仕組みとかも多少はかじっているので、他人事とは思えず、色々と考えさせられた。

現在も住宅ブームである。巣ごもり需要の影響で、住宅を求める人が増えている。ローン金利も底値で住宅バブルが起こりうる環境は整っている。実際「建てれば売れる」というのが業界の現状である。

木材不足で供給が滞り始めているし、融資基準も厳しくなっていると思うので、リーマンショックほどの事態には陥らないと思うが、住宅の過熱感は警戒すべきだと思う。

実態を伴った好況であれば、業界の人間としてこれほど嬉しいことはない。ただ、コロナ禍で全体的には不況状態の中で、需要が独り歩きしているような違和感を持っている。

僕が知っている銀行員の方々は、皆さん優秀かつリスクに対して慎重ではあるが、リーマンショックもほとんどの人が予測していなかった最悪の事態が起こった。

まぁ個人で何が出来るという訳ではないのだが、歴史に学んで先を見通し、動くことが重要であると改めて感じた。


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