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カデンツ 一歩進んだ和声学 Part 7

今回はカデンツについてを紹介していきます。和声というのは無秩序に和音を並べるだけでは成立しません。文章のように正しい語順のようなものがあるのです。

英語のS(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(補語)のような文構成が和声にもあります。和音はそれぞれ役割を持っており、その役割に応じて正しい和音配置を行っていく必要があります。いったいそれがどういうものなのか、見ていきましょう。

1 トニック、サブドミナント、ドミナント

まずはこの3つの言葉、トニック、サブドミナント、ドミナントを覚えましょう。

トニック(主和音)は和声におけるスタート地点、ゴールを担う和音です。Iの和音がトニックに当たります。すなわち主音を根音とする三和音のことです。

またトニックと似たような機能を持つ和音をトニックの代理和音(代理コードとも)と言います。トニックの代理和音はIの和音と同じ音を二つ含んでいるのが特徴です。

Iの和音と同じ音を2つ含む和音がIIIの和音と、VIの和音です。
しかしここではIIIの和音は変わり者の和音なので、現段階では除外します。
この時点ではトニックの代理和音はVIの和音と思ってください。

サブドミナント(下属和音)は和声における中間地点を担う和音です。IVの和音がサブドミナントにあたります。この和音はトニックに向かってゴール地点に行くか、また別の中間地点であるドミナントに向かうかの2つの進み方があります。

もちろんサブドミナントにも代理和音はあり、先程の理論を当てはめるとIIの和音と、VIの和音がサブドミナントの代理和音にあたります。現段階ではIIの和音しか登場しませんので、サブドミナントの代理和音と言えばIIの和音と覚えてください。

そして、ドミナント(属和音)も和声における中間地点を担う和音です。Vの和音がドミナントにあたります。ドミナントは必ずゴールに向かう性質を持っているので、向かう先は必ずトニックです。

もちろんこちらも代理和音があります。IIIの和音、VIIの和音がドミナントの代理和音ですが、この2つは使いませんのでドミナントといえばVの和音と覚えてください。

2 カデンツ

和声におけるセンテンスがカデンツです。カデンツは以下の三つに分類されます。

① トニック→ドミナント→トニック
② トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック
③ トニック→サブドミナント→トニック

①から順に説明しましょう。
スタートのトニック(以下Tと表記)はIの和音、VIの和音です。Iの和音が先行している場合、後ろにVIの和音を続けることができます。すなわちI→VIという進行が可能ということです。
ドミナント(以下Dと表記)は先程述べた通りVの和音
ゴール地点のトニックはIの和音、またはVIの和音が使われます。

以下①の例です。

I→V→I
I→V→VI

続いて②です。
こちらもスタートはIの和音、またはVIの和音です。こちらもIの和音の後にVIの和音を置くことができます。
続いてのサブドミナント(以下Sと表記)はIVの和音、IIの和音どちらも使用可能です。IVの和音を先に置いた時は後ろにIIの和音を置くことができますが、IIの和音を先に置いたときは後ろにIVの和音を置くことはできません。すなわちIV→IIという進行は可、II→IVという進行は不可ということです。
続くDは変わらずVの和音です。ゴールのTIの和音、VIの和音どちらも使えます。

以下②の例です。

I→IV→V→VI
I→VI→IV→II→V→I

最後に➂です。
こちらもスタートはIの和音、VIの和音です。①、②と同じくIの和音の後にVIの和音を置くことができます。そしてSIVの和音のみが使用されます。そしてゴールのTIの和音のみ使用可能です。

以下➂の例です。

I→VI→IV→I
I→IV→I

3 カデンツの組み合わせ

これら①、②、③の組み合わせによって和声を構築していきます。2個のカデンツが合体した形を2重カデンツ、3個のカデンツが合体した形を3重カデンツ・・・となり、いくらでも続けることができます。これらを複合カデンツといいます。

例えば①→➂→②という複合カデンツを見てみましょう。

I→V→VI→IV→I→II→V→I

このようにいくらでもカデンツを結合させることができます。和音の連結の際には連続8度などの禁則を破っていないか注意しつつ、上3声を配置しましょう。

4 まとめ

カデンツは和声において必須事項です。必ず覚えるべき項目です。

① トニック→ドミナント→トニック
② トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック
③ トニック→サブドミナント→トニック

現段階ではIIIの和音、VIIの和音は使用しませんので無視していただいて構いません。

次回では和音の転回形(オンコード)における上3声の配置を見ていきたいと思います。

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