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vVの和音の第5音下方変位 一歩進んだ和声学 Part 23

今回はvVの和音第5音下方変位についてを学びます。文字通り、vVの和音の第5音を半音下げたものです。実はこれはポピュラー音楽で裏コードと呼ばれているものに該当するものです。裏コードはII♭7の和音のこと(キーがCメジャーならD♭7の和音)を指しますが、どうしてvVの和音第5音下方変位が裏コードになるのでしょうか。では早速見ていきましょう。

1 vVの和音第5音下方変位

さて、vVの和音第5音下方変位は以下のように表します。

vVの和音第5音下方変位は使われる形が限られます。第5音の下方変位が使われるのがvV7の和音、vV7の和音根音省略形、短調のvV9の和音根音省略形、〇vV9の和音根音省略形です。

この下方変位された第5音は限定進行音に変化します。これは2度下行します。

上3声の配置はそれぞれのvV諸和音と同じです。

ただし、これら諸和音において第3音と下方変位された第5音が減3度をなしてはなりません。複音程(減10度)は問題ありません。

2 vVの和音第5音下方変位→D諸和音の連結

先ほど述べた通り、下方変位された第5音は下行限定進行音になるので2度下行します。

(i) vVの和音第5音下方変位→V(7)の和音orI2_V(7)の和音の連結

第5音は2度下行し、その他の限定進行音はvV諸和音の時と変わりません。

(ii) vVの和音第5音下方変位→〇V9の和音or〇V9の和音根音省略形

この連結の場合は第5音は保留されます。

3 先行和音→vVの和音第5音下方変位の連結

この場合の連結の際は、以下のような場合は対斜が許されます。

・後続和音が短調のV9の和音根音省略形
・後続和音が長調の〇V9の和音根音省略形

vVの和音第5音下方変位第3転回形を使用する場合は低音2度の予備を忘れないようにしましょう。

低音4度は増4度となるので予備が必要ありません

4 おまけ vVの和音第5音下方変位がなぜ裏コードになるのか?

最初に話しましたが、vVの和音第5音下方変位はポピュラー音楽における裏コードであると話しました。細かく言うと、短調のV9の和音根音省略形長調の〇V9の和音根音省略形が裏コードに該当します。

例としてこの和音を使います。

第3音のファ#を異名同音(平均律において、名前は違うが鳴っている音が同じ)のソ♭に置き換えるとこのようになります。

これはA♭7の和音になりハ長調におけるV調(ト長調)のII♭7の和音となります。これがポピュラー音楽における裏コードと呼ばれているものの正体です。

裏コードの特徴は共通する三全音(トライトーン。3つの全音からなる音程)を持つことです。
ト長調(Gメジャー)における本来のドミナント7thコードはD7ですが、裏コードあるA♭7はD7と同じトライトーンをもちます。

例えば不完全な形ではありますが、代表的なゲームであるスーパーマリオブラザーズのゲームオーバーの時に流れる音楽には裏コードが使用されています。

キーはCメジャーでコード進行がC→F→D♭→Cという進行をしています。
このD♭が裏コードです。

5 終わりに

さて、以上でvV諸和音の紹介は終わりました。
次回からはまた違うものを紹介していきます。

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