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なぜイスラエルとイランは対立するのか?

今月20日、イスラエルがシリアの首都ダマスカスでミサイル攻撃を行い、イラン革命防衛隊の軍事顧問5名が殺害された。そこで今回は、なぜイスラエルとイランは対立しているのかを考えたい。

まず、イランは中東での影響力を拡大し、地政学的立場を強化したいという野心がある。一方、イスラエルは自国の安全保障を強化することを優先している。

これまでイスラエルは、レバノン南部への軍事介入やシリアのゴラン高原の奪取などを行ってきた。それらはイスラエルにとっては自国の安全を守るためという理由で正当化されるが、イランにとっては領土的な野心に見えた。

なぜ、ガザ侵攻と併せて、イスラエルはシリアの首都ダマスカスにミサイル攻撃を仕掛けたり、レバノン南部で武装組織ヒズボラと戦闘しているのか。それは、数十年も前から領土をめぐり敵対してきた歴史があるからだ。

シリアとイスラエル間の主な領土問題は、ゴラン高原に関するものだ。1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領し、1981年に併合を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

レバノンとイスラエルの間には、レバノン南部の領土をめぐる紛争があり、ヒズボラはイスラエルの占領に対する抵抗運動として成立した。

レバノンの武装組織ヒズボラ、シリアのアサド政権はイスラム教のなかでもシーア派だ。イランはシーア派大国だ。ヒズボラやシリアを支援することは中東でのシーア派コミュニティをまとめ、自国が中東で大きな存在感を示すことにもつながる。

つまり、軍事的な敵対関係が前提としてあり、宗教が陣営を分けた。中東は宗教的に多様であることが対立の原因という解説もあるが、宗教の違いが直接的な対立の理由になるわけではない。イスラム教もユダヤ教もお互いにとって相容れない思想を持っているわけではない。ただし、宗教は同盟を強化するということだ。

イスラエルの背後のアメリカの存在、イランの核開発、国内政治での「敵」の演出なども対立が激化する要因だろう。ただ、結論としてイスラエルとイランが敵対関係にあることは、両国の野心がお互いを苛立たせているからだ、と思う。

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