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夜の関節が、外れる。

 木に飲み込まれるようにして立っている電灯を見た。電灯はもはや木の中から光を放っていて、私の足元に葉っぱの影ばかりを落としている。垂れ下がる枝の葉は、光源に近いほど彩度の高い黄緑色で、遠いほど暗い深緑。それは昼間に見るような単色の木ではなく、グラデーション風の変化する木に見えた。写真を適当に撮ったら案の定ブレたのだけれど、油彩みたいになった。

 散歩するなら夜が面白い。昼間には目の付かない所に夜は目が行く。まるでここを見ろと示しているかのように、そこだけに光が当たっている時さえある。暗闇に隠されることによって、逆に見えてしまうもの。それは大抵面白い。

 夜は世界の全てを融和させて、はみ出したぬりえみたいに型から漏れる。そうして夜の関節が外れる。

活動の源になります……