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捻挫はなぜ癖になるのか!? -予防したいCAIとは-

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「捻挫が癖になった」



スポーツ現場ではよく聞かれる言葉だと思います。

足関節の捻挫はスポーツ競技に見られる足関節障害の中で、最も多く発生する怪我です。

最近では、

渡辺雄太選手がワールドカップ前の合宿で捻挫をし、復帰をするまで数週間要していました。


このようにプロでも、アマチュアでも、レクリエーションレベルでも、スポーツをしていれば誰にでもあり得る怪我の一つです。

しかし、

その一方で誰にでも起こり得る怪我であるが故に選手は皆、対応を疎かににしてしまいがちです。


疎かにしてしまった結果、

様々な二次災害を引き起こし、痛みパフォーマンスの低下を引き起こしてしまったケースを数多く診てきました。

今回は捻挫癖になるとどうなるのか?なぜ癖になってしまうのか? 

をお伝えできればと思います。





中高生の部活での捻挫の現状は?

中高生の部活での捻挫の発生件数はバスケットボールが一番多く、次いでバレーボール、サッカーとなっています。


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中山らによると

2016年バスケットボール インターハイに選手691名にアンケートを実施。

そのうち608名(88%)が足首の捻挫を過去にしており、プレー中に足首に痛みを伴う選手が354名(54.1%)も存在した。

と報告しています。


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インターハイ出場レベルの選手の約半数は足首に痛みを伴いながらプレーをしています

(引用:Journal of Athletic Rehabilitation No.14,2017)



慢性足関節不安定症とは?

足関節捻挫はスポーツ現場で頻繁に発生するため、しっかりと治療やリハビリテーションをせずスポーツ復帰をすることが多い現状にあります。


そのため、足首が不安定になり

Giving wayという「突然ガクッと足首を捻ってしまう不安定な感覚」

が出現するようになります。

このような不安定な状態を慢性足関節不安定症(以下|CAI)と言います。


沼澤らによると

大阪バスケットボール協会で取り組まれている中・高生のメディカルチェックでは

足首の内反捻挫を繰り返している選手は、

足首のGiving wayが頻回に生じ、Giving wayを繰り返す選手ほど足関節に疼痛を有していることがわかった。


と報告しています。


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足関節捻挫を繰り返す選手はGiving wayという症状が出現し、足関節に痛みを伴います。

(引用:Journal of Athletic Rehabilitation No.14,2017)



足関節が不安定になる原因は

CAIは「構造的不安定症」「機能的不安定症」の二つに分かれます。


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構造的不安定性 ◆足首の靭帯が緩くなって起こる不安定性


構造的不安定性とは、足首の靭帯が緩くなってしまい起こる不安定性です。

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炎症をそのままにしたり、靭帯に痛みがあるのにプレーをしたりすると

靭帯が伸びてしまい修復が困難になります。

また、怪我をした直後(炎症が起きている際)の対応が悪いと構造的不安定性が出現します。

捻挫直後の対応の仕方はこちらからご覧ください!!




機能的不安定性 ◆足首の硬さによって引き起こす不安定性

機能的不安定性とは、足首の可動域の低下による不安定性です。


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捻挫後に炎症が起きることで、足首の可動域が低下した結果起きるものです。

足首は腓骨・脛骨の二つの骨の間に距骨という骨が挟まることで安定します。

足首が硬くなると、距骨が挟まらなくなり、不安定感が出現します。


足首の硬さを改善する方法はこちらからご覧ください!!


上記2つの不安定性が捻挫グセの悪循環を引き起こします。


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この悪循環が出来上がることで様々な二次的障害が起こり、

足首の変形、アキレス腱断裂など、さらに不安定性が重篤な場合は膝の靭帯損傷のリスク

が高まります。


また、足首に力が入らなくなることでパフォーマンスの低下を引き起こします。

このような状態になるまで練習を続けてはいけません。



CAIの基準とは?

どちらかに当てはまれば、CAIと判断されます。

① Giving way(突然ガクッと崩れる不安定な感覚)が6ヶ月で2回以上出現している。

② 下記の足首のアンケート調査で24点以下になる

 

Cumberland Ankle Instability Tool(CAIT)

① 足関節に痛みを感じる

全くない             5点

運動中に痛みを感じる       4点

凹凸な地面を走るときに感じる   3点

平坦な地面を走るときに感じる   2点

凹凸な地面を歩くときに感じる   1点

平坦な地面を歩くときに感じる   0点

② 足関節に不安定感がある

全くない          4点

スポーツ中に時々      3点

スポーツ中に頻繁に     2点

日常生活で時々       1点

日常生活で頻繁に      0点

③ 急激なターン(方向転換)で足関節に不安定感を感じる

全くない           3点

走った時のターンで時々    2点

走った時のターンで頻繁に   1点

歩いた時のターンで      0点

④ 階段を降りるときに足関節に不安定感を感じる

全くない          3点

素早く降りるときに     2点

時々感じる         1点

常に感じる         0点

⑤ 以下の状況で片足で立っているとき足関節に不安定感を感じる

全くない        2点

片足でつま先立ちのとき 1点

片足立ちで立ったとき  0点

⑥ 以下の条件で足関節の不安定感を感じる

全くない               3点

片足で左右に数回飛び跳ねた時    2点

片足でその場で数回飛び跳ねた時   1点

片足で高く1回ジャンプ着地した時  0点

⑦ 以下の条件で足関節の不安定感を感じる

全くない             4点

凹凸な地面での走行時      3点

凹凸な地面でジョギングした時  2点

凹凸な地面での歩行時      1点

平らな地面での歩行時      0点

⑧ 足関節を捻りそうになった時、それを防ぐことができる

即座にできる・捻らない 3点

ほぼできる       2点

たまにできる      1点

全くできない      0点

⑨ 足関節を捻挫した場合、回復するまでにかかる時間

すぐに回復する     3点

1日以内に回復する    2点

1〜2日以内に回復する  1点

  回復には2日以上かかる 0点




CAIになってしまったら

CAIになってしまったら、まずリハビリテーションができる医療機関を受診しましょう。もしくはスポーツリハビリを行なっている治療院で相談を受けるのも良いと思います。

重篤な怪我にならないようリハビリテーションを行いましょう。



CAIにならないために

CAIにならないために捻挫後の対応が重要です。

① 怪我した直後の対応(RICE処置)

② しっかりと休養期間を取る

③** 段階的**なリハビリテーション

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を行うことが大切です。


まとめ

・足首の捻挫を繰り返すとGiving way が出現し、足首の慢性的な痛みとなる

・慢性足関節不安定症(CAI)は構造的不安定症と機能的不安定症に分かれる

・Giving wayが半年で2回以上もしくはCAITが24点以下でCAIと判断される

・CAIにならないように怪我をした直後の対応、リハビリテーションが重要




今後、足関節捻挫の改善について重要事項をお伝えしていきます!!

L-tra.にてアップしていきますので是非フォローをお願いします!!



参考文献

・sportsmedicine No.201,2018 :改めて問うべき疾患 足関節捻挫

・sportsmedicine No.183,2016 :慢性足関節不安定症



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