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"Kokoro" NATSUME SOSEKI

ペンギンブックスのペーパーバックで漱石の「こころ」の英訳を読んだ。
訳者はMEREDITH MCKINNEY
日本語の「こころ」をよく知っているので、知らない単語がたくさん出てきても頭の中で意味を類推することができた。この訳者さんが日本に長く住んでいたということなのでコタツとかがKotatsuになっていて、これわかるかなあと私が心配してしまった。先生とKの居室を隔てるのがsliding doorsになっていて、これで襖のあの感じが伝わるのだろうかと心配したが、逆をいうと、日本語訳された文学作品には同じように原文でしかわからない要素がたくさんあるということだ。

英語で読んだせいなのか、この年になって読み直したせいなのか、直前に川端の「雪国」の英訳を読んでいたせいなのか、漱石は明治の文壇において、確かに近代的な精神の確立を試みたすごい人だったのだと思った。

さて、このペンギンブックスの表紙の写真だが、日本髪のような髪型の西洋人がガラス越しにどこかの屋内を覗いていて、そのガラスには何やら漢字が掲げられている。漢字の文字のところが黒く影になっているのだが、どうやらその漢字が「太」という字に見える。
これでは「心太」になってしまうと一人で心配している。

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