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叔父の手術

父の手術と前後して、母方の叔父も手術を受けていた。

両親が離婚してなくて、このウィルスが蔓延してなかったら、母は大変だっただろうな、などとパラレルワールドの母を心配してみたりした。

うちから叔父の家までは、車で二時間くらいはかかる。

叔父のほうは面会も立ち会いもできなかったので、ただ成功することを祈ることしかできなかったけど、後日叔母から母の元へ連絡が来て、無事に成功したとの報せを受けてホッとした。

しかし、私は叔母からの連絡より前に、叔父の手術の成功を知っていた。

今は亡き祖母から聞かされて。


その日の夜、私が入浴していると、どうにも視線を感じて仕方がない。

すぐそこで、誰かが私を見ているような感覚だった。

(誰だろう…邪悪な感じはしないけど…)

(あ、今日はおじちゃんの手術の日か!とすると…)

(おばあちゃん来た…?)

私が入る湯船のすぐ脇で、両手を後ろに組んで、ニマニマと私を眺める祖母の姿が脳裏に浮かんだ。

以下、脳内での祖母との会話。

私: おじちゃんの手術だから下りてきたの?

祖母: そうよあんた、来ないわけにはいかないじゃない?

私: おじちゃん手術成功したんだね。

祖母: うん、もう大丈夫だから、こうしてちょっとフラフラしてから戻ろうかと思ってね。

私: ○○くん(従兄弟。今回手術した叔父の息子)のところに行けばいいのに。

祖母: あら、妻帯者覗いたら悪いじゃない?覗くんならやっぱり独身者じゃないと。(にまにま)

私: あーはいはいそうですか。あんなに内孫かわいいかわいいって言ってたのに。

祖母: あら、かわいいのよ?かわいいから覗けないんじゃないの。

私: そーですかそーですか。外孫で独身者で悪うござんしたね。

祖母: (にまにま)あんたみたいな孫が一人いるとおもしろくていいわ~。

私: そーですか。よござんした。

のよご、くらいのところでふっと気配が消えたので、唐突に天界に戻ったのだと思う。

しかしあのばーさんのこと。きっとなんかあるたびにちょこちょこ下りてきてはうちを覗いていくのだろう。

亡くなってもおもしろいおばあちゃんであった。


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