見出し画像

【MAC DAY5】介護×アカウンティングⅠその5

【テーマ】コンプライアンス及びガバナンス(不正会計)
【ケース】ワールドコムの不正会計

今回は、会計なのに計算するワークが出てこず、ケースの内容的にもアカウンティングというよりもOBH(組織行動とリーダーシップ)のような感じだった。

【学びの概要】
会計処理を行う時、会計ルールに基づいて利益や費用を計上するのはもちろんだが、会計ルールにはある程度“あそび”の部分がある。例えば減価償却費を定額法にするか定率法にするかによって当期営業利益が変わってくるといったようなことだ。事業活動に変化はないが、会計ルールをどのように使うかによって財務諸表や財務指標が変わることを「会計イシュー」という。

ワールドコムはM&Aにより急速に成長してきた会社だが、外部環境の変化によりこれまでの戦略が通用しなくなった時、“不正会計”という方法でステークスホルダーを欺いてきた。結果としてワールドコムは経営破綻しCEOのバーニー・エバーズは今も収監されている。

今回のクラスでは、「利益管理」と「利益操作」の違いをディスカッションしながら、コンプライアンスとガバナンスと学び取るといった内容だった。

グループディスカッションでは、7Sを使い変革の8ステップも意識しながら不正会計を行っている時のワールドコムと、2000年当時どのように戦略転換したらよかったのかビフォーアフターを比較考察し、会計っぽくないディスカッションとなっていた。

およそ会計のクラスとは思えないほど、「人」「絆」「情」といった言葉で締めくくられ、クラスメイトの会社の企業理念をシェアするといったことも行われた。

今回クラス前スピーチを行い、自社の企業理念とその理念に辿り着いたいきさつを紹介したが、申し合わせたような感じで面白かった。

【実務への落とし込み】
そもそも財務3表を読めないようなレベルでは会計イシューもクソもなく、中小零細企業では顧問税理士さんに丸刃げといったところも少なくないんじゃないだろうか。実際グロービスに通いだすまでは自分もそうだった。アカウンティング基礎、ファイナンス基礎、アカウンティングⅠと履修を進めるにつれてだんだんと自社の財務3表が読めるようになり、数字がどのように作られているのか理解することで、毎月税理士事務所の担当スタッフの方が作成してくれる残高試算表に意見を言えるようになってきた。

例えば、行政委託された事業の前払金を売上にするのか前払金にするのか。売上は委託費ベースなのか実績ベースなのか。
これは費用なのか負債なのか、営業利益なのか特別利益なのかとかを話し合えるようになった。

重要なのは、何を目的として会計ルールを選択をするかだ。最近難しく思うのは、税務会計上の適正さとの兼ね合いだ。自分は税務の専門家ではないので、「こんなふうに仕上げたい」と思っても相談してみたら実務上厳しいことも多い。意志決定はしやすくなるが、そのやり方だと決算時にすげーめんどくさい作業が発生するとか、なかなかトレードオフっぽいこともある。

最近では、介護保険サービスの売上原価について意見交換があった。これは会社によって様々で、売上高=売上総利益としているところもあれば、食材費のみを売上原価としていたり、現場職員の人件費を労務費として原価計上している会社もある。ググってみてもサービス業の人件費は売上原価ではないという公認会計士もいれば、介護の大手上場企業のP/Lに労務費として現場職員の人件費が計上されていたりする。

しかし振り返ってみると、アカウンティングの知識がついたから財務諸表をいじってみたいという気持ちは置いといて、そのルールを適用することで、自分がどんな意思決定のために何を読み取りたいのかということが抜けているとただの会計遊びでしかないということに気づく。売上原価を設定するのはいいが、それで何を意思決定し事業活動に何をもたらしたいのか、だ。

利益管理と利益操作の違いは、事業活動との整合性。
事業活動を適正に反映させた財務諸表により意思決定を行っていきたい。


介護サービスの会社を経営しながら、経営学を学ぶため大学院に通っています。起業前の13年間は特養で働いていました。介護現場と経営と経営学、時々雑感を書いています。記事は無料ですがサポートは大歓迎です(^^)/