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3分でわかるソユーズ

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歴史と伝統ある宇宙船

ソユーズは、ロシア(旧ソ連)が有する有人宇宙船です。
ロシア語で「結合」、「同盟」という意味を持つソユーズ・ロケットは、人類最初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたR-7Aロケット、人類初の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンが搭乗したボストーク・ロケットが改良されて完成しました(厳密には、単に「ソユーズ」というと宇宙船を指しますが、ここではロケットも含め「ソユーズ・ロケット」としています)。

1966年から運用が開始され、長い歴史と伝統を持ち、多くのモデルが存在します。

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出典:SPACECOSM

スペースシャトルの退役後は有人打上げができる唯一のロケット(2019年7月現在 ただし、SpaceX社のDragon宇宙船が有人テストフライト予定)となったこともあり、日本人宇宙飛行士も多く搭乗しています。

商業目的でも活用

ソユーズ・ロケットは様々な用途に活用されており、軍事衛星の打上げをはじめ、ISS補給機の打上げ、アリアンスペース社の探査衛星の打上げの他、商業目的にも活用されています。2020年2月7日には、通信衛星コンステレーションの構築を目指す通信会社One Webの通信衛星34基の打上げに成功しました。

もともとは兵器だった?

ソユーズ・ロケットは、もともとICBM(大陸間弾道ミサイル)として開発された兵器でした。

全長49.3m、推力5,932kN、7,450kgの人工衛星などのペイロード(荷物)を搭載可能で(一定条件)、スカートのような4基の一段目(ブースター)が特徴的です。

打上げの前日に横倒しで射点に運ばれ、射点で垂直に立てられます(アメリカの場合は垂直のまま可動式打上げパッドで製造され、そのまま射点に運ばれます)。

2016年12月までの実績ベースでは958回中933回の成功を収め(97.4% 国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター「ロシアの宇宙開発」参照)、2019年は無事故でした。

ロシアのロケットなのにロシアから打ち上げられない?

ソユーズ・ロケットが打ち上げられるのは、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地です。
スプートニクの打上げやユーリイ・ガガーリンの有人打上げが行われたのもバイコヌール宇宙基地でした。今もなお、ソユーズ・ロケットが何回も打ち上げられている歴史と伝統ある射点です。

なぜロシアではなくカザフスタンに射点があるかというと、カザフスタンはもともとソ連から独立してできた国だからです。バイコヌール宇宙基地が作られ始めたのは1955年で、カザフスタンが独立したのが1991年なので、独立(ソ連崩壊)によって他国のものになってしまった射場を、ロシアが借りて使っているというわけです。

ただし、この賃料は年間約120億円以上という高額なこともあり、ロシアの宇宙開発を担う国営企業ロスコスモスは、ロシアの東に新たな宇宙基地ボストーチヌイ宇宙基地を建設しました。

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出典:ロシアの宇宙開発

ボストーチヌイ宇宙基地の建設までは紆余曲折がありましたが、2020年4月、6月、7月にもOne Webの通信衛星が打ち上げられる予定であり、今後の活用が期待されています。

マンガ「デュアル・ユース」

冒頭のマンガを作成いただいたのは、昭和が生んだ天才美少女漫画家あんじゅ先生が運営するオンラインサロン「あんマンサロン」に所属するぽっくすさんです。
いつもありがとうございます!

宇宙法、ロケット美少女化という無茶振りミッションにも対応できてしまう「あんマンサロン」はこちら↓

宇宙ビジネスはいわゆる「デュアル・ユース」を元にして成り立っています。つまり、ロケットや衛星は元々軍事利用されていたもので、民間利用に「も」転用しているという二面性があるということです。
今回、ソユーズの歴史に触れつつ「宇宙空間の平和的利用」を考えるきっかけになればと思い、制作をお願いしました。

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有人打上げという重要ミッションを担っているソユーズも、元々は大陸間弾道ミサイルでした。現在私たちが使っている衛星サービスも、元はアメリカが恐怖を抱いたスプートニクをはじめ、米ソが力を誇示し合った衛星群でした。
ロケットや衛星が語られる時、「一歩間違えば人を殺せる兵器」と説明されてしまうこともありますが、私は、「一歩間違えれば人を殺められる兵器でも、使い方を変えれば人類の未来を切り開く仲間」と捉えたいです。

参考:
・JAXAウェブサイト「ソユーズロケット」
・国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター「ロシアの宇宙開発」
・SPACECOSM
https://spacecosm.com/space-launch-vehicles.html

2019.9.8 一部修正
2020.2.27 一部加筆修正






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