見出し画像

第29節 鹿島アントラーズ戦 レビュー

家長という絶対的な存在を欠いてしまったが、それでも登里が穴を埋め、怪我をしていた守田がスタメン復帰とチームにとってはネガティブな要素よりかはポジティブな要素が多かった。

湘南、長崎、鹿島とアウェイ3連戦を戦い抜いた川崎イレブン。決して連戦というわけではなかったが、その中で1敗もせずに終われたことは今後必ず生かされてくるに違いない

最後に迎えたこの試合を鬼木監督は『結果としては勝っていてもおかしくない、負けていても不思議ではない』としながらも『最終的に自分達は負ける可能性があった中で勝点1を拾ったと思ってこれからまた突き進んでいきたい。』と振り返る。

残り5試合。”あの”景色を見るために全員で突き進むのみ。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『PKでゴールを収めて追加点というような形に持って行くことができなかった。』(エウシーニョ)。理想の形にできなかった攻撃陣。そして波があった攻撃のリズム。

②『終盤はセットプレーも結構あったが、自分だけじゃなくてみんなで集中して守れていた。』(チョン・ソンリョン)。集中して守り抜いた後半。そしてJ1最少失点で居られるわけ。

では。

①『PKでゴールを収めて追加点というような形に持って行くことができなかった。』(エウシーニョ)。理想の形にできなかった攻撃陣。そして波があった攻撃のリズム。

今節対峙した鹿島はミッドウィークにACLを戦っていた。なので、体力面で言えば少なからずアドバンテージがあったに違いない。それに会場である鹿島スタジアムは10月とは思えないほどの暑さだった。

そこでフロンターレは試合序盤から攻めに行った。

7分には中村が右サイドのエウシーニョへと展開し、クロスに小林が合わせるがこれはポストに阻まれてしまう。しかし、これはこの試合を通して鹿島を攻略する上で1つの指標になるプレーであった。

鹿島はサイドの守備でタイトにくるような形は採っていなかったので、チームは『守備をやりつつ、カウンターも狙っていた』(登里)が、思うような攻撃を披露できたかと言われれば話はまた変わってくる。

『暑くなったり、芝に水がまかれなかったり、自分たちがやりたいことがなかなかできなかった』(中村)のは仕方ないという言葉で片付けることができるかもしれないが、それでも約3万人以上の人々が駆けつけた中のアウェイゲームで負けなかったことはチームにとってプラスである。

そのようなコンディションで試合を進める上で、確かに鹿島を押し込んだシーンは多く、それに加えて攻撃時のリスク管理については『守備で水を漏らさないことを意識していた。』とは登里。

球際の強さは健在であり、そこで奪い、『カウンター』を多く繰り出したかったところだ。

だが、中央の部分を締められてはいたが、守田の復帰によって川崎トライアングルが復活。そこのストレスを軽減し、相手の守備陣形を多少崩すことができた。

ただ、最も重要なポイントはそれを継続できなかったところである。押し込む時間帯のばらつきが多く、”落ち着かない”試合であった。この”落ち着かない”は自分たちのリズムでサッカーをしているかしていないかである。

前線に関していえば、小林へのマークとしてチョン・スンヨンが強くついていた。収められていないわけではないが、絶対に引っかからないということでもなかったため、鬼木監督は66分に知念を投入し、変化を付けに行く。

4−2−3−1から前節の4−4−2に変えて、中央のスペースを作り出し、中村を1列下げさせることによりチーム全体としての落ち着きを作った。

長崎戦ではまったこのフォーメーション。ここから反撃して行くという姿勢を表すような形であった。実際、何度かコーナーキックやクロスなどのチャンスは作ったが、決めきれず、挙句の果てに82分に小林が足首の負傷によりプレー続行不可能になってしまった。

結果論ではあるが、おそらく小林がピッチに居ることを前提に鬼木監督はベンチワークをしていたに違いない。そういう意味で言えば、もっと鹿島相手にやれたのかもしれない。

その後も数回得点に近づけているプレーはあったが、攻撃陣の制度や相手守護神クオン・スンテに阻まれるシーンが多かった。

しかし、試合全体を通してタイトルで示した通り、攻撃の部分で波があった。90分間で常に攻めている状況に試合を持って行くことは難題だが、それでも攻撃の波を作らないことは勝つために必要になってくる。

残り5試合とJリーグは佳境に入るが、周りのチームのことよりも『自分たちのプレーにフォーカスしてトレーニングするべきだし、それをやりきった先に勝点3が見えてくる』(中村)に違いない。

②『終盤はセットプレーも結構あったが、自分だけじゃなくてみんなで集中して守れていた。』(チョン・ソンリョン)。集中して守り抜いた後半。そしてJ1最少失点で居られるわけ。

『相手の出方を見て、カウンターを狙って感じがした。相手に勝点3を取られることが一番嫌だった。』と大島が振り返るように、やはり鹿島に勝ち点を奪われることを選手たちは一番嫌がっていた。

勝ち点3を敵地で奪うことが一番良い形であることに変わりはないが、それでも『最終的に自分達は負ける可能性があった中で勝点1を拾った』(鬼木監督)ことは大きかったのかもしれない。

このチームはエウシーニョと車屋の両サイドバックが攻撃参加をすることが多いが、それは良さでもあり、時には自らを苦しめる時もある。しかし、そのような部分の強度は近頃増していて、水漏れの回数は少なくなっている。

安部と遠藤が両サイドに配置されていたのでサイドの攻防は魅力的で特に、エウシーニョと安部のマッチアップは見ている側として相当エキサティングなシーンであったはずだ。ただ、これはエウシーニョもかなり対応に手こずっていて、多少やりづらさはあったに違いない。

今節は家長が累積警告で出場停止処分を受けることになっていた。なので、サイドのチョイスは楽しみであったが、ここ最近で安定的なパフォーマンスをしている登里が左サイドに名を連ねた。

彼は攻守両方で高い水準でプレーできる。それはフリーランニングやボールへのチェイシングなどであり、鬼木監督はそこを信頼して彼をメンバーに入れたに違いない。それに彼が家長のように”フリーマン”としてどの程度できるのかも見所の1つであったと筆者は考えている。

だが、後半にかけて少しパスの精度やひらめきに関して雑さを露呈してしまった。

拮抗している試合だからこそしっかりとした判断でプレーし、危ない状況を作らないようにしなければ”安い”失点をしまいかねない。90分間を通して集中力を保たなければ鹿島のような強豪にはあっという間に得点を許すことになってしまう。

ただ、奈良はこの試合を『暑さやピッチのコンディション、川崎というチームは、そういうところでの環境で結果が左右されたり、チームのパフォーマンスに影響したりすることがある』と前置きしながら、それでも『今日に関しては、後半に苦しい時間帯でも全員で意思統一して守るときは全員で守ることができていたし、隙があればゴールを狙った。』とあくまで自分たちがやるべきことをして得た勝ち点1であることを強調した。

それもそうだろう。鹿島は78分に内田を投入してきた。ここから風向きが徐々に鹿島に傾き出し、終盤には阿部がこの日2枚目のイエローカードで退場処分。完全に”受け身”の状態になってしまった。

その後コーナーキックが続いてしまったが、『みんな集中を切らさず体を張って守れていた。』とは谷口。失点に対して強い想いがあるからこそ、今リーグ戦で最少失点の位置にいる。

そして、『最後、声を掛け合って、球際のところもそうだが、相手に勝点3を与えないで、こっちが勝点1を積み上げる。そこのタフさはチームにある。』と試合を総括した中村。

川崎フロンターレはこれからも進化しながら戦い続けて行く。

(RYUJI.I)

参照:

川崎フロンターレ公式HP

Football LAB

Jリーグ公式サイト

DAZN

サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。