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第27節 名古屋グランパス戦 レビュー

アウェイ3連戦を控える川崎にとって、負けられない一戦だった。

スタイル軸が似ている両チーム。ただ、川崎が軍配を上げた理由は”鬼木流”ならではであった。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『自分たちが今やっていることを他のチームに見せられたとは思う。』(中村)魅せた”違い”。矛と矛の戦いの中に見える”鬼木流”。そして阿部一発の必要性。

②『相手のストロングはジョーの部分かもしれないが、それ以外のストロングも全部消したかった。』(大島)。ジョー封じは成功も奪われてしまった1点。

では。

①『自分たちが今やっていることを他のチームに見せられたとは思う。』(中村)魅せた”違い”。矛と矛の戦いの中に見える”鬼木流”。そして阿部の一発の必要性。

両者とも攻撃的なサッカーを繰り出すため、観ている側としてもエキサイティングなゲームになっただろう。

矛盾ではなく、矛矛と言ったところだろうか。

その中でも、試合を通して目立ったのは”球際”の勝負だ。フロンターレの試合を見ていればそこの勝負をよく仕掛けているのが見てわかるはずだ。昨季優勝できた要因の1つと言っていいだろう。

この試合でもそれは健在で、所々でボールを奪っていた。中村も『いつも以上に球際でタイトにいった。』と振り返る。そして、ここでの名古屋との差は圧倒的であって、名古屋に自由なサッカーをさせなかった。

ボールを保持する相手にはボールを取りに行かなければならない。そして、フロンターレはボールを奪えば自分たちのリズムで試合を進めることができる。

鬼木監督は試合をこう振り返る。

『守備のところもそうですし、攻撃のところも選手がずっと続けてくれた。』

それは”鬼木流”と言っても良いかもしれない。攻撃と守備の両立。中々、難しい課題ではあるが、そのタスクをしっかりとこなせるのが今の川崎イレブンである。

しかし、それに加えてやれなければならないことがある。それは【追加点】だ。

『2-0にした後、3-0にできるチャンスがあったが、それをできなかった。あれが決まっていたら試合も決まっていた。』(家長)

突き放すという部分で挙げたかった追加点。実際、後半序盤にはゴールを奪えずに多少名古屋の時間帯が来てしまい、前田に1点を奪われた。

前田に1点を奪われてから、直後のプレーでも前田にシュートを放たれており、一歩間違えていれば試合を崩してしまいかねない時間帯が続いた。

その時間帯のことを”緩んだ時間帯”と表現した鬼木監督。ただ、それでも崩れることなく小林の3点目が決まり相手の反撃ムードにストップをかけることができた。

ここの勝負強さを今のフロンターレは持っている。それを元指揮官に見せつけられたのではないだろうか。

前半は、多少バイタルエリアが窮屈そうな印象があったので、そこをどう崩していくのかは1つのポイントであった。

結果的にはパスワークや個人技で攻略できていたので、いつもとあまり変わらなかったが、フロンターレと守備の仕方と名古屋の守備の違いから生まれた得点が阿部の得点だ。

元々シュートに関して絶対的な自信を持つ阿部。あのようなシュートはこの試合だけでなく常に狙っている。

本人も『シュートを打つ前から相手のチェックが少し緩いと感じていたので、ボールが来たら打とうと思っていた。ぽっかりと空いたので思い切って打った。』と相手の隙を逃さなかった。

今回の阿部のようなゴールが決まれば状況を打開できる。たった一発で全てを変えることができるミドルシュート。阿部以外にも得意とする選手が多いだけにもっと多くのミドルシュートを見たいところだ。

最後に、フロンターレとの違いとは【ボールにいかに執着心を持って】対応するかだ。名古屋の”それ”が緩んだ場面は多く、得点ができる場面は比較的多くあったのかもしれない。だからこそ、『もっと点を取れた』(中村)。

隙を見せず、隙を突く戦い方は必要になってくる。

②『相手のストロングはジョーの部分かもしれないが、それ以外のストロングも全部消したかった。』(大島)。ジョー封じは成功も奪われてしまった1点。

相手のツートップは玉田とジョーであった。シャビエルが欠場とのことで若干の怖さはなかったものの好調の前田や和泉を含む前線のユニットは破壊力があった。

その中でも特筆すべきはジョーである。彼は現在得点ランキングでトップを走り、名古屋の攻撃が彼を軸にしていることは改めて言う必要もない。

なので、試合を通してジョーのところをどう潰して行くかというところになってくるが、その解消策として大きな役割を果たしたのは谷口や奈良が言う【プレスバック】だ。

『ジョーには、前の選手がプレスバックを献身的にやってくれた。』とは奈良の言葉。

正直、ジョーに背負われてしまっては中々ボールを奪うことができなくなる。

そこで挟み込むという形よりは完全に前線の選手から間合いを詰めて行くという形を取ったのがこの試合のディフェンスである。

試合を通してこのプレスバックはコンスタントに行われていて、谷口は『前線からユウさん(小林悠)とケンゴさん(中村憲剛)が、本当にネット(エドゥアルド ネット)や相手の小林選手に入ったときに常にプレッシャーをかけていた。そこらへんのプレーはさすがだった。』と言う。

小林、中村、阿部、家長の前線はしっかりとチェイシングを行うことが出来るため、相手にとってはかなり障壁になる。

繋ぐ時にプレッシャーをかけている状態なのか、それともノープレッシャーで自由に繋がせるのかでは状況が180度異なってくる。

ただ、中々失点していなかった等々力での失点。

これには大島も『そこに目を向けないといけない。』と言う。

なにが悪かったかというとそこまで悪いところは見つからないが、攻め立てられた時間帯を少し我慢できなかったという要素はあるはずだ。

ここ最近の等々力のゲームではそこのところで耐え切って無失点で乗り越えてきた。誰が悪いということもなく、チーム全体として揺らいでしまったのは今後の試合で修正していかなければいけない必須事項になった。

ただ、その中でも負けないで戦うことの意味はあり、『チームが勝ち続けるのが一番。』と下田が言うように、連戦の中でも勝って修正していくことに意味がある。

アウェイ3連戦が控えるがこのチームに″不安″と言う言葉は必要ないだろう。

(RYUJI.I)

参照:

・川崎フロンターレ公式HP

・Football LAB

・Jリーグ公式HP

サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。