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第24節 ベガルタ仙台戦 レビュー

夏休み最後のゲーム。

等々力には約24000人近くの人が集まり、なんとか勝ち点をもぎ取りたかった中で、試合を決めたのは川崎のバンディエラだった。

バンディエラは『相手のミスを突いた形』と前置きしつつも、『そこに至る過程には、今までに自分たちがやってきた蓄積が出たもの。』とこれまでの積み重ねが功を奏したと試合を振り返った。

夏場のゲームを首位と1試合未消化というアドバンテージがあるが、勝ち点差6と追走する。

”連覇”へ。ここからもう一度。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『要所では自分たちがボールを持つことができたし、奪われたらすぐ切り替えるというチームの決まりごと。』(小林)小林が語る【要所】。”奪える”からこそ生まれた得点。

②『向こうの狙いとして、背後へのランニングがあるので、そこは警戒していた。そこに走ってきたので勝負だと思っていた。』(谷口)。多種多様な仙台攻撃陣に柔軟に対応した守備陣。

では。

①『要所では自分たちがボールを持つことができたし、奪われたらすぐ切り替えるというチームの決まりごと。』(小林)小林が語る【要所】。”奪える”からこそ生まれた得点。

試合自体の支配率は58%と高めの数字を記録していたが、選手たちの体感は『相手に持たれる時間が長かった。』(車屋)

そこで大切になってくるのはいかに焦れないでやれるかというところ。夏場の連戦最終戦ということもあり、『きつかった』とは小林の言葉。

集中力が途切れてもおかしくなかったが、攻撃時には相手の3バックの弱点を突くような形で打開した。

仙台はアグレッシブに攻めてきていたこともあり、ウィングバックである関口と蜂須賀が上がっていた。そこでこちらが織り交ぜたのはカウンターである。

ただ、カウンターを用いてもこの試合は中々決め切ることができなかった。

先制点が生まれたのはまさかの相手のミスからだった。しかし、中村は『相手のミスを突いた形だが、そこに至る過程には、今までに自分たちがやってきた蓄積が出たもの。』と振り返る。

この”蓄積”こそが今の川崎フロンターレを表している。

ボールを持っていれば前提条件として自分たちがゲームをコントロールすることができる。だが、90分間自分たちがずっとボールを握っているなどは不可能である。

そこで必要になるのが”奪い切る力”だ。

ただ、フォーカスしたいのは単にそれだけではなく、そのタイミングである。

小林がチームの決まりごとという『奪われたらすぐ切り替える』。これが強く出た試合であった。

メリハリを持って攻撃も守備もこなせているのはチームが良い状態であることも表している。当の小林も強いプレスバックで相手の攻撃の芽を摘むなど、チームでの意思統一という部分では非常に意識が揃ってきている。

それは小林も手応えを口にしている。

『スイッチを入れる時と入れない時、攻撃にいく時と守備にいく時の意思統一がはっきりしてきたのを感じる。ただ、作りやカウンターの場面でミスがあったので、そこをもう少し正確にやればもっとチャンスは作れたかなと。』

一方で、守田も『思うようなゲームにはならなかったし、トータルで内容もよくなかったと思う。』と振り返りつつ、『勝ち切る上で、ああいう選択を選手間でしたのはよかった。』とあくまでも勝ち点を増やせたことが重要であった。

完璧にサッカーをすることは到底不可能だが、100%に近いプレーならばすることができる。ミスは減らしていかなければならないが、勝ってミスを修正していくほど贅沢なことはない。そういうところで言えば、この試合に勝てたことは大きかった。

しかし、欲をいえば得点を今以上に奪いたいところである。

3得点以上奪った試合は中断前最後のゲームであるホーム清水戦(J1 第15節 5月20日)以降ない。J屈指の攻撃陣を要するチームからすると少し物足りなく感じてしまう。

それにこの試合を含めて、最後まで試合がどう転ぶかがわからない展開も多々ある。改善しなければならないのは得点力だ。

夏が終わり、秋がやってくる。”奪う”フロンターレをJに轟かせたいところだ。

②『向こうの狙いとして、背後へのランニングがあるので、そこは警戒していた。そこに走ってきたので勝負だと思っていた。』(谷口)。多種多様な仙台攻撃陣に柔軟に対応した守備陣。

仙台のラインナップは大卒ルーキーのジャーメインと得点ランキングで上位に位置付ける西村、そしてかつて川崎に在籍していた中野だった。

多彩といえば多彩であり、守備陣も対応に追われていたはずだ。

谷口が『背後へのランニング』が相手の狙いだったと語っている通り、そこの部分へボールを蹴り込んでくるシーンは多く、スペースをきちんと使うサッカーを仙台はしていた。

後半は『相手はランニングの部分などは変わっていなかった』と谷口。背後へのランニングが多ければ自然と走行距離も出てきて、気象条件などを加味すれば、「意外」とも取れるシチュエーションであった。

それでも水漏れ等はなく、なんとか無失点に抑えることに成功した。

これからは仙台の選手交代を元に振り返っていくが、まずは後半開始と同時に投入された石原に関してである。

後半開始ということもあり、どういう意図があったのか気になったところであったが、仙台、渡邉監督は『チーム全体の狙いとかタスクに関しては大きな変化は無いです。』と意外な回答をしていた。

ただ、裏への走力を武器にしているジャーメインは『なかなか走るスペースは無かった。』そこで、『足元には収められる時間とスペースがあった』ので『そこで収めてくれる』石原を投入してきた。

仙台の狙いとしては『インサイドハーフがもぐっていく、あるいはウィングバックが飛び出していくということ』を増やしいくという意図があったが、それをこちらが『石原に入る前に遮断』できていた。

この試合は前半の内容でもフォーカスしたが、奪い切るべきところなどをチームが理解していた。そこで上手く相手の攻撃の芽を摘めていたのは大きかった。

だが、それでも『紙一重のところ』(車屋)である。ワンスコアゲームであれば最後の最後までどうなるかはわからない。

78分にはハイタワーであるハーフナーマイクを投入して、クロスやロングボールをメインとして扱ってきていた。

渡邉監督は相手主将富田にを通じて『時間の経過と共にある程度、マイクをめがけて長いボールを入れるというよう形でも構わないよ。』といった指示を出したことを明らかにしたが、これは『出来なかった』と振り返る。

理由としては『マイクが入った分、相手の最終ラインが下がる、そこでバイタルが空く、そこでシャドーにさしてチャンスを作れる、そういう景色が見えたからこそそういう選択をしたのかもしれない。』

その回答からならば、谷口が『ラインコントロールのところはもっとうまくやりたかった。』と終盤にかけてのプレーに納得いってないことの筋が通る。

相手の出方で攻撃を柔軟にいじることはできていたが、今は守備面でも柔軟に対応することができるようになってきている。

ただ、昨季のチームならば同点に追いつかれていたのかもしれない。

王者を経験した今、【勝つこと】の大切さを選手たちが理解している。

『内容も考えながらやっているが、結局は勝点3を取ることが大事。』(家長)ということをこの夏証明できた。

ここからまた、同じ景色を見るために。

(RYUJI.I)

参照:

・Jリーグ公式サイト

・川崎フロンターレ公式HP

・Football LAB

・DAZN

サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。