忘れていることを忘れていた#01

人が行き交う。タクシーが往来する。

人の数だけ言語、性別、食文化、趣味、嗜好、価値観、性格、座右の銘。

人について知ろうと思ったら枚挙に暇がない。

こんなに急いでこの人たちはどこから来て、どこへ行くんだろう。

よくそんなことを考える。

東京という街は全国からなぜか人が集まってしまう。

夢や目標や憧れ。なんとなく上京したんだって

言ってみたくてなんて人もいる。

僕もそのうちの一人。

スペックは

言語*日本語と英語(幼稚園児レベル)、性別*男、食文化*欲張りなので和洋折衷の食を好む(中でも洋食は断トツ。)、趣味*楽器、天体観測、花を見ること、人間観察、嗜好*洋食を好むため、ワインは必須、珈琲も煙草も嗜む、価値観*価値観に関しては多分僕だけじゃなくうまく説明できないと思う、性格*人を想うこと、座右の銘*人思う故に我在り。

携帯が鳴る。「ん?このアプリなんだっけ?」

ディスプレイには<フォレストポリス>と表示されている。

ダウンロードした覚えもない。でもこの携帯は間違いなく僕のものだ。

コイキザミという僕にとってはすごく思い入れのある花をモチーフにして

星をあしらったオリジナルの携帯カバーがそれを証明している。

思わずタップしてしまった。このワンタップで何もなかった僕の人生の歯車は思わぬ方向に加速していくことになる。

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