クリアオーシャン

ボードゲームは真水に咲く。


ボードゲーム業界はブルーオーシャンである。いや、クリアオーシャンである。いや、もう真水である。

 昨今の流行の「ブルーオーシャン」に倣うと、ボードゲーム業界はこう表現できる。実際、もうほぼ「真水」なのである。

 本noteでは、そんな真水状態でのボードゲームの活用について考えていきたい。今までは、ボードゲームを作って販売するモデルか、それを自由に遊べるようにしたゲームカフェモデルでしかゲーム活用の手段はなかった。
 しかし、ボードゲームは土壌次第でいかようにも社会に溶け込み、花開く。なんせその土壌に与えられるのは、混じりっけなしの真水なのだ。

 さて、その土壌を考えてみよう。まず、ボードゲームはアナログゲームとも言われるように、アナログでの対面コミュニケーションが特徴である。それは現在のSNSをはじめとしたデジタルコミュニケーションとは対極に位置する。ゲームをプレイする時は、必ず同じ場に複数人が数時間集まっている必要がある。
 しかし、この制約がボードゲームの大きな魅力でもある。ゲームという条件の下集まるプレーヤーは、テーブル上の空間を限りなく濃い密度で共有する。その瞬間に発生する、情とも言えるほどの感情の同期は、年齢や役柄などをこえて人をつなぐのだ。

 このことから、直接人の介在が必要な現場ではボードゲームが大いに活躍する。例えば、介護教育などがこれに該当する。これらの現場ではデジタルの活用も重要だが、人の存在が不可欠でもある。もちろん、介護の現場ではカードの文字を大きくするといったような、各現場による工夫は必須だ。しかし、ボードゲームは良質なコミュニケーションのいい言い訳となる。温かみのあるコミュニケーションの直前にボードゲームはそっと添えられるだろう。

 他人とのつながりが薄まっていく現代では、アナログなつながりは相対的に大きな価値を帯びてくる。その一端にボードゲームの土壌はある。
 これから薄く引きのばされていく社会の隙間に、ボードゲームは大輪となって花開くだろう。

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大切にボードゲームに変換させていただきます。