見出し画像

執筆効率を最大化することを目指して作り上げた次世代ストーリーエディタ、NoveLandの開発への思い

本日、全てのストーリーを考えるクリエイター向けのエディタであるNoveLand(ノベランド)のβ版をリリースしました。

NoveLandのコンセプトは「物語を作成する上で面倒なことをなくし、1秒でも多く作家の皆さんが創作にあてられる時間を増やす」です。
なので、NoveLandを開発するにあたって意識したことは、ストーリーを作成する上でどんな問題点があるのか、それをどうやって解決するのか、という点に尽きます。
今回は僕がどんな問題点に着目してエディタの機能を設計したのかを紹介していこうと思います。

物語の流れを管理しづらい問題

Googleドキュメントやメモ帳などを使って物語を作成するとなると、1エピソードずつファイルを作成しディレクトリの構造で管理することになると思います。
ディレクトリによる方式だと最初の方は良いのですが、エピソード数が増えてくるとだんだんと管理が難しくなってきてしまいます。
例えば、通常ディレクトリ方式では表示する順序はファイルの作成順だったり名前順だったりと、システムによって固定されます。
そのため、物語の流れ通りにファイルを並べ替えたいとなった時に、作成順とした場合は途中から間に話を差し込むことが出来ませんし、名前順とした場合は毎回タイトルに「1_タイトル」といったように手動でナンバリングして変更や削除時に修正する必要が出てきてしまいます。
それ以外にも、枝分かれを表現することができないため、複数案並べて考えてみたり、ノベルゲームの分岐を管理しようとするともう大変です。

そのため、NoveLandではディレクトリは採用していません。
代わりに採用したのはエピソードのまとまり(セクション)をマインドマップ状に管理する方式です。

この方式であればストーリー上あってほしい場所にエピソードを置いておくことが可能であり、直感的に管理することができるようになります。

そして、このマインドマップはファイルの管理だけでなく、プロットの役割も同時に果たしてくれます。
物語を描く上で「起承転結」という考え方は非常に大事です。
キャラクターたちの会話の中に起承転結がなければ即座に読者に飽きられますし、エピソードの単位で起承転結がなければ一巻分読み切られずに飽きられますし、セクションの単位で起承転結がなければ完結まで読まれずに飽きられてしまいます。
マインドマップ上でプロット画面を表すことによってこれらをまとめて俯瞰することが可能になるため、作家さんがより自分の物語をイメージしやすくなるんじゃないかと思っています。

名前を後から変えるの大変問題

文字数が少ないうちは手作業で変えても良いのですが、すでに何十万文字も描き終えた後にやっぱり変えたいとなった時に変更するのは非常に大変です。

置換でいいのでは?と思うかもしれませんが、例えば「たろう」という名前のキャラがいて、「そんなことしなくてもよかったろうに」みたいな文章があったときに巻き込みで関係ない文章が置換されてしまいます。
それに、通常キャラクターの呼び方は1つだけではありません。
あだ名なども含めて全部変更する必要があり、いざやるとなるとそもそもどんな呼ばれ方があったっけ?となってしまいます。

この問題の解決を図ったのがNoveLandのキャラクター/オブジェクトの埋め込み機能です。(ここでいうオブジェクトとはその作品に固有なキャラクター以外の名称のことです)
専用のキャラクター/オブジェクトの設定画面を用意し、そこで名前を変更したら本文中の該当箇所が一括で入れ替わるようになります。

また、この機能の良いところは他にもたくさんあります。
この埋め込まれたキャラクター/オブジェクトをホバーすることで、設定された情報を見ることができます。
これにより資料を探し出す手間を省くことができ、本文を書きながら設定に矛盾がないかを少ない手数で参照したりなど、使い方は様々です。

他のどの箇所に登場したかを確認することも可能で、このシーンでどんなこと喋ってたっけなと見に行くことができます。

そもそも何を書いたらいいのか思いつかない問題

これは物語を考える人が必ずぶち当たる壁です。
ゴールは決まってるけど中間部分をどうするかが全く思いつかない、イメージはあるけどそれをどんな言葉で表現したらいいのかわからないなどさまざまなケースが考えられると思います。
そんな時に使えるのがNoveLandのAIによる自動執筆機能です。

せっかく作家さんの頭の中には良いものがあるのに書けないのはもったいない、技術の力で少しでも壁を取っ払って表に引っ張り出したい!という気持ちが僕の中でずっとありました。
そのため、この機能を作る上で特にこだわった部分としては、AIにやらせすぎない、ということです。
現状でも他に小説を書くことができるAIのサービスは多数存在しています。
しかしながら、それらのAIは設定も、本文も、何もかもAIがやってしまうため、自分の作品と銘打って世に出すことは面の皮が厚くないとできません。なので、NoveLandのAIによる自動生成機能はあくまでも補助的な立ち位置として、困った時にポチッと押す、それくらいのものを作り上げることを目標に設計を行いました。

余談ですが、当初は自分でモデルを開発することを考えていましたが、ちょうどいいタイミングでChatGPTが登場したため現在はこれを使用しており、後からより物語に特化した自作AIに置き換えることを考えています。

おわりに

以上がNoveLandの開発への思いでした。
ここで紹介した機能以外にもできることはまだまだあります。一度手に取ってくださると幸いです。

これからもこの調子でつけたい機能がたくさんありますので、これからもどうぞよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?