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RZP Book Talk Vol.1 『セゾン 堤清二が見た未来』鈴木哲也 (著)|日経BP 刊

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「組織が危機を乗り越え、長期的に 成長するヒント」 

無印良品、パルコ、ロフト 、ファミリーマート、吉野家、リブロ―皆さんもよく知るナショナルチェーンですね。でも、これらがかつてセゾングループに属し、堤清二という不世出の経営者が作った――それを知らない人が増えています。

なぜセゾンの子孫は繁栄しているのか?

セゾングループはバブル崩壊で解散しました。しかし、セゾンの子孫達であるこれらの企業は、いまだに繁栄し、MUJIやファミマはいまやグローバル企業です。同じバブル崩壊で解散した、ダイエーやそごうのような流通グループと比べれば、セゾンの特異さが伝わるはずです。

本書は、綿密な取材を通して「堤の視点」を描き、同時に組織が危機を乗り越え、長期的に成長するヒントが書かれています。
Ryozan Parkのインキュベーションマネージャーで、コミュニティデザインが専門の中島明さんは、本書を推薦し、「文化」をキーワードに次のように説明しています。

「堤さんはある意味独裁的で、社員は怯えながら仕事をしていたらしい(笑)。でも、堤さんならどう考えるか?という思考法は残った。僕でもMUJIらしさを語れるということは、社員は「ファミマはただのコンビニではない」「パルコをただのデパートにしてはいけない」をもっと語れるはず。モノ消費全盛の70年代、堤は欧州ブランドを輸入して、自らモノ消費を牽引しながらも、コト消費を訴え、「質だけ」を安く売る無印良品を立ち上げた。「自己否定の堤」と言われますが、業界のアンチテーゼ的に事業コンセプトを立てる「堤的思考」が、ことあるごとに事業や業界を再定義する、という分かりやすい行動基準として企業文化になり、遺伝子のように伝達し、長期的な成功を支えていると思います。」

文化とは遺伝子である

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文化とは何でしょうか?中島さんは文化を遺伝子にたとえました。つまり文化とは、リーダーというオリジナル不在でも複製され、一人一人の行動に無意識レベルで働きかけ、時に変化し、再度複製され続けるものです。また社是のような、あるべき状態ではなく、状態を作る行動の選択基準です。セゾンの企業達は自己否定的に事業を再定義し続け、顧客を創造する状態を作ります。行動を生み続けるからこそ、文化は理不尽で構造的な障害をも突破する原動力になり、世界を変えることができるのです。

「こうしよう!」ができる組織が未来を作る

コロナショックで世界経済はさらに不透明になりました。しかし、成長し続ける組織は予測待って動くのではなく、「こうしよう」と状態を作りにいく文化を持つ組織ではないでしょうか?
本書を読み、「堤の視点」で見れば、閉塞した現代が突破しがいのあるものに観え、様々なヒントをもたらしてくれます。起業家や閉塞感に悩むリーダーにはお勧めの1冊です。是非読んで私達にも感想を聞かせてください。

組織文化の具体的な作り方なら『Who You Are 君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる』(ベン・ホロウィッツ 著|日経BP刊)もお勧めです。


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次回、RZP Book Talk vol.2は『日本の歴史をよみなおす』(網野善彦 著|筑摩書房)のまとめをお送りします。テーマは「通貨の起源」「中世還りする世界」です。おたのしみに。

【↓↓↓今回のスピーカー中島明さんの活動↓↓↓】

https://www.facebook.com/akiranakajima

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